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十章キャラ紹介にかえて……

 これは、美しい(いとぐち)の話。


 百瀬美緒/ももせみお

 友斗の二つ下の妹。生真面目で、間違ったことに対しては相手が誰であろうと指摘する性格の持ち主。年の割にはかなり大人びていた(友斗・時雨談)が、一方で年相応に不器用な面もあり、それが幼稚園・小学校に孤立した要因でもある。


 頭脳面で言えば時雨を超えるほどの天才である。幼い頃から本を読み漁り、友斗が勉強をする様子を横から見て、学習していた。友斗は彼女の行動を見て、彼女が特別だと考え、美緒を守ることを自分の生きる目的とした。

 しかし彼女が大人びているのは、周囲に友斗や時雨がいたことも要因と言える。友斗も時雨も共に大人びた性格であったがゆえに、その二人と一緒に過ごしていた彼女は自然と大人びた。

 ただ、学力はともかく性格については、時雨や友斗の記憶の中で美化されている部分も多い。実際にはもっと弱く、幼く、脆い部分もあった。


 ちなみに12月に生まれて4月に死んだ(あくまで一般論であり、最近の説では違うらしいですが)というキリストとの一致は偶然で、書きながら「マジか……」となりました。


 友斗への好意を自覚したのは、死ぬ数か月前のことだった。

 彼女が明確に友斗に好意を抱いたのは友斗が小学四年生の夏のことである。

 その際に抱いた好意を持て余し、バレンタインで友斗にチョコを作った。このときにはまだその感情が『恋』だと自覚していなかったが、それでも『家族として渡したくない』と考えて学校でチョコを渡そうとした……が、友斗が同級生からチョコを貰っているところを見てしまい、渡せずに終わる。


 嫉妬に駆られながら悶々とした彼女は時雨に相談するが、『分からない』と言われてしまう。ホワイトデーで友斗がプレゼントのお返しを考えているのを見て、いよいよ複雑な感情を自覚し、自身が恋心を抱いていると気付く。

 そうして4月1日、友斗に告白する。


『ブルー・バード』は、彼女が夏に書いたものである。

 小説家を目指すと志したのも夏。

 そのきっかけは、友斗のとある行動にある。しかし、友斗にとってその出来事は美緒の死と繋がることであり、彼の記憶からは消えている。


 何故か澪と似ている。

 美緒が成長した場合、澪より少し幼い雰囲気の少女になる。


 彼女の行動原理は『正しさ』と『兄への想い』にある。

 それゆえ、もしも彼女が事故で死んでいなかった場合、友斗を第一に考え、友斗と厳しく接しつつもトコトン尽くす少女になっていた。


 友斗にとって守る対象だったという意味では雫に近く、容姿は澪に近く、性格は大河に近い。

 その意味で三人とも美緒と共通点を持っている。

 しかし……。



 夢を見つけることは、本当に生き方を見つけたことになるのだろうか?

 彼と彼女は、いつ恋に落ちたのだろうか?



 まだ、初恋は終わっていない。

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