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4話 悪役令嬢は国王陛下に感謝を捧げ…無い

読んで頂いて本当にありがとうございます。


今回で完結する筈でしたがもう少しだけお付き合いお願いいたします。次回こそ完結したい。完結後、エピローグ的な物を予定しておりますが、どうなる事やら。

完結するする詐欺ですみません。

それではどうぞご笑覧あれ。




ー謁見の間にてー



「父上!」


「ならぬ!」


「なっ!まだ何もしておりません。父上!」


「聞かぬ!」


「だからっ!まだ何も言っておりません。父上!」


「…何用だ。わしはお前の相手をしている暇は無い。今はどうやったらアーレスバッハを引き留め…そう言えばお前の婚約者と上手くやっておるのだろうな?そうだ。いくらあのアーレスバッハだとて娘が王太子妃、いずれはこの国の王妃になれば考えも変えるやもしれぬ…」


「父上!」


「ええいうるさい!いったい何だと言うのだ。お前はただアーレスバッハの娘を可愛がっておれば良いのだ!それくらいしかお前の存在価「陛下!」値は…誰だ?何だベルナルドではないか。宰相のお主が来るなど何かあったのか?」


「陛下、突然の御前失礼致します。先程アーレスバッハ公爵より王太子殿下とローズマリー嬢との婚約破棄の書類が提出されました。なおご当人達のご署名もございました。更に、これは何の意味も無いかと思われますがこの婚約破棄についての証人の署名も何通か添えられておりました」


「何だと⁉婚約破棄⁉バカを申すな!その様な事出来る訳があるか!ダリウス貴様!何を考えておる⁉」


「父上!私はローズマリーとは結婚しません!あんな卑劣で悪辣な女はこの国の王妃に相応しくない!それに私には真実愛する女性が「陛下!アーレスバッハ御前にまかりこしました」


「戯言を申すな、ん?アーレスバッハ⁉お主何時から…」


「恐れながら先程から娘と共に隅に控えておりました。この度、娘ローズマリーとの婚約を殿下が破棄なされると聞き、それが真実であれば陛下にお別れを「待て待て待て!」」


「わしはその様な事認めておらぬ!ダリウスが何を血迷ったか知らぬがこの婚約は国家の大事!たとえ王太子であろうとダリウスの一存で破棄など出来るものか!わしがさせぬわ‼」


「父上‼」


「陛下、アーレスバッハ公爵が娘ローズマリーでございます。この度は私と殿下の婚約についてお騒がせして申し訳ございません。ですが私もこの婚約破棄を望んでおりました。臣下でありながら陛下のご決定に異を唱えるなど有ってはならぬ事だと重々承知しておりますが、私には王太子妃、何れ王妃となり国母と呼ばれる程の才も覚悟もありません。日々思い悩んでいた私の心をダリウス殿下はご理解下されたのでございます」


「ローズマリー嬢、そなたの気持ちも判らぬでも無いがこの婚約、一個人の思いだけでは揺らがぬぞ。何よりわしが許さん」


「父上!私はこのローズマリーが王太子たる私の婚約者に相応しく無いと申し上げました!この女がどれだけ卑劣か私の話を聞けば父上もご納得して下さると思います!」


「卑劣とな?ローズマリー公爵令嬢がか?何をバカな事を…」


「いえ!この女はミシェルに酷い嫌がらせをしていたのです!所持品を隠したり髪の毛を引っ張ったり、罵詈雑言を浴びせたりしていたのです!本人は否定しておりますが配下の者や公爵気に近しい他の令嬢達にやらせていたのです!」


「……ダリウスよ。そのミシェルとか言うのは何者じゃ?」


「ミシェルはアグーテ男爵家の娘です。ローズマリーは私とミシェルが親しくしている事に腹を立てて様々な嫌がらせを「知らんな」は?」


「アグーテなどという男爵家があるのか?聞いた事も無いわ。まあ低位で名ばかりの貴族などいくらでも居るからな、まあ良い。それで、ローズマリー嬢がそのアグーテの娘に嫌がらせをしたと?証拠は有るのか?」


「い、いえ…ですがローズマリーが指示していたに違いありません!ミシェルもそう言っていました!本人もここに来ておりますミシェル!」



「はい!ここに居ます!」

(来た!来たわ!ここが勝負所よミシェル!絶対に私が王太子妃になるんだから!)


「あ、これっ!そんな無礼を‼」


「……ベルナルド良い。それで?アーレスバッハ公爵令嬢がその方に嫌がらせをしたと申すのだな?」


「はいそうなんです!私とダリウス様が仲良くしているのを妬んで意地悪をしたんだと思います!ローズマリー様は隣国に行っていて私の事を知らないと言っていますが、きっとこっそり帰って来て私を見て嫉妬したに違いありません!私はただダリウス様がお一人で寂しそうだったのと、何だかお疲れの様だったので少しでもお慰めしたかっただけなんです!それなのに…ウウッ」


「ミシェル!」「ダリウス様!」


「はあ……ベルナルドよ、この茶番はどうすれば良いのだ?」


「陛下の御心のままに…」



「そうか…それでダリウスよ、それの何処に問題が有ると言うのだ?」


「なっ父上!ローズマリーはミシェルを貶めたのですよ⁉そんな性根の腐った女を王太子妃にする訳にはまいりません!」


「…3大公爵家筆頭のアーレスバッハ公爵令嬢が聞いた事も無い男爵家の娘に何かしたとして、それが何故婚約破棄に繋がるのか、わしにはさっぱり判らぬ。貴族社会は純然たる階級社会だ。階級、序列によって身分が決められておるのは理解しておるか?」


「はい…承知しています。ですが!」


「身分が上の者が下の者を虐げる、貶める、そんなものは日常茶飯事で当たり前の事だ。お前だとて王太子の身分を嵩に着て好き放題しているでは無いか」


「私はその様な事しておりませぬ!」


「そうかな?執務中の宰相をこうして連れてきて、更には身分定まらぬ子弟や低位貴族の娘をこの謁見の間に招き入れておるでは無いか。この謁見の間は伯爵位以上の貴族しか入室を認めておらぬ。よほどの大事で王に目通りを願うならば、まず謁見願いの書状を出して審査の上、謁見の日取りが決まる。それは他国の貴族にも同じ対応をしておる筈だがな。ベルナルドよ、今日の予定に入っておったか?」


「いえ、入っておりませんな。突然殿下がやって来て、付いて来る様に命令されまして。私も仕事中でしたが王太子殿下に言われれば従うよりありませんからな」


「アーレスバッハ公爵もか?」


「はい。宰相殿と話をしている所に殿下が来られて、ここまで娘と共に付いて来た次第で。公爵と言えど王太子殿下には逆らえませぬからなあ」


「そう言えば、お仲間を城に入れる様に警備の騎士達にも命令した様で」



「た、確かに友人達を城に入れる様に言いましたが、それは彼らが大事な証人であった為で…」


「黙れ!もしもその中に王を害する目的を持った者がいたら何とする?お前は警備の騎士の仕事も宰相の仕事も何と心得ておるのだ?」


「そ、それは…ですが、私の婚約は国にとっても大事です!ですから私は」


「ほう。それは理解しておるのだな。ならば婚約破棄などという戯れ言を言うのは止めよ。そしてアーレスバッハ公爵令嬢を侮辱した事を詫びるのだな。おい、警備の騎士はおるか⁉そこの娘と後ろにいる小僧どもを捕らえて牢に入れておけ!」


「父上⁉何故ですか⁉何故ミシェルを牢になどと!」




(あら…不味いですわね。まさか陛下がマトモな事を仰るとは…。キレイなまま終われると思ったのですが甘かった様ですわね。仕方ありませんわ、全てはあの方と私の幸せの為ですもの!)



「申し訳ございません!」


「な、何を突然に…どうしたのだローズマリー嬢?」


「私、私が悪いのですわ!ええ、私はミシェル様に酷い事を致しました!新品の様にキレイな教本にラインを引いたり、後ろから突き飛ばして階段から落とそうとした事もございますが、その前に自分から飛び下りてしまわれたので慌てて先生を呼びに行こうとしたら元気に走り去っていかれた事もございます。ミシェル様のドレスにトマトソースの染みがあったので誤魔化して差し上げようとワインをかけたり、ミシェル様が落第点を取ったテストを掲示板に貼ったのも、赤点一色の成績表を食堂に置いておいたのも全て私のした事でございます!」



「なっ!私そんな事!…」



「私は殿下との婚約が決まってから毎日苦しゅうございました。どんなに殿下に貴族の務め、王族としての義務と責任をお話ししてもご理解して下さらない事に自分の力の無さを痛感して辛うございました。こんなに私が苦しんでいるのに殿下とミシェル様は身分も関係無く親しくしておいででした。私が殿下にお話してきた事は無駄だったのです。もう私には殿下の婚約者は務まりません。陛下のご命令なれど私はアーレスバッハ公爵令嬢として辱しめは受けたくございません。お許し下さいませっ」


「ローズ!」「ローズマリー嬢!」「待たぬか‼」





(ハアハアッ ここまで来れば追いかけて来ないでしょう。この衣装部屋でしばらく休憩していましょうかしら。細工は粒々、仕上げを御覧じろってね。それにしても喉が渇いたわね。お茶なんてこの部屋に有るわけ無いわね…)


(お嬢様、冷たいのと温かいお茶どちらがよろしいですか?)


(ひゃうっ ジル!脅かさないでよ。でも嬉しいわ、冷たいお茶が良いわね。ここでお茶を飲みながらゆっくり観劇しましょうか。ジル【目】は持っているわね?)

(はい。あちらと繋げて有りますから直ぐに見る事が出来ますよ)


(さすがねジル。では見てみましょうかしら)

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