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「……封じ込めた、の、か?」
満身創痍の勇者アルトールは、荒く肩で息をしながら、ゆっくりと伝説の剣エクサルーバの切っ先を地面につけ、最強の盾アイハ・イギスを下ろした。
隣で大魔導師イザードが静かに頷く。
仰向けに倒れたままの戦士リッターが、掠れ声ながらも語気を強める。
「やったわね、アルトール」
それらすべてを書き留める大役を担う吟遊詩人ディヒターは、リッターの横で両膝をついたまま、涙を拭った。
ここは魔物の棲む森。
アルトール一行は、人間の平和を脅かした元凶である魔王を討伐しにやって来たのだ。
魔王の力が弱まったことで魔物の森の安定は崩れた。故に、再び森を統治する為に女神の宝石を狙って侵略してこようとしていた。
女神と王家の子孫であるアルトール。彼が有史以来ほぼ紛失したままの蒼玉を持って城へ現れたのはほんの1年前のことだった。誰にも抜かれることのなかった聖剣エクサルーバの主となり、力をつけて、仲間と共に、今日の訪れがあった。
「これで平和が訪れる。勇者アルトールこそが、この国の英雄だ」
ディヒターが高らかに宣言した。その手には、国の伝記をしたためることのできる、硝子のペンが握られている。宙を舞い、言葉が空に浮かぶ。
めでたし、めでたし。
と。
新しい時代の幕開け。
全員が、なしとげたことに誇りを抱いていた。




