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見えない友達

作者: 神名代洸

僕の幼馴染みの武田くんが持ってきた不思議な話を聞いてください。

武田くんはいつも冒険をするのが大好きで、知らない場所へも進んでいくような子だったそう。そこで出会った男の子を連れて出かけることも多かった。でも、その子はどこに住んでいるのかは全く知らなかった。

そう、あの日までは…。


その日はいつも出会う男の子と落ち合い、連れ立って森の中へと入っていった。

その森はそれほど大きくはないが、子供にとっては絶好の隠れ家ポイントだ。

「なぁ、ここどうだ?」

「うん、いいと思うよ。」

吉田くんは少年と二人で森の中へと消えていった。その姿は近所のお母さんがたがたまたま目撃していた。

「おーい、吉田くん。」

その問いかけに応えるでもなく森の中へと吸い込まれていった。

お母さんがたはまだ日が明るいので大丈夫だと思い、母親へは連絡しなかった。


一方森の中へと入っていった二人は木々の中登れそうな木があるのを発見した。

「お、いいじゃん。登ろうぜ!」

「危ないよ。」

「大丈夫だって。」男の子をその場に残して吉田くんはグングンと登っていった。見晴らしがいい場所で腰掛けると下から男の子が登ってくるところだった。けれども顔は見えない。それはそうだ。木々を見ながら登らないと危ないからだ。それにしても登るのが早い。とても子供が登るスピードじゃない。

初めて男の子の事をじっくりと見た。

その時ニヤリとした顔をまじかで見てしまった。その顔は真っ青だった。とても生気が感じられない。

「ヒーッ。」

慌てて登り始めた吉田くんは木々を伝いながら別の木に移り進むことができた。そして急いで木を降りた。時間が思ったよりもかかったのは恐怖で足元がおぼつかなかったから。

それでも、男の子よりかは早く降りることができ、その場から走って逃げた。

後ろで男の子がケタケタ笑いながら走ってくる。追いつかれそうで怖く、必死になって森から出ようとしたが、森の奥の方まで来てしまっていたらしくなかなか出られずにいた。あたりは段々暗くなる。


母親は息子がなかなか帰ってこないので心配になっていた。

途中お母さんがたと出会い、吉田くんが走って森へ入っていったということがわかった。

暗くなれば森は危険になる。

森の出口で息子が出てくるのを待った。

すると程なくして吉田くんは森から抜け出すことができた。

全身木の葉っぱや擦り傷切り傷がいっぱいあったが大した怪我はないことにホッとしていた。

吉田くんは母親の姿を見てホッとした。この時になって初めて後ろを振り返ったが、真っ暗な森は何も吐き出してはこなかった。

恐怖から解放された吉田くんは突然泣き出し、母親を困らせたが二度と森へは入ろうとしなかったし、知らない場所へは行かなくなった。


後でわかったことだが、森に入っていったとき、吉田くんは一人だったと目撃したお母さんがたが話してくれた。

あの男の子は一体誰だったのか……何故吉田くんに見えたのか…未だにわからないとのこと。


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