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電子世界のVtuber  作者: 片倉優樹
第一章
7/9

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 食事を摂りながらボク達は相談していた。

ちなみに黒兎は肉の味だった、当たり前だけど、塩味が欲しい。


「とりあえず、ここはどこなんだろうね?」

「うーん、今のところ日本じゃないと思うで」

「え、そうなの?」

「勘も混じってるけど、あの黒っぽい兎なんて見たことないやろ?」

「む…確かに…」


 クマさんの意見はもっともと言える。烏骨鶏のような黒い鶏はともかく、黒い兎は聞いた覚えがない。

それにあんなに凶暴なら被害の報告などあっておかしくないはずだ。


「外来種、にしては無理があるかな…」

「やろうなぁ」


 ううむ、と唸りながら考える。

日本じゃなければどこなのか、海外?とは言えクマさんの話を聞いていると転移したとしか思えない現象…いくらなんでも地球の技術はそこまで進んでいない。

ボク一人なら誘拐という説も考えられなくもなかったが、クマさんは意識がある状態で突然見知らぬ土地に飛ばされているのだ、誘拐は無理がある。


「現状ここがどこなのかは保留、かな」

「せやな、今後どうするかでも考えるか?」

「そうだね…、現地の人とかに話を聞ければいいんだけど」

「あーそれやったら街道…というには整備されてないけど、道ならあったで」

「え!?本当!?」


 クマさんによると獣道よりはマシ、程度の道はあったらしい。

定期的に人が行き来している様子だった。


「ならまずはその道を辿ってみるのがいいのかな?」

「せやな、それしかないか」


 当面の方針が決まったところで、ボクは気になっていたことをクマさんに聞いてみる。


「なんかさ、頭の中で声とかしない?」


 それに対してクマさんは「はて?」という顔をする。


「いや、そんなんはないけど、ゆっきーはあるん?」

「うん、演算開始とかなんとか…それになんか色々な予測?みたいなのがわかるんだよね。予知って感じじゃないけど…」

「ほー、そりゃ凄いな、超能力にでも目覚めたんか」

「いや、どうだろ…」


 自分でも曖昧な説明だとは思ったが、うまく言葉に表すことができない。

一体これはなんなのだろう、疑念は深まるばかりである。

考え込んでいると、クマさんがそう言えば、と口を開く。


「俺も身体能力とか射撃能力が上がってる気がするわ」

「そうなの?」

「そんな気がする程度やけどな、絶好調のときより更に少し上って感じがする」

「…ボク達に何が起こってるんだろう」

「それはわからんなあ」


 結局わからないことが増えただけだった。

病院で検査すればわかったりするのだろうか。今すぐは難しいけれど。

自分の体に起こっている変化にボクは薄ら寒いものを覚えた。


(本当に、何がどうなっているんだろう…わからないことがわかって、自分の体が自分のものじゃないみたいで…怖いな)


 ボクはぶるりと身震いすると、頭を振ってネガティブになりそうな考えを吹き飛ばす。

今はできることをやっていくしかないのだ。


「ゆっきー、そろそろ日も落ちてきたし、一旦休まん?」


 黙ってしまったボクに気を遣ってくれたのか、クマさんが休むことを提案する。

見れば周囲は大分暗くなっていた。


「火の番はしとくから、安心して眠ってええで、俺はこういうの慣れてるからな」

「いいの?」

「おう、このクマウサギに任せとき!」


 確かに今日は色々ありすぎた。歩き通しで足も痛いし、何より頭の使いすぎで疲れていた。

ここはありがたく休ませてもらうとしよう。


「それじゃあお言葉に甘えてちょっと休むね」

「おう」

「ありがと」

「気にすんな」


 木にもたれかかって目を閉じると、すぐに睡魔が襲ってきた。

寒い地方じゃなくてよかったな、などと場違いなことを考えていると意識は自然と薄れていった。

関西弁は知り合いに監修してもらってます!

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