14:紅茶
たっぷり泣いて寝た朝は、やっぱり頭が痛くてボーッとしてしまう。目も腫れているだろう。
今日が休暇で良かった。
エーヴィヒは、エリン公爵から聞いた際、既に知っていた様子だったという…それはどうして?
この話も前世から知っていた?
だとすると、ゲームの内容なの?他にもエーヴィヒの事を知っている人がいるという事なの?
「来ると…思っていたよ、ティリアフラウ」
優しい声で私の名を呼ぶ父。
「昨夜の件ですが、私に考える時間を頂けませんでしょうか?」
「そうだね。時間をあげよう。何をしても構わないよ。ただ、呉々も気を付けておくれ」
「はい。ありがとうございます。お父様」
「ティリア、よく来てくれたね」
エリン公爵邸の応接室で紅茶を頂いていた私を、満面の笑顔でエーヴィヒは迎えてくれ、私の右手を取って甲にキスをしてくれる。
いつものエーヴィヒにホッとして笑顔を返す。
「朝早くからごめんなさい。昨夜は素敵な花束をありがとう。あの、それでね…」
エーヴィヒを直接見詰める事が出来ずに俯いていると、腫れてる…と低い声で独り言が聞こえた。
「おいで、ティリア」
急にお姫様抱っこをされ、エーヴィヒはずんずん応接室から出ようと室内を進んでいく。
「あ、あの、エーヴィヒ?何処へ?」
「このまま、俺の部屋に連れて行く」
「エーヴィヒ様、それはいけません」
エリン公爵邸の執事長が、侍女達が、慌てて止めに入る。
ある年齢を境に、王侯貴族の未婚男女がそれぞれの自邸私室に入る事は許されない。何も無くとも性交渉が有ったとみなされるのだ。
「ティリアは俺の大事な女だ。例え執事でも、俺以外の男には触れさせない」
「エーヴィヒ様!」
「…両親も、承知の上だ」
エーヴィヒの私室に入るなり、唇を奪われた。
「ティリア、愛してる…ティリア…」
運ばれながらキスを何度も受ける。
「目を腫らして…可哀想に。あぁ…」
瞼にも何度もキスを受ける。
下ろしてもらえたのはいいが、そこはエーヴィヒのベッドの上だった。今度はエーヴィヒの舌が口腔内に侵入し、私の舌を絡め捕り、吸われる。こんなキスをエーヴィヒから受けるのは初めてだ。
「ティリア、飲んで…俺も飲むから」
唇の端から溢れ出てくる唾液を、エーヴィヒは舌で舐めとりながら、私の舌を嬲る。
ベッドに残るエーヴィヒの体臭に包まれクラクラする。心臓がバクバク言っている。
私は受け止めるのが精一杯で、喜びと羞恥心でいっぱいだった。
「あ…エーヴィヒ」
「可愛いよ…ティリア。愛してる、愛してる」
初めて胸を触られ、やんわりと…次第に激しく揉まれる。
私はエーヴィヒから沢山の激しいキスを受け、意識が飛んでしまった…。