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歯車は想う

作者: 神楽 斎歌
掲載日:2019/02/13

超短いです。叶わない恋ってこんな感じで終わるんじゃないだろうか

 小さな歯車は想った。それが自身を壊そうとも、その関係が心地良いと。

 ある機械を動かす歯車は自分に価値などないと思いながら、ただ流されるままに働いていた。毎日が味気なく、しかし呆気なく進んでいく。ずっとこのままだと、自ら変える努力もしなかった。

 そんなあるとき、歯車は出会ってしまった。自身を見てくれるヒトに、出会ってしまったのだ。

 それから歯車はそのヒトの為に動き出した。自身を磨いて、見てもらえるようにし、流されて働くのではなく進んで自分から働いた。でも、歯車はどんどんと虚しくなっていった。

 あのヒトにとっては、こんな歯車など同じ型であればどれでも良いのだと感じたからだ。きっとあのヒトにとっては同じ型の歯車を見つけるなど容易なことであり、自分に関わっている時間など戯れに過ぎない。それに歯車が抱いた想いは叶わないと気がついていたからだ。

 それでも歯車は自分が狂ってしまっていることを自覚していながらも、その機械から離れようとはしなかった。自分が沈黙をたもっていればこの心地の良い関係は崩れないと知っていたから。

 歯車はそのヒトとの関係を崩したくなくて、自分の想いを抑えることにした。そうしていれば、いつもと変わらない日常があると思っていたからだ。

 そんなあるとき、歯車はあのヒトが違うヒトと笑っている姿を見た。その時、歯車は欠けた事を自覚した。歯車はかみ合っていなければ、機械を動かすことは出来ない。

 歯車は、そのヒトの笑顔を焼き付けると、その機械から出た。もう戻ることは出来ない。ピカピカ光るように磨いた自分の姿を滑稽に思いながら、溢れ出る何かを抑えずに。

 きっとあのヒトにとっては、小さな事だろう。目の前の機械から小さな歯車が消え、新しい歯車になっていることなど。

 歯車は想う。こうして壊れてしまったけれど、あのヒトを想ったことが悪かったとは思わない。ただ自分に自信がなく、勇気を出せなかったことが悪いのだと。

お読みいただいてありがとうございました。


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