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帰還  作者: ろぜ C-ruby
14/73

14:紅茶

 たっぷり泣いて寝た朝は、やっぱり頭が痛くてボーッとしてしまう。目も腫れているだろう。

 今日が休暇で良かった。

 エーヴィヒは、エリン公爵から聞いた際、既に知っていた様子だったという…それはどうして?

 この話も前世から知っていた?

 だとすると、ゲームの内容なの?他にもエーヴィヒの事を知っている人がいるという事なの?

「来ると…思っていたよ、ティリアフラウ」

 優しい声で私の名を呼ぶ父。

「昨夜の件ですが、私に考える時間を頂けませんでしょうか?」

「そうだね。時間をあげよう。()()()()()()()()()よ。ただ、呉々も気を付けておくれ」

「はい。ありがとうございます。お父様」



「ティリア、よく来てくれたね」

 エリン公爵邸の応接室で紅茶を頂いていた私を、満面の笑顔でエーヴィヒは迎えてくれ、私の右手を取って甲にキスをしてくれる。

 いつものエーヴィヒにホッとして笑顔を返す。

「朝早くからごめんなさい。昨夜は素敵な花束をありがとう。あの、それでね…」

 エーヴィヒを直接見詰める事が出来ずに俯いていると、腫れてる…と低い声で独り言が聞こえた。

「おいで、ティリア」

 急にお姫様抱っこをされ、エーヴィヒはずんずん応接室から出ようと室内を進んでいく。

「あ、あの、エーヴィヒ?何処へ?」

「このまま、俺の部屋に連れて行く」

「エーヴィヒ様、それはいけません」

 エリン公爵邸の執事長が、侍女達が、慌てて止めに入る。

 ある年齢を境に、王侯貴族の未婚男女がそれぞれの自邸私室に入る事は許されない。何も無くとも性交渉が有ったとみなされるのだ。

「ティリアは俺の大事な(ひと)だ。例え執事(おまえ)でも、俺以外の男には触れさせない」

「エーヴィヒ様!」

「…()()()()()()()()()


 エーヴィヒの私室に入るなり、唇を奪われた。

「ティリア、愛してる…ティリア…」

 運ばれながらキスを何度も受ける。

「目を腫らして…可哀想に。あぁ…」

 瞼にも何度もキスを受ける。

 下ろしてもらえたのはいいが、そこはエーヴィヒのベッドの上だった。今度はエーヴィヒの舌が口腔内に侵入し、私の舌を絡め捕り、吸われる。こんなキスをエーヴィヒから受けるのは初めてだ。

「ティリア、飲んで…俺も飲むから」

 唇の端から溢れ出てくる唾液を、エーヴィヒは舌で舐めとりながら、私の舌を嬲る。

 ベッドに残るエーヴィヒの体臭に包まれクラクラする。心臓がバクバク言っている。

 私は受け止めるのが精一杯で、喜びと羞恥心でいっぱいだった。

「あ…エーヴィヒ」

「可愛いよ…ティリア。愛してる、愛してる」

 初めて胸を触られ、やんわりと…次第に激しく揉まれる。

 私はエーヴィヒから沢山の激しいキスを受け、意識が飛んでしまった…。


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