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Top Secret  作者: S&N
5/6

Secret5

その人は、何ていうか、ホントに白馬に乗った王子様!と思えるくらい美形だった。


髪は短過ぎず長過ぎず、上等な金髪。

カラーコンタクトを入れているのか、少し目が青っぽい気がする。

正直、テレビに出演している人気俳優よりもかっこいいと思ってしまった。その人が近くに来ると、身長もすらっと高いのがわかる。175センチあるかないかとみた。これは女の人どころか、男性にもモテるんじゃないかと思う。冗談ぬきで。だって、見ようとすれば女性にも見えないこともないし。まぁ、身長は高いんだけどね。


「まぁた女子生徒にデレデレして…」


と花憐が言った。どうやらこの人とは気軽に話ができる仲らしい。その人は苦笑いした。


「いや、得に何もしてないんだけど…」


「沙羅、これは一年の西条光輝さいじょう こうきよ。ホンットにこの二人とは腐れ縁なの。」


その男子生徒が私の方に向き直った。


「これってなんだよ、これって・・・。初めまして、沙羅さん。花憐が紹介してくれたけど、改めて言うね。僕は西条光輝です。社会研究部に入ったんだって?」


うっわぁ〜!超紳士っぽい!これはモテるはずだよ。

私は光輝くんに気後れしそうになった。だって、顔良し、スタイル良し、さらに言葉使い良しなんだもん。いわゆる、欠点無し!


「は、はい!これからなにとぞよろしくお願いいたしますっ!」


「そんな敬語なんて使わなくてもいいのよ?沙羅。」


花憐が腕を組んで、しかめっ面のような、苦笑いみたいな顔をする。


「それに、そのうち分かるわよ。ある程度仲良くなると、光輝が本当はどんなに腹黒いか…」


「おいおい、初対面の人の前でそんな事言わなくても」


「あら、認めてるならいいじゃない。っていうか、なんでさんづけなの?」


「いや、そういう問題じゃなくて…みんなの前で呼び捨てするなって言ったの、花憐だろ?…一応」


「あら、そうだったかしら?」


「そうだったかしらって…覚えてないのかよ」


「そんな昔の事なんて覚えているはずがないわ!」


二人は、私と蘭がいるのを忘れて言い合いを始めた。


「なんか…仲良いんだね」


そんな二人を見て、蘭はにっこり笑った。


「そうですね。私と花憐と光輝さんは、保育園の頃からの幼なじみですから!」


「へぇ〜。もしかして、あの二人って付き合ってたりする?」


『付き合ってません!!』


私が言った直後に即答された。


(息もぴったりだ)


幼なじみかぁ…。私も中学生の時は周りからこんな風に見えていたのかな。友達と話をして、笑って。時々いたずらして、先生に怒られた事もあったっけ。

ほんの数ヶ月前の事なのに、なぜか中学校生活が遠い昔のように感じた。



* * *



私は、寮の自室でふかふかのソファーに深く腰掛け蘭ちゃんから貰った異世界についての資料に目を通していた。


遂に明日は異世界調査隊が派遣される日。

異世界に派遣されるのは私と花憐ちゃん、光輝くんに決まった。あれから、2日間龍先輩や蒼葉先輩から異世界についていろいろと叩き込まれた。そもそも、異世界とはその時代の背景によって様々存在するらしい。魔法を使う世界もあれば魔物が世の中を治めている世界も在るのだと蒼葉先輩が言っていた。

この、資料に書いてあるけど【注意事項その壱・異世界に行くにあたり、自分の身は自分で守ろう!】。守ろうって何!?どうやって守るんだよ!体力には、そこそこ自信があるけど、もし魔物や怪物が襲って来た場合逃げるしか私が生き残る確率はなさそう。


でも、人間戦える時はどんな奴でも戦えるのかなぁ?まぁー、今回の異世界は安全な場所を期待しよう…。ソファーに寝ころがり龍先輩から教えてもらったことを思い出した。

そういえば、言語は共通だって言ってた。


そう、異世界との言語は通じるらしい。あのエレベーターの時空間の歪みが関係していて、あの中に入ると脳の細胞?神経?が変化して…えーと何だっけ?龍先輩の説明が難しく、上の空で聞いていたのであまり覚えていない。

おおまかに言うと、私達が普通に話している日本語は異世界ではあっちの言語になっていて、逆に異世界人の話している言葉は私達には日本語に聞こえるようだ。

壁に掛かっている時計を見るともう12時を過ぎている。


「ふわぁぁーー。明日は、早いから寝るかぁ。」


部屋の電気を消してベッドに入り込んだ。

明日は、楽しみだなぁ。異世界ってどんな所だろう。ここにきてからは、珍しくほんの数秒で夢の中に落ちた。




ジリジリージリジリー


うるさい目覚まし時計の音で目を覚ました。


「眠い…。!!?ヤバいっ!!!」


時計を見ると、約束の時間を10分まわっていた。

急いで身支度を済ませ、朝食を食べる時間もないのでそのまま部室へと走る。

ヤバいぃ〜!!龍先輩に怒られるっ!!

左、右、左と長い廊下の角を曲がりやっと社会科研究部に着いた。


「はぁ〜。やっと着いた。」


部室のドアを開け、そのまま頭を下げた。


「すみません。寝坊しました。」


「沙羅、やっと来たか。」


頭の上から、龍先輩の声がする。


「まぁー、いい。初日だし許してやる。」


「えっ、ありがとございます。」


お礼を言いながら頭を上げると、龍先輩の他に蒼葉先輩、蘭ちゃん、京くんそして花憐ちゃんが真っ赤なフリルの付いたゴージャスなドレスを着ている姿が目に入った。


「!!!花憐ちゃん!何その格好!!!!?えーと、ここって、コスプレ部でしたっけ!?」


ビックリして声が裏返ってしまった。


「何言ってるの?沙羅。ここは社会研究部でしょ。」


花憐ちゃんは、真っ赤なドレスをひるがえし、片方の眉を吊り上げ私に近づいて言った。


「今回行く異世界は、中世のヨーロッパみたいな世界に行くの。あちらの世界に行った時、制服だったら怪しまれるでしょう。」


「でも、だからってドレスが派手なような…?」


控えめな声で花憐ちゃんに告げた。


「あちらの世界での私の設定は伯爵家の令嬢なのよ。華やかにしなくちゃダメじゃない。それに、今回の異世界の調査はお城で開かれる舞踏会に忍び込み王宮の実態を調査することなの。舞踏会で一人浮いてたら恥ずかしいでしょう。ほら、沙羅も早く着替えなさい。」


「うっ……うん…。」


花憐ちゃんは、私に青いドレスを渡した。ドレスと言うより……ワンピースのような感じで丈が長くなく動きやすそうで、大きなリボンが背中について可愛い感じだけど…何か、花憐ちゃんと比べるとかなり地味なような気が…。

隣の空き部屋で着替えを済ませ、部室に戻って来るとさっきまでいなかった光輝くんが白いタキシードを着ていた。

あの顔に金髪だから本当の王子様みたい…。

龍先輩が、異世界に行く私達3人に資料を渡した。


「さっき花憐が言ってたが、あっちの世界に行ったときの一人一人の設定はその資料に書いてあるから見ておけ。」


資料に目を通すと…えーと花憐ちゃんは


【名前カレーヌ。伯爵家の令嬢。】


カレーヌって花憐ちゃんのこと!!!?伯爵家の令嬢っていうのは、合ってるなぁ〜。


光輝くんは


【名前はコーキ。侯爵家の長男。】


コーキってそのままじゃん!!!!



えーと、私の設定は・・・


【名前サーラ。没落貴族の娘。】


……没落貴族の娘!!!


なんじゃこりゃぁ〜!!!


「龍先輩!!!何で私だけ没落貴族なんですか!!!?」


「ん〜それは…一人くらいこういうキャラがいないとつまらないだろ!」


…はぁあ!?

何ですか、それ!まるっきり差別!人権侵害!!確かに見た目は光輝くんや花憐ちゃんより全然かっこよくもかわいくもないけどっ。何、没落貴族の娘って!私だけ!!


「それ、言い訳にしか聞こえないんですけど!…まあいいですよ、別に!」


「な、何か沙羅の周りに黒いオーラがあるんだけど。」


光輝くんやその他諸々の人がが目を丸くして私を見ている。


「沙羅、落ち着いて。沙羅は初めてなんだから仕方がないわ。」


「怒るな沙羅!」


「別に怒ってなんかいません!!」


((これは絶対怒ってるよ!!))


それを見た蒼葉先輩がため息をついた。うう、蒼葉先輩に落胆されると何故かこっちも落ち込む。


「みんな、沙羅ちゃんばっかり攻めちゃだめよ。」


私は蒼葉先輩に尊敬の眼差しを向ける。やっぱり、日本の女性はスバラシイ!さすが平成の大和撫子だっ!!


「でも、そもそもこの設定にしようって言ったの、確か茜よね?」


……。


白けた場に茜先輩の顔がひきつる。


「…いやぁ〜、ごめんな沙羅ちゃん!許して?」


「…別に、良いですけど」


「あぁ!これは怒ってる!!怒ってるよ、どうしましょう蒼葉サン!」


と茜が慌て始めた。


別に良いもん!もう慣れたし!


「ホントにごめんなぁ〜沙羅ちゃん!でも、全員が金持ち御子息じゃあつまらないもんなぁ?」


確かに最初はムッときたけど、今にも泣きそうな茜先輩を見て、まあ仕方ないかな、と思った。ていうか、本気で怒っているわけではないのは、ここにいる全員が分かっているだろう。


「もう良いですよ、早く次進みましょう?全然気にしてませんし」


そう言った途端、茜先輩の顔が明るくなり、再び抱きつかれた。


「ホンマに!?おおきに沙羅ちゃん大好きやー!!」


く、苦しい…

けど普段通りになって良かった!ここで、ずっと見学していた龍先輩が話し始めた。


…どこまで聞いたっけ?

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