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怨霊鏡ねこむすめ! 〜オカルト研究部へようこそ〜  作者: あいうえ
7 古墳の謎を暴け!
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4

1話、3000〜4000文字に編集しました。

 図書館に入り、三人は席について顔を寄せ合った。


「閉館は七時までだからその間に今後の計画について話し合おう」


 満夜が久しぶりに建設的なことをいったと、凜理が感心していたが、満夜はそんな視線を無視して続けた。


「まずは勾玉を調べたいが実物は平坂大学にあるだろうから、資料館でできるだけのことをしよう。それから昨日鵺が行っていた勾玉で封印を解くと言うことだが、これをもっと詳しく聞くべきだ」

「勾玉ってなんですか?」


 菊瑠がそっと手を上げて訊ねた。


「勾玉とは、この平坂古墳群から発掘された物だ。レプリカが資料館に展示されているはずだ」

「勾玉で封印を解くってなんですか?」

「鵺がいったのだ。生き血を与えるか、勾玉で封印を解くことができるらしい」

「生き血だなんて物騒ですね」

「そうなのだ。やつに生き血など与える必要はない。だが、勾玉も入手困難なアイテムだ。そこのところを鵺から聞き出さねばならないだろう」

「でもどうして勾玉なんでしょうか」


 菊瑠の疑問は尽きないようだ。


「それはうちも思った。なんでやろ」

「確かにそうだな。勾玉のことを調べれば、そこのところがよくわかるのではないか?」

「じゃあ、手分けして勾玉のことを調べよ」

「よし、二時間がタイムリミットだ」


 三人は席を離れるとばらばらに図書館の書架へ向かった。

 三十分もしないうちに、三人は一、二冊の本を抱えて席に戻ってきた。


『縄文時代の呪術』『オカルトからみた古代史』が、満夜の持ってきた本。どうもこれくらいしか本がなかったようだ。

 凜理は『古墳とその埋葬品』『弥生人と古墳』の二冊。

 菊瑠はものすごく古ぼけた冊子を持ってきた。


「『平坂村郷土史』? こんな物があったのか。しかし、今調べているのは勾玉のことだぞ」

「古墳は平坂町にずっと昔からあったって聞きました。発掘も戦前におこなわれたんですよね?」

「そうやね。白山さんの言う通りや」

「ふむ、では勾玉に関することが書かれていないか調べてみるとするか」


 後は三人とも読むことに没頭した。

 七時までに半分ほど読み終えた三人は自分の調べた事柄を紙に書いて見せ合うことにした。

 それでわかったことは、『勾玉は古代の祭祀に使われた』『古代の権力者の象徴』『パワーストーンとしての勾玉』、そして『三種の神器の一つ』というもので、菊瑠が読んでいる本には、『かつて平坂には剣・鏡・玉の三つの宝物が隠されていて、それは平坂の守りを強くする物だった』と書かれていた。


「ぬぅ……我々にとって一番得たい答えは結局白山くんが見つけた郷土史に書かれていたようだ」

「そやな、当てはまる。剣も鏡も確かにあるし、勾玉は玉のことやろ思うわ」

「じゃあ、この三つがそろったらここにあるとおり、平坂町は守られるってことですか?」

「もしも、守るということが平坂町を黄泉から守るという意味ならその通りだな」

「その一つ、銅鏡に鵺が封じられたのは偶然なんやろか。そもそも、その三つは古墳から出土した物なんやろか」

「そうだと思うぞ。その一つは八束の剣、オレの持っている銅鏡、大学にある勾玉なのだ。ふふふふ」


 満夜が気味の悪い笑いを漏らした。


「なんやの」

「考えてもみろ、こうして三種の神器の一つを手に入れているのだ、あと二つを手に入れたとき、オレの呪力は甚大になり、この平坂のみならず黄泉まで制覇することができるのではないか!?」

「ちょっと待ち。この文献にはそんなこと一つも書いとらん。何もかも自分に都合のいい解釈するんはやめや」

「つまらんやつだ……」


 凜理の言葉に、今日一番盛り上がった気分を台無しにされた満夜は恨めしげに凜理を見た。

 と言うところで、閉館の時間がきてしまった。

 三人が本を元の場所に返そうと立ち上がったとき、


「ところで白山くん」

「はい」

「スマホも持っていない気味と連絡が取れるように肢体が家の電話は使えるのか?」

「……はい。じゃあ、メモしますね」


 そういって、メモ用紙に書いた番号を満夜に手渡した。


「うむ、何か緊急の用事があるときは家に電話するぞ。では明日も図書館に集まろう」

「わかりました〜」


 菊瑠を公園近くまで送り、折り返して満夜と凜理は自分の家に戻った。


 満夜は道すがら、ポケットの中の銅鏡を取りだして眺める。この銅鏡の封印を勾玉でどうやって解くというのだろうか?

 裏面の紋様を見ても、特に勾玉がはめ込められそうな場所はない。


「なぜ、勾玉で封印が解けるのだ……」


 思案するようにつぶやくと、銅鏡から鵺の声がした。


 ——それは勾玉がわしのものだからだ。

「おお、鵺。今頃出てきてかなり遅いぞ。聞きたいことがたくさんあったというのに」

 ——わしを便利に使うな。おまえの都合なんぞ知ったことか。

「ところで、キサマのものというのはどういうことだ?」

 ——八束の剣もわしの物であったが、封印に使われてしまい拒絶感を覚えるようになってしまった。それであれに近づくとわしは不機嫌になるのだ。

「この銅鏡もキサマの物なのか?」

 ——あと三つあるのだ。全てそろったとき、わしは完全なる姿に戻る。


 満夜はそこでピンときた。


「ということはだ、キサマはオレたちを自分のために利用しているのだな!? そうはさせるか。キサマに全て渡すようなことはしないぞ」

 ——なんとでもいえ。そのときがくれば、おまえがいくら邪魔立てしようが無駄だ。

「ぬう」


 満夜は考え込むように顔をしかめた。


 ——早う勾玉をわしに寄越せ。わしにとってはおまえは敵の子孫だ。封印が解けた暁にはおまえを取って食らうなど簡単なことだ!

「ぬううう」


 満夜は銅鏡を地面にたたきつけたい思いに駆られたが、ぐっと堪えた。


「大体、八束の剣を嫌うキサマがオレのために剣を見つけ出すとは思えん。封印を解いた後オレを食うというのは詭弁だろう! キサマは他に目的があるのだ!」

 ——愚か者ではないのだな。わしは自分の粉みじんになった他の体を探したいのだ。ただそれだけだ。

「むぅ、今のところはその主張を信じてやろう……。剣を見つけるのを手伝えば、他の体を見つける手助けをしてやっていいぞ」

 ——では、わしらの利害は一致したと言うことでいいのだな。

「今はな。だが、体を先に見つけるようなまねはしない。そうすればキサマはさっさと逃げ出すだろうからな」

 ——まぁ、そこはわしを信用しろとしか言えぬな……。


 そう言って鵺は沈黙してしまった。

 満夜は銅鏡の鏡面を見つめながら、鵺をどこまで信用し協力したものかと考え耽るのだった。




 夜中まで父親の残した古文書などを調べた後、満夜は勉強もせずに布団に入った。

 眠りはあっという間に満夜を夢の世界へ連れていった。

 日頃から寝るときもオカルト実験を欠かさない満夜にとって、夢を自由に操るのはいとも簡単なことだったので、いつもなら呪術を操り、龍を呼び天地に異変をもたらし、人々が畏れおののいているのを雲の上から眺めたりする趣味の悪いことをしていたのだが、今日は違った。

 満夜は気付くと静かな平坂町を上空から飛翔しながら眺めていた。いつものように移動しようとするのだが思うとおりに行かない。

 ドロドロドロドロという不穏な地鳴りが聞こえてくる。


「おかしい……いつもと様子が違うな」


 平坂町の四方は山々に塞がれてしまっている。確かに平坂町はベッドタウンではあるけれど、山に閉ざされた閉鎖的な土地ではない。南側には、平地に広がる田んぼの中を鉄道も走っている。

 空の色もおかしかった。赤黒く渦を巻き、地響きに似た雷鳴がとどろいている。

 町中には人が溢れて、周囲を山に囲まれているせいで、人々は街の中心に向かっている。その中には里海や道春も含まれていた。


「母ちゃん、じっちゃん」


 下りていきたいが思うままにならない。上空にとどまった継子との成り行きを見守るしかなかった。

 地鳴りが酷くなっていき、見渡せば山の縁から地面が崩れて谷間になり、家々が落ちていく。

 そこから白い何かが這い出てくる。白い五本が対になっている何かだ。よく目をこらしていくうちに、それが何かわかった。

 巨大な手だった。白から灰色みを帯びてきて、地面の下から生えてくる。その手が逃げ惑う人々を捕まえようとしている。

 町の中心に逃げ延びた人々がより固まっていると、身代わり観音堂が建つ平坂山がドゴンと地鳴りとともに沈んだ。そこから巨人の姿のヨモツシコメがわらわらと湧き出してくる。

 平坂公園だった穴の中心から不気味などす黒いもやがさらに立ち上る。それは球体になり、徐々に四方に広がりだした。その黒い物に人々が包まれるとボッと黒い炎を上げて燃えていく。

 阿鼻叫喚の地獄絵図を見せつけられてもなお何もすることができない満夜は、全身に脂汗を浮かべていた。叫びたくてもそれができない。

 ぬおおお、我が身の術師の血がなぜこの期に及んでも発揮されないのだ!!

 悔しさに歯を食いしばって、金縛りに遭った体をなんとか動かそうとした。

 そのとき、地表に変化があった。周囲の山に光が生じた。それは平坂町を囲むようにして輝く六つの光だった。その六つの輝きが線になり、他の光と繋がっていく。線として繋がった光は六芒星だった。

 その六芒星の輝きは赤い色に染まり——!




「うああ!」


 叫び声とともに、満夜は目を覚ました。全身が汗だくだ。


「今のなんだったのだ……」


 そうつぶやき、夢の内容を思い返した。

 どう考えてもあれは世紀末の風景だった。あんなことがいつか平坂町に起こるのだろうかと思うくらい、正夢のようにあの風景はリアルだった。


「あんなことが実際に起こって堪るか……」


 満夜は額の汗を腕で拭い、頭を振った。

 そのときに壁に掛けた制服が目に入った。

 ポケットに入れた銅鏡から赤い光が発せられていた。

 脳裏を夕方に鵺と話した内容がよぎる。あの言葉のせいでこんな夢を見たのだろうか。それとも、その言葉から、満夜の潜在的な能力が危機を感じ取り、満夜に夢として見せたのだろうか。


「まさか」


 嫌な夢は何かの予兆なのか、果たして鵺が関わっているのか……まだ満夜にはわからなかった。

面白かったら、是非、一番下にある☆で評価を教えてください!

よろしくお願いします。

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