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怨霊鏡ねこむすめ! 〜オカルト研究部へようこそ〜  作者: あいうえ
5 再び! 千本鳥居の謎を解け!
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4

1話、3000〜4000文字に編集しました。

 ばらばらばら————!


 細かな粒が石つぶてのようにヨモツシコメの体に当たったと思ったら、あれほどものすごい勢いで追いかけてきていた怪物が足を止め、しきりに足下を気にしている。


「今のうちだ! 行け!」


 三人はさらに先を走り出した。けれど鳥居は途切れる気配がない。


「切りがないな……おい、鵺! 何かアイデアはないのか!?」

 ——剣を探すのではないのか?

「剣を探すどころじゃなくなった!」

「ここから出る方法を教えるにゃ」

 ——うむ。我が力が必要と言うことだな! では生き血を!

「生き血などなぁーい!!」


 満夜が叫んだ。


「通りゃんせはトンネルをくぐり続ける限り、続く細道だ! ならば、自ら鳥居から脱線すればいい!」

「むちゃくちゃ理論だにゃん!」

「おまえ達行くぞ」


 といって、満夜が先頭切って鳥居のトンネルから脱した。

 あっという間に辺りは真っ暗になり、ねっとりとした空間が定かではなくなった。冷たい塊が周りを覆い、息が急にできなくなったと思ったら、いつの間にか三人は水の中にいた。

 満夜と菊瑠がもがいている横で、凜理だけが冷静に三人をつなぐロープを握りしめた。


『行くにゃん……! 上へ行けば、出口があるにゃん!』


 凜理の頭の中からクロの声が響いて聞こえてくる。それで平静を保っていられるのだ。

 頭上を見上げると丸い白く光るものがあった。凜理はそれめがけて、水を蹴り、浮かび上がった。




 ぷっはああああっ!!




 ザブンと音が響き、三人は水面から顔を出した。浸かっている水がキンキンに冷えていて、歯の根が合わない。

 急いで岩を掴んで水から這い上がると、辺りをキョロキョロ見渡した。そこはどうやら神社のようだった。


「寒い!」

「ふくしゅん」


 口々にくしゃみをしながら、三人は地面に座り込んだ。水の中に比べて暖かな気温にほっとする。それでも風邪を引きそうなくらいに寒い。


「ここはどこやろ?」


 クロが引っ込んでしまったのか、いつもの口調で凜理が言った。


「うむ……」


 満夜が立ち上がり、今し方這い出てきた岩場の水を観に行き、傍らにある看板を見た。


「ここは真名井(まない)だ。九頭龍(くずりゅう)神社のようだぞ」

「え! うちら、さっきまで千本鳥居にいたはずじゃ? なんでこんなところに」


 九頭龍神社は千本鳥居から東に約二キロ離れている。


「真名井と千本鳥居の異空間が何らかの形で繋がっていたのだろう……それにしても使えん銅鏡だ」


 罵られた銅鏡は拗ねているのか怒っているのかうんともすんとも言わない。

 三人は仕方なく、荷物を置きっぱなしにしている千本鳥居に戻ることにした。

 道すがら、凜理が不思議に思っていたことを満夜に訊ねた。


「なぁ、満夜がヨモツシコメに投げたあれってなんやの?」

「米だ!」

「お米? なんでお米でヨモツシコメが追ってこなかったん」

「それはお米の数をヨモツシコメが数えていたからです」

「よく知っているな、白山くん!」

「イザナギ様がイザナミ様から逃げるときに、同じようにヨモツシコメに追いかけられました。そのとき、イザナギ様さまは櫛を投げつけたんです。ヨモツシコメは細かなものや編み目のものの数を数えないと気が済まない存在なんです」

「一握りの米だからけっこうな数だったと思うぞ」


 二人は胸を張って凜理に説明した。


「たまには満夜のオカルト知識も役にたつんやなぁ」

「そうだ……これを貼っておけ」


 魔除けの札が外れた二人の額に、満夜がバッグから取り出した別の札を貼り付けた。


「な、なんやの」

「これなんですか?」


 二人がうろたえているのを、満夜がニヤニヤしながら眺めてから自分の額にも貼った。


「よくできた風邪除けの呪符だろう。これで三人とも風邪を引かずに済む」


 転んでもただでは起きない満夜であった。

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