2.誕生と事故
八雲悠真は天才だった。
1歳の時には言語を完璧に理解し2歳で成人以上の知識を持ち、3歳で各分野で様々なものを開発した。
そんな彼は2歳の誕生日にあることを悟った
「ああ、そうか。|この人達(大人)は僕が必要なんじゃ無くて僕の頭だけが必要なんだ。僕じゃなくても別に良いんだ」
その事に気づいたとき、悠真は少しずつ感情を見せることが減っていた
しかし、小さい頃から一緒にいて、なにかと絡んでくる理華には感情を普通に出せていた
そんな彼は今幼稚園にいた
「ゆうく~ん」
「?」
悠真を呼びながら近づいてくるのは幼なじみの理華だ
「どうした?」
「いっしょにあそぼ♪」
天使のような笑顔で悠真を遊びに誘ってきた
「俺はいいよ。やらなきゃいけないことがあるから理華は向こうで遊んできなよ」
「ゆうくん、つめた~い。もっといっしょにあそぼうよ~」
悠真はいつも幼稚園でパソコンとにらめっこしていて遊ぶことがなく、理華はしょっちゅう遊びに誘っていた
幼稚園の先生たちも、悠真の成果を期待している人が多いため強く注意が出来ず、大人みたいな言動から同い年の子達からはあまり誘われなかった
「それに俺はもうここで遊んでも楽しくないしね」
「じゃあ、おそといこうよ」
「いやいや、俺はここにいるから遊んでおいで」
「む~、じゃあこんどあそんでね」
「はいはい、又今度ね」
「やくそくだよ」
「ああ、わかった」
「じゃああそんでくるね~」
そう言って理華は外に走っていった
「元気だな~」
悠真はしみじみそう思った。悠真は2歳の時には既に大人と似た感性を持っていたので外で元気に遊ぶのは疲れることでしかなかった
「早くデカくなりたいな」
それからしばらくたち悠真は5歳に鳴った。悠真は理華と出掛けていた
「えへへー」
「どうした?」
「えっとね、嬉しいの、二人でお出掛けするのが」
「ただのお使いだよ」
「でも二人でお出掛けだからデートでしょ?」
「そうかもね」
「ゆうくーん」
「うわっ」
理華はいきなり悠真の手を繋いだ
「やっぱり手を繋ぐと暖かいね~」
「あんまり引っ張るなよ」
理華は嬉しそうに手を引っ張りながら前を進んでいく。
「あそこのスーパーだね。とっとと買い物済ませるぞ」
「うん」
悠真と理華はぱぱっと買い物を済ませて帰路に着いた
「さぁ早く帰ろう」
「うん」
買い物袋は悠真が持っているので理華は悠真の回りをうろちょろしている
「あんまりうろちょろしてると危ないぞ」
「平気だもーん」
そう言って理華は走り出した
キィーーー
「えっ?」
「危ない」
理華に迫っていた車の前に飛び込む形で悠真は理華を突き飛ばした
ドンッ
悠真は車にはねられその軽い体は10メートル以上転がり壁に激突して止まった
あー、しまったな。まさか俺がひかれるなんてな
「ゆうぐ~ん」
この声は...理華が泣いてるのか?
いや、人のこと気にしてる場合じゃないか、ヤバいな意識が無くなってく
そこで悠真の意識は途切れた