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帰還  作者: ろぜ C-ruby
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3:エーヴィヒ

 エーヴィヒのエスコートで訪問したお店は、野菜がたっぷりで味付けも程良くとても美味しいお店だった。

 美味しい!彩りが綺麗!と、喜びながら食事を進めていく。

 エーヴィヒは私を喜ばせるのがとても上手だ。

 今日の美味しいお店もそうだし、私に会いに来てくれる時は必ず何かしらプレゼントをくれる。今回は一輪の花。前回はレースの綺麗なリボン、その前は美味しいお菓子といった具合だ。

 会う度にこんなにしてくれるのは嬉しいが申し訳ない気持ちも有、今後は気を遣わないでくれる様に言ったが

「ティリアフラウ、君を愛しているんだ。君の喜んでいる顔が浮かんだからプレゼントしている。そして毎回、君は喜んでくれている。それが俺にとって最高の返礼だ。だから今後も受け取ってくれ」

そうきっぱりと言われ、今では有り難く頂戴している。

 彼といるととても落ち着き、幸せを感じる。彼さえいてくれればもう他はいらないと思う程に…救われている。

 恋人とのこういうひとときは前世では望んでも得られなかったものだ。今世では、前世で欲しかったものが沢山手に入った。その分、前世で残したものは大きいが…。

 あぁ、駄目だ。転生してからもう何年も経っているのに、前世の心残りがずっと胸を占めている。頻繁に思い出してしまう。どんなに思っても遠い別世界になってしまったのだから、何も出来ないし残せないのに…!

 向かいのエーヴィヒが顔をのぞき込む。

「また、思い出したのか?」

「うん…折角、貴方の貴重な時間を貰っているのに、ごめんなさい」

「俺の時間なんか、いくらでも君に捧げるよ。気にしなくて良い。君にとってとても大事なものの事だからね、思い出すのは仕方がない。何を思っていたのかが判れば、それでいい」

 エーヴィヒには前世の心残りの内容については一切話をしていないが、何について考えているか・思っているかを伝えれば特に深くは聞かれない。追求されるのは隠し事や異性の事。淡泊そうに見えるが…執着心というか、独占欲が強い。

 エーヴィヒは私にとって理想の男性だ。こうやって何度も名前を呼びたい位に。何の魅力も無い私に、躊躇いも無く愛を捧げてくれるエーヴィヒに、深い感謝と愛を感じるのだ。

 この世界に転生をして、やっと女として人を想う…異性を愛する事が出来た。

 恋をすると世界が光輝いて見える・世界が変わるとよく聞いていたが、成る程、本当にそうだった。

 世界は輝き、心は満ちて来ている。

 他愛のない話をしつつ、食後の紅茶をいただく。

 目の前に微笑みを浮かべたエーヴィヒがいる。

 想いを寄せる人が側にいて、想いを返してくれる…なんて幸せな事だろうか。

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