Secret2
理事長室からでて数時間がたった。
私はというと、クラスの成金息子や、お嬢様達に囲まれていた。
「どこから転校してきたの?」
「庶民って毎日の夕食が煮干ししかないって本当?」
「私はご飯と梅干しか食べないって聞いたわ。」
「可哀想だわ。ステーキやキャビアを食べたことないのね。そうですの?沙羅さん。」
「いやぁ〜。あの・・・。」
ステーキは、食べたことありますっ。まぁ、キャビアはないけど・・・。しかも、ご飯と梅干だけっていつの時代だよ。
教室の中は凄く騒がしかった。
「庶民が転校してきたんだってさぁ。」
「まじかよっ。」
そんな会話がそこら中に響いていた。
「はぁ・・・。」
さっきから私に質問責めのクラスのお嬢様たちに少々困り果てていた。
「貴方達、沙羅さんが困ってるでしょ。もう、質問は止めなさい。」
私の周りを囲んでいた人はいなくなり、目の前に美少女が現れた。
「ありがとう。花憐ちゃん。」
「みんな悪気があって言ってるんじゃないから気にしないでね。」
目の前の美少女――西園寺花憐――は笑って言った。
花憐ちゃんは、ここに来て初めて出会った生徒で理事長の娘である。
確かに、理事長には似てるけどね・・・。
「やっぱり、白で正解だわ。」
「あ〜。う、うん。」
花憐ちゃんに勧められて白いブレザーを着たんだけど・・・。
「個人的には黒がよかったなぁ。」
小さく呟いたつもりが花憐ちゃんに聞こえていたみたいで・・・
「だって、あなた見た目が地味だから黒なんて着たらもっと地味になるでしょ。」
「はぁぁぁぁ〜!!」
確かに私は地味だと思うけど一般的に見れば普通だよ。ここでは、一般的には見なそうだけど・・・。ていうか、一般的がわからなそう・・・。
「クククッ・・・冗談よ。庶民ってリアクションが面白いのね。本当はあなたには、なんとなく白かなって思いましたの。」
「何となくって・・・。」
なんかそれも悲しいかも・・・。
「そういえば、貴方これからどうしますの?私は部活に行くけど、寮に帰る?あっ、でも寮の部屋がわからないかしら。」
「えっ、午後からの授業は?」
「授業は毎日午前だけよ。休みの日も勝手に決めていいし授業は別に出なくてもいいの。」
「えええっ〜!!本当にここ、学校!?授業が午前だけなんて・・・。」
まさに、パラダイス!!!!
「この学園は部活中心だから、授業より部活なのよ。」
「・・・。変わってるね。」
授業より部活なんて・・・。確かにそうゆう学校もあると思うけど、変な学校だなここ・・・。
「そうだっ!!!沙羅さんも私の部活に入らない?」
えええっ〜!!部活かぁ・・・。中学の時は掛け持ちで、空手や弓道・陸上・剣道・料理・吹奏楽部なんて入ってたけど・・・。
「ね、入りましょう。お父様から聞いたんだけど沙羅さんって社会の成績凄く優秀なんですってね。貴方にピッタリよ。私達の部活は!!!」
「花憐ちゃんって何部なの?」
社会の成績は、まぁ〜良かったけどそれに関係ある部活って何?
「フフフッ〜秘密。沙羅さんが入ってくれれば、分かることだわ。私達の部活は凄く楽しいわよ。」
花憐は不適な笑みを浮かべている。
どうしよう・・・。凄く楽しいなら入ろうかなぁ。でも、花憐ちゃんの笑顔の裏に何かありそうだし。考えすぎかな・・・?
「う〜ん。入ろうかな。」
ほんの興味本位で言ってしまった。
「それじゃ早く部活に行きましょう。龍先輩に遅いって怒られてしまうわ。」
花憐ちゃんにてを取られて廊下を走り出した。
「で、何・・・部か、教え・・・てよ。」
走りながら言っているせいで途中途中、言葉が途切れてしまう。お嬢のくせに走るの早っ!!!
やっと花憐の足が止まった。人は、見かけによらないのね。呼吸を整えながら思った。
花憐ちゃんは、大きな扉のドアノブに手を掛けた。
「フフフッ・・・。沙羅さん、ようこそ社会研究部へ!!!」
――この瞬間、私の運命は唐突に狂いだした――