表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界魔神と神々の籠  作者: 水樹悠
9/9

エピローグ

ひとり近隣では知られた少年がいた。

彼はどことなく大人びているが、そのことは大した耳目を引くことはなかった。

彼が知られるようになったのは、女を四人も侍らせていることだった。

いつからかは分からないが、ひとり、またひとりと増え、今では四人、しかも四六時中侍らせていれば、噂にもなろうというものだ。

怪しげな事情があるのでは、と噂は吹いたが、女達のあまりに幸せそうな姿を見てそれを追求できる者はなかった。


だが、そのような事実はどの世界にも記録されず、観測されたこともなかった。


それは神々も知らない、存在さえしない事実であった。

異世界魔神と神々の籠、いかがでしたでしょうか。


本作は、執筆開始当時流行っていた(というよりも使い古されていた)「異世界転生チートもの」というフォーマットを維持した上で、全く新しい物語をつくる、というテーマのもの書き始めました。

私がエンターテイメント物書きではないので、ライトノベルのフォーマットにも従っておらず、私の中ではディアボロスの絵としては、今もあるのかはわかりませんが、昔の若年層向けのファンタジー小説にあった、リアルでおどろおどろしいテイストのビジュアルを思い浮かべていました。


本作を書き始めた背景には、異世界転生チートものとしてのフォーマットが、非常に狭い定義で要求され、それと異なることが批判されやすく、一方でそういうフォーマットであるにも関わらず「真似である」と批判されがちであるということがあります。

それでしたら、そのフォーマットの世界をできる限り広げてみましょう、ということですね。


作品を書くにあたり、

・主人公は現代社会からファンタジー世界へ転生する

・転生した主人公は他の何者も到底及ばない圧倒的な力と、それを裏付ける背景を持っている

・転生先の異世界では戦闘がある

・主人公は異性から非常にモテて、ハーレムを形成する

・主人公は現代世界での知識を活用して転生先で活躍する

を「お約束」として採用、これらを本作における「縛り」とすることにしました。

一方、これらを守っていれば内容はなんでも良しとすることで、可能な限り従来作品とはかけ離れた作品を作ることを目指しました。

フォーマットやカテゴリの違いで、類似作品は生まれにくいものと思いますが、もし類似作品が既に存在するようでしたら、発想力の敗北、というところでしょうか。


エンターテインメント小説では描くものの別は明確にするのが鉄則であり、ヒューマンドラマであるのか、バトルであるのか、恋愛であるのか、といったその作品の魅力を構成するものがはっきりしていて、かつその魅力を強く打ち出す、というのは常識であるとすら言えますが、そもそも私は文芸寄りですし、本作も(いずれかにあてはめるならば)文芸小説となりますので、そうした「売りどころ」ではなく作品全体としての物語性に注力しました。

そのため、ヒロインの描写が物足りないとか、バトルが薄いとか、エンターテインメント性に期待されていた読者の方にはフラストレーションがたまるような面もあったかと思います。性質的に違いはともかくと致しまして、作品を通して楽しんでいただけましたなら幸いです。

執筆していて、非常に「難しい」と感じながらのものであったため、面白くなかった、と感じられたのでしたら偏に私の実力不足、平にご容赦ください。


本作の規模、あらすじは執筆開始時から決まっていました。

ただ、カクヨムへの投稿という経験に乏しかったため、どのように公開するのが読者の方々にとって望ましいことなのか、ということに苦慮しました。

途中、私事ですが転職などもありまして、多忙のため執筆が滞り、多くの皆様に待望いただいていたにも関わらず大変おまたせしてしまったことを心苦しく思います。


本作執筆において、文化風俗や技術発展など、かなり専門外の内容を調べる必要があり、素人業では難しいところであると痛感いたしました。このようなときには出版社によるバックアップがあると心強いのでしょう。

総じてテーマ難易度が高く、技量不足を痛感するところもありました。


苦戦したのはなんといっても「春雷」でした。

短い尺ですが、ヒロインの魅力をここで書かねばならないため、どのように表現するか非常に悩みました。

どのような経緯でヒロインたちがディアボロスに愛情を寄せるに至ったか、については描写していませんが、描写にない特別なことによって親密になったわけではありません。そのあたりを詳しく描くことは、基本的にディアボロス視点のこの物語においては非常に野暮になってしまうので避けましたが、時代と文化的背景があることを考えていただければと思います。戦国時代の女性のこととか参考になるんじゃないでしょうか。

本作の世界観では、男が戦場にたつことは、「なさねばならないこともある」の類であり、女が付き従うときがある(総じてそうであるという意味ではなく)のもまた同様に「なさねばならないこともある」となっています。


また、本作作中のテーマといたしまして、「男の愛」を設定しておりました。

ディアボロスは主観的には、ヒロインを心から愛しています。これは、序盤から基本的に一貫しています。

ただ、「ディアボロスの主観」というのがポイントですね。


ちなみに、本作のメインヒロインはマリーなのですが、最初から途中退場は決まっていました。

途中退場したこともそうですが、ヒロインは仕方なく体を許す程度ではあるものの主人公に愛情はない、というスタンスですから、こちらもライトノベルでは見かけないもののような気がいたします。

ミステリ作品だとメインヒロインが実は心に一物を抱えていた、みたいなことはありがちですけれども。


本作品はもともとカクヨムに掲載していましたが、カクヨムのほうでアクセスがされない状況になったため、こちらに移す形になりました。

カクヨムのほうでは1話ずつ細かく投稿でしたが、こちらでは読みやすいよう章単位にまとめてあります。


次回作につきましては、「スペードとメイド」という、かなり力の入った作品を執筆中です。こちらは現代を舞台にした群像劇となります。打って変わって得意ジャンルということもあり、ご期待いただければと思います。

また、webでないと掲載が難しい形式をした「エンジンズ・アンド・インストゥルメンツも執筆中です。

こちらは途中まで掲載しておりますので、併せてお楽しみいただけましたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ