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怨霊鏡ねこむすめ! 〜オカルト研究部へようこそ〜  作者: あいうえ
7 古墳の謎を暴け!
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3

1話、3000〜4000文字に編集しました。

「そうそう、古墳の謂れやけど、蛇さんを封じとるいうの聞いたことあるわ」

「蛇!」

「神さんの蛇や。凜理は気付いとるかわからへんけど、うちの神社の家紋を知っとるやろ?」

「逆三角形が三つ組み合わさって逆三角形作っとるやつやろ?」

「それな、うろこやねんで。三つ逆鱗(さかうろこ)いうねん」

「え? まさか蛇のうろこなん?」

「そうや。イザナギ様の他に、白蛇さんも祀っとるんや」

「そんなの今知ったで」

「言うてへんもん。企業秘密や。どうせ凜理はうちの神社の巫女になるしな。知っとって損はないやろ」


 満夜が手を叩いて喜びそうな話を竹子がしてくれたと凜理は内心びっくりしていた。

 喉の渇きもすっかり忘れて話に聞き入ってしまった。


「はい、お茶」


 冷たいお茶を美千代が持ってきてくれて、凜理は一気に飲み、一息ついた。

 これは早速満夜に教えてやらねばなるまいと、慌てて部屋に上がっていった。




「満夜?」

『どうした』

「今凄いこと聞いてん」

『凄いことだと!? 早く教えろ!』

「うちの家紋な逆三角形してるやろ? あれなんやと思う?」

『白蛇のうろこだ。なんだ、凄いこととはそんなくだらないことか』


 満夜がイザナギ神社の企業秘密を、凜理より先に知っていることに驚いた。


「なんで知っててん!?」

『父ちゃんの古文書に書いていたのだ』

「じゃあじゃあ、九頭龍神社が今廃れてもうて氏子さんが管理してることは!?」


 これは知らないだろう! と自信持って問い詰めてみたら、満夜はすんなりと答えた。


『神はいるが、禰宜がいないだけだ。あそこは単純に跡継ぎがいなくなっただけで廃れたわけではない。それにおじさんがお祀りに毎月二回行っている』

「父さんが?」

『それも知らないとはおまえは馬鹿だな』

「竹子おばあちゃんはなんもいうてへんかったよ」

『変なことを聞いて、からかわれたんだろ』

「川を埋め立てた話をしただけや」


 凜理がぷんすこしながらいうと、満夜がため息をつく。


『祟られて血が途絶えたのだ。オレの父ちゃんはそういうふうに解釈していた』

「そうなん!?」

『白水川は九頭龍神社に祀っている神の神使(しんし)の化身なのだ。それを奪われて怒らない神はいない』

「神使……川が神使やの?」

『そうだ。蛇が神使だと書いてあったぞ。白水川の名の通り白蛇だったのではないだろうか』


 満夜の推理に凜理は竹子の言葉を思い出して背筋が寒くなった。


「うちの神社他にも蛇を祀ってるて聞いた」

『それは知らなかった。ふむ。平坂町の謎に蛇が加わったのではないか? 面白くなってきたではないか!』


 満夜の鼻息が電話の向こうからでもよく聞こえてくる。それだけでなく、いつもの高笑いも湧き上がり、遠くから里海の怒鳴り声も混じった。


『で、報告は以上か?』

「ううん、最後に一つ。古墳には蛇の神が封じられてるて聞いたわ」

『ほう……やはり蛇か。平坂町の歴史と蛇について今後調べていこう。でかした、凜理!』

「竹子おばあちゃんに聞いただけやけどね」


 少し照れながら、凜理は頬をかいた。


「じゃあ、また明日な」

『うむ、明日会おう!』


 凜理はスマホを持ったままベッドに身を投げ出した。美千代が換気のために部屋の窓を開けてくれていたおかげか、部屋はほどよく涼しい。


「はぁ、今日は疲れた……」


 目を閉じると疲れが重たくまぶたに被さってきて、凜理は知らないうちに眠ってしまった。




「凜理……凜理……凜理!」


 美千代の呼ぶ声に、凜理はハッとして起き上がった。ものすごい寝汗をかいている。

 なんだかいやな夢を見ていたような気がするが何も覚えていない。


「凜理、凄くうなされていたわよ?」

「そ、そうなん……」

「ほら、ご飯できたわよ。下りてらっしゃい」

「はーい」


 凜理は部屋着に着替えて、美千代と一緒にダイニングへ下りていった。


***




オープンキャンパスに行くと行っても夏休みになってから行くほうがじっくりと勾玉を探せるだろうという話になり、今日は菊瑠の部活動対策を練ることになった。

 二人はいつもの用具室の前に集まり、学校内では決して会うことのない菊瑠をどうやって図書館まで誘導するかと考えた。


「放課後になったら白山さん、公園に集まると思うてるから、一応公園に行ってみぃへん?」


 凜理の提案で、放課後に公園へ行ってみた。

 平坂公園は公園といっても山に隣接した、とても広い敷地の公園だ。階段と坂が多いので、ジョギングや散歩をする人で賑わっている。

 十数年前までただの山だった公園を拓き、今の形にしているので、山と行ってもさほど変わりはない。

 未だに木々の生い茂る手つかずの部分があるほどだ。

 かと思えば、開けた場所に点在する四阿(あずまや)でお弁当を広げる家族やボール遊びをする子供が昼の間はけっこういる。

 菊瑠がいつもいるのは、東側にある公園の入り口にある日陰のベンチだ。

 ここは平坦で、芝を敷かれた広場になっていて、一目でいるのがわかる。

 菊瑠はやはり今日もそこのベンチにぼんやりと座っていた。


「白山くん!」

「あ、芦屋先輩」


 菊瑠が満夜たちに気付いて嬉しそうに立ち上がった。


「まさか昨日もここにおったん?」

「昨日は先輩たちが来なかったので家に帰りました」

「そのことだが、部員の白山くんが部活動に参加しなければ、オカルト研究部の活動ができない。そこで、公園でないとダメだという白山くんのために、図書館に集まることにしたのだが、どうだろうか」


 図書館で部活動をするという口実が菊瑠のためだということにすり替わっているが、凜理はまぁいいかとスルーした。


「図書館ですか」

「そこもダメか?」

「いいえ! 凄く嬉しいです!」


 満夜はクーラーの効いた図書館で活動する許可を得られてほっとした様子だ。

 暑い午後の日差しは大分傾いたとは言え、まだ充分に強いなか、三人は町の南側にある図書館へ向かった。




 図書館に入り、三人は席について顔を寄せ合った。


「閉館は七時までだからその間に今後の計画について話し合おう」


 満夜が久しぶりに建設的なことをいったと、凜理が感心していたが、満夜はそんな視線を無視して続けた。


「まずは勾玉を調べたいが実物は平坂大学にあるだろうから、資料館でできるだけのことをしよう。それから昨日鵺が行っていた勾玉で封印を解くと言うことだが、これをもっと詳しく聞くべきだ」

「勾玉ってなんですか?」


 菊瑠がそっと手を上げて訊ねた。


「勾玉とは、この平坂古墳群から発掘された物だ。レプリカが資料館に展示されているはずだ」

「勾玉で封印を解くってなんですか?」

「鵺がいったのだ。生き血を与えるか、勾玉で封印を解くことができるらしい」

「生き血だなんて物騒ですね」

「そうなのだ。やつに生き血など与える必要はない。だが、勾玉も入手困難なアイテムだ。そこのところを鵺から聞き出さねばならないだろう」

「でもどうして勾玉なんでしょうか」


 菊瑠の疑問は尽きないようだ。


「それはうちも思った。なんでやろ」

「確かにそうだな。勾玉のことを調べれば、そこのところがよくわかるのではないか?」

「じゃあ、手分けして勾玉のことを調べよ」

「よし、二時間がタイムリミットだ」


 三人は席を離れるとばらばらに図書館の書架へ向かった。

 三十分もしないうちに、三人は一、二冊の本を抱えて席に戻ってきた。


『縄文時代の呪術』『オカルトからみた古代史』が、満夜の持ってきた本。どうもこれくらいしか本がなかったようだ。

 凜理は『古墳とその埋葬品』『弥生人と古墳』の二冊。

 菊瑠はものすごく古ぼけた冊子を持ってきた。


「『平坂村郷土史』? こんな物があったのか。しかし、今調べているのは勾玉のことだぞ」

「古墳は平坂町にずっと昔からあったって聞きました。発掘も戦前におこなわれたんですよね?」

「そうやね。白山さんの言う通りや」

「ふむ、では勾玉に関することが書かれていないか調べてみるとするか」


 後は三人とも読むことに没頭した。

面白かったら、是非、一番下にある☆で評価を教えてください!

よろしくお願いします。

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