パンク・コップ
おれがその昔
バイクに乗って
優先道路を
走っていたら
横からいきなり
飛び出してきた
白い乗用車に
当て逃げされた
おれはあまり
行きたくは
なかったが
その道路のすぐ近くに
交番があったので
事故に遭った
その足で
一応交番まで
向かうことにした
おれは幸い
かすり傷一つ
なかったが
バイクはハンドルが曲がって
うまく走れなく
なってしまった
おれが交番に入ると
そこには若いお巡りがいて
事情を話すと
一緒に事故現場まで行くことになった
そのお巡りは
現場の辺りを見渡して
こう言った
「こんなに見通しのいいところで
事故起こしたの?
あんたにも責任があるんじゃ
ないの?
まあ、どっちもどっちだね」
そのお巡りは
おれをバカにし切った態度で
そう言った
おれは内心ムカッ腹が立ったが
なんとか冷静な態度を装った
そのお巡りは
「イヤー、とにかく
ケガがなくて
ホントに良かった」
と、白々しく言った
おれが万が一
大怪我して
骨折でもしていたら
テメエが面倒な仕事を
やらされると思ったから
ホッとしたんだろう
どっちもどっちで
本当に悪かったね
当て逃げした乗用車は
結局見つからなかった
おれはバイクの修理費用や
後始末まで
全部自分が
やらされる
ハメになった
おれはぶつけた車の
運転手よりも
あの若いお巡りの方が
ずっと忌々しかった
おれは出来れば
あの若いお巡りに
犬の糞でも
喰わせてやりたい
気分だった