8.召喚
神?何言ってるんだこいつは
席を立ちクラスを出ようとした
「おい、どうなってんだドア開かないぞ」
「窓も開かない」
クラスを出ようとしたのは悠真だけじゃないようで既に何人かが騒ぎ始めていた
《あ~取り敢えず【席について】》
謎の声がそう言ったとたん全員が席についた、先生すらも教卓のとなりにある使ってない机の席に着いている
「何だよこれ」
「なんで身体が動かないんだ」
「もう嫌~」
全員が戸惑い騒いでいた
《あ~もう、うるさいな。ちょっと【黙って】》
シン
声すら出なくなったな。これは確かに神ってことで間違いないかもな
《よーし、やっと話が出来そうだね。どうも皆さん改めて自己紹介でもしとこうか
私はこことは違う世界で神と呼ばれているものです
皆さんにはこれから僕の世界に来てもらいます》
これって異世界召喚ってやつか小説でみたな。さて、これからどうなるんだろ
悠真は最近の生活に退屈していた。小説を読んでからは異世界というものに少なからず憧れのようなものを抱いていた
《僕の世界には魔法があってね、王族達が召喚魔法でみんなを召喚したんだ。そのまま行ってもすぐ死んでしまうだろうから全員に力を授けるよ。死なないように頑張ってね》
その言葉と同時に学校全体を光が包んだ
そして光が収まったとき学校には誰も居なくなっていた
悠真以外は
《君には少し聞きたいことがある。早速で悪いが、君は12年前不思議な力を手に入れなかったかい?》
なんでこいつ知ってんだ?
《何で知ってるかって顔だね?》
いい加減この拘束を解いてくれないか?
《そうだね。喋れないと不便だしね。よし、もう解いたよ》
「あーあー、本当だな。さて、聞きたいのだか何故俺が力を持ってることを知っている?」
《簡単に答えるとその力は本来僕の世界の力なんだよ》
神と名乗る声自信満々に言うが
「どういうことだ?」
悠真には良く分からなかった
《そのままの意味だよ。本来その力は僕の世界の魔王が持っていた力なんだけどね、魔王が死んだと同時に君は意識を失ってたみたいだね
白い空間に行ったんだろ?何か見なかったかい?》
悠真は12年前の事を思い出していた
「確かに白い空間にで変な球体をみたな」
《それが魔王の力なんだよ、本来ならそのまま消えるんだけどね。まさか他の世界の人間が力を持つなんて思わなかったよ》
「で、俺の力のことは分かったが俺はこれからどうなる?」
《簡単なことだよ。王族の召喚だと君の存在はキャパオーバーを起こしてしまってね、君の存在は不安定な状態だったんだよ。だから僕が助けてあげたってこと》
どうやら神は悠真を助けてくれたようだ
《でも、僕でも召喚そのものを無しにすることは出来ない。君は無理やり転送した形になってるからどこに飛ばされるか分からないけど君なら大丈夫だよね》
「待て、じゃあ理華とは会えないのか?」
《同じ世界に転送されるんだ。探せば会えると思うよ》
「分かった。俺は普通に生きていいんだな?」
《構わないよ。それじゃそろそろ転送が始まるはずだから》
床が薄っすらと輝き始めた
「そういえば俺にも力をくれたのか?」
《もちろん。これで君は更に強くなったねチートだよチート。これで無敵だねハーレムも作りたい放題だよ》
そんなの作らねーよ
そう考えていると床が更に強く光って悠真の転送が始まった
《いってらっしゃい》
神の声を聞きながら悠真の意識は薄れていった