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帰還  作者: ろぜ C-ruby
30/73

30:侵入者

 婚約式当日。

 とてもピカピカで爽やかな朝を迎えた。

 しかし、少し困った事が起きていた。

 エーヴィヒが私の隣で眠っているのだ!

 昨夜は確かに私一人で眠った筈だし、屋外への窓もキチンと施錠をしていた。

 当の本人は、ティリア愛してる、なんて寝言でまで愛を囁いてくれている。…どうしてくれようか…。この状況を誰かに見られたら困る。

「エーヴィヒ、起きて」

 必死に起こす。

「んぁ…ティリア、おはよう」

 エーヴィヒの腕の中に閉じ込められ、顔中にキスの雨が降ってくる。私はエーヴィヒの上に乗っかっている体勢だ。

「おはよう、じゃないでしょ?貴方、いつ、どうやって入って来たの?」

「ん?普通に、こうやって」

 寝ぼけた様子で、指先で円を描いて魔法を発動させる。

「不法侵入じゃない」

「これは、陛下と父上が教えて…ん、んん!」

「陛下と、どなたですって?」

 エーヴィヒの瞳が、視線がハッキリした。ちゃんと起きた様だ。

「どうしたティリア。嫌だったか?俺が側にいるの」

 小首を傾げ、言いながら私の髪を撫でる。一房掴んで髪にキスをする。

「い、嫌じゃないわ。でもTPOをわきまえて欲しいの。貴方が今、ここに居る事を知られたらマズいでしょう?」

 エーヴィヒの甘い視線と私を撫でる手の動きにドキドキしながら、負けない様に反論する。

「今更だろう?俺が君の横で寝るのは、当たり前だ」

 エーヴィヒに押し倒され、額にキスを受ける。

「…ちょっと待って。今までも私が知らないだけで、エーヴィヒは私の隣で寝ていたって事かしら?」

「さぁ?どう思う?」

 蠱惑的(こわくてき)に微笑むエーヴィヒ。絶対にしていた…気がする。

「とはいえ、俺もそろそろ自邸に戻らないとな。このまま君をとかしてしまいたいが…それは後の楽しみにするよ」

 珍しく直ぐにエーヴィヒが引いてくれる。

「また後で。…あぁ、別れがたい」

 エーヴィヒは少し昏い熱のある瞳をして、深いキスをくれた。私の腰が砕ける。

「あ…エーヴィヒ、答えていないわ」

 とかされた頭を正気に戻しながら、強めに言う。

「ティリア、愛してる。婚約式でまた可愛いがるから、いい子で待っていて」

 この時点で移動魔法の展開は完了していた、素早い。

「え、ちょっと、待って」

 エーヴィヒの姿が消えた…

 単独での移動魔法…それって、秘術じゃないの?

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