6話 「悪夢」
夕日に4人の影が映し出される。
あ、1人減ってる─────
犬の散歩帰りだった小山翔稀(こやま
しょうき)はそう思った。シルエットはこの前の奴らなんだが…
女の子が1人いなくなってる…
そんな事を考えながら、今日も 犬のフンをスコップで拾い、袋に入れ、深呼吸をした。
臭っ
先程見えていた4人はもういなくなっていた。
「ようし、走るぞ!クロコマル!」
「ワン!」
翔稀は今日も、愛犬と共にもときた道を走り始めた。
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翌日の夕方、カルマらは武器が届くまで、もう一度小山にホムンクルスについて聞こうと思った……
キーンコーンカーンコーン
今日も1日がやっと終わった。
カルマ、あんざい、シユンは部活に向かった。それぞれ違う部活だが、始まる時間、終わる時間はそれぞれ同じなのだ。
「じゃ、後でな。」
「おう!」
「では。」
そう言って3人はそれぞれの部活へ向かう────
タロウは帰宅部の為、カルマらが部活を終える頃には深い眠りに落ちていた。
「礼!ありがとーございましたー。」
校庭の端っこで、野球部がグラウンドに礼をしている。
それを合図にするかのように、全ての部活がバラバラと終わり始める。
その中に、カルマやシユン、あんざいの姿もあった。
「よし、じゃあ小山先輩のとこにいくか。」
カルマが言う。
3人は早速、橘病院に向かった。
3人は小山のいた病室に入った。
しかし、
そこには小山の姿は無かった。
「すみません、ここの部屋にいた、小山潤という人はどこですか?」
シユンは通りすがりの看護師に小山の居場所を訪ねた。
「少々お待ちください。」
看護師はそう言うと、カタカタカタ、カタッと、素早い手つきでパソコンのキーボードを叩く。シユンは思わず音ゲーを思い出した。
わずか一秒足らずでパソコンのディスプレイに小山潤と表示された。余りの速さに驚いたが、その直後、3人は更に驚いた。
看護師の前のパソコンのディスプレイには、入院記録無しの表示があった。
「そんな…そんな馬鹿な…」
シユンのいつも細い目は、瞳孔に反比例するかの如く見開いていた。
「あ…!」
カルマはこの前の医者を見つけ、声を掛けた。
「小山潤という高校生を知りませんか…?」
医者は一瞬驚いたような顔をした後、こういった。
「はて、誰のことかな?私は忙しい。冗談ならあとでのるよ。」
そう言って医者は小走りに去っていった。
『何かがおかしい。』
全員が、否、タロウ以外がこの事にはっきりと気づいたのは、この日だった…