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その1 : 婚約破棄ありがとうございます!

他作品を書いているうちにアイデアに詰り、突発的に書きたくなった物です。


人の名前や国の名前を考えている間も無く、降りてきたストーリーなので登場人物も極力少なくしたい…貴族物を書いていらっしゃるなろうの諸先輩方尊敬します。長い名前駄目絶対!そんな作者が送り出す物語です。




「ローズ、いやローズマリー・フォン・アーレスバッハ公爵令嬢!私は貴様との婚約を今ここで破棄する!」


「まことでございますか?王太子殿下⁉」


「ああ!貴様は次期国王たる私に相応しく無い言動が「ありがとうございます!」目に余る…は?ありがとうだと⁉」


「はい!殿下はやはり判っていて下さったのですね!さすが英明なるダリウス殿下です!私が本当は殿下と結婚など畏れ多いと以前から悩んでいた事をご存知でしたのですね?だから私の心を汲んで下さって婚約を破棄して下さるのでしょう?本当に感謝申し上げます。私は領地で民の為に出来るだけの事をしようと思っております。農作物の生産量の向上や街道の整備など、この学院で学んだ事を生かして誠心誠意領民の為、ひいては国の為に尽くしたいと存じます」


「な、何を言っているのだ貴様は⁉私が貴様の気持ちを考えて婚約を破棄しただと⁉」


「本当に殿下はお優しい方ですわ。私からは言える筈も無い事を察して御自ら婚約破棄を仰って下さるなんて!ですが殿下、殿下も私もまだ成人となってはおりません。殿下が私の為に婚約破棄をしてくださるのは本当にありがたいのですが、問題がございます」


「も、問題?問題などある筈も無い!」


「いいえ。このままでは殿下のご厚情が無になってしまいます」


「無に?何故だ⁉私は王太子だぞ!私の決定に誰が異を唱えると言うのだ‼」


「国、がでございます。恐れながら王太子殿下とこの国に3家しかない公爵家の1つである我がアーレスバッハ家の娘との婚約は国家の決めた大事でございます。そこには個人の思いなど介在いたしません。高度な政治、経済対策があるのみでございます。お分かりでしょうか?」


「そ、それは確かにそうだが、だが私は‼」


「はい。殿下は本当にお優しい方ですわ。それでもこの婚約を破棄して下さると仰るのですから。ですがこのままでは国王様や宰相様などお国の重鎮の方々から反対されてしまうでしょう。ですから、こちらにお集まりの皆様に証人になって頂きご署名して頂きたいのです」


「なに?証人?署名だと?そんな事をせずとも貴様の悪行を「いけません!」ばら何だと⁉」


「殿下も私も、成人前。政治には関わっておりません。そんな私達が騒いでも握り潰されてしまいます。ですがここにいらっしゃるのは高位貴族の御嫡男ばかり。私以外の公爵家の方々もいらっしゃるではありませんか。この方々の御署名を添えて婚約破棄の書類に殿下が御署名すれば必ずや国王様も宰相様、お歴々の皆様も婚約破棄をお認めになられる筈でございます」


「そうか!だ、だが婚約破棄の理由が「誰か紙とペンを!」」


「ローズ様、ここに!」


「まあジル!貴方は本当に優秀な従者ね!では皆様に証人としてご署名頂いてちょうだい。私は婚約破棄を了承する旨の署名を致しますから、殿下はここに婚約破棄を宣言する旨のご署名をお願い致します」


「あ、ああ。ここだな」



「さあここに私を除く2大公爵家御嫡男様、12伯の内7伯の御嫡男様、更には教皇様の御次男様のご署名がありますわ。これを添えて婚約破棄の書類を宰相様に提出すれば貴族会議においても覆る事などありませんわ。殿下のお手を煩わす訳にはまいりませんので私が父とともにお城に上がり、必ずや宰相様にお渡し致しますわ。皆様ご協力感謝申し上げます。では私はこれにて御前失礼致します」


「あ、ああ…じゃないローズ!ローズマリー待て‼」


「チッ……まあ殿下、まだ私に何か?私はこれから領地へと急ぎ帰りたく思っておりますが…」


「ローズマリー貴様に聞きたい事がある!貴様はこのミシェルに悪辣な嫌がらせをしていたらしいな!いや何も言うな証人もいるのだ!」


「あの殿下」


「言い訳は聞かぬぞ!貴様も公爵令嬢ならば潔く認めよ!」


「いえ、その前にミシェル様とはどなたの事でしょうか?」


「何を白々しい!散々嫌がらせをしておいてまだ言うか‼」


「もしかして殿下のお隣にいらっしゃる方がミシェル様?それで私がそのミシェル様に嫌がらせをしたと?おかしいですわね?」


「何がおかしいと言うのだ⁉ミシェル自身が言っているのだ!貴様に、ローズマリーに髪を引っ張られたり本を隠されたりしたと!更には身分低い男爵家の娘が高位貴族や王族に近寄るなと脅されたと泣いていたんだぞ!どうだ申し開きがあるか‼」


「はい、ございます」


「無かろ、なに⁉」


「私がそちらのミシェル様?を拝見致しましたのは今日が初めてでございます。私は先月より隣国に嫁いだ姉の出産祝いに行っておりましたので。殿下にもその旨お手紙でお伝えしていた筈ですが?」


「うっ!だが私も父上に言われて来訪中の皇国の王子の相手をしていてしばらく学院に来る事が出来なかったのだ!貴様の手紙など見る暇も無かったわ!」



「では…私が1ヶ月学院を留守にしている事をご存知無かったと?ところでミシェル様はいつからこの学院に?高等部のご令嬢の数はそう多くはございませんのでほとんどの方を存じているつもりでしたが、ミシェル様の事は申し訳ございませんが存じ上げません」


「ミシェルは1ヶ月前に編入してきたのだ。低位貴族ながら勉学に非常に優れているという教皇殿からの推薦でな!」


「まあ教皇様からの推薦ですか‼優秀なのですねミシェル様。残念ですわ隣国に出掛けた私と入れ違いでしたのね。それならば私が存じ上げ無いのも仕方がございませんね」


「なに⁉」


「ですから、私は1ヶ月前から学院を休んでおりましたので、ミシェル様が編入して来た事もお目にかかった事もございません。ましてや嫌がらせ?などと殿下の仰る意味が判りません。証人、と仰いましたがここにいらっしゃる皆様方ですか?どなたかこの1ヶ月私を見かけた方がいらっしゃいますか?」


「「「…………」」」


「いらっしゃらない様ですわね。殿下も皆様も、そしてミシェル様?も何か勘違いをなさっておられる様ですわね。ただ皆様?私は三大公爵家アーレスバッハ家の娘でございます。謂われ無き誹謗中傷には黙っているわけにはまいりませんのでご承知おき下さいませね。では殿下、御前失礼致します」


「ま、待て‼」


「お嬢様、公爵様からの迎えの馬車が参りました。お早くどうぞこちらへ」


「そう、お父様は気が短くていらっしゃるから、すぐに行きますと伝えてくれる?」


「ですがお嬢様…まだ」


「大丈夫よ。ああ、そうだわ!この書類を先にお父様にお渡ししといてくれる?私もすぐに参りますから」


「……かしこまりました」



「ローズ!」「「「ローズマリー嬢!」」」「ローズマリー様!」




「殿下、婚約を破棄して下さり本当にありがとうございました。皆様方もご署名感謝申し上げます。これからは他国の者になる私ですが、今までお付き合い下さりありがとうございました。では「待て‼」」


「はい?まだ何かございますか殿下?」


「他国の者になるとはどういう事だローズマリー‼」


「あら?言っておりませんでしたか?この婚約破棄をもってこの国と私どもアーレスバッハ公爵家とそれに連なる一門との契約は破棄されましたので、次なる契約主である隣国へと参ります。本来であれば、もう少し早くこの国との契約は切れていたのですが国王様が殿下との婚約を願われたので仮の契約延長となっておりました。ですがその婚約もただ今破棄されましたので我が一族との契約もこれまででございます。詳しい事をお知りになりたければ国王様にお聞き下さいませ。私は父が待っておりますのでこれで失礼致します」

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