霊夢の授業
僕は紫さんに言われて、霊夢にこの世界での戦い方を教わることになった。
なんでも、霊夢はこの世界でも1、2を争う実力者なんだそうだ。
まあ、一部の人は未だに本気を見せたことがないので、わからないらしいが。
それでも、霊夢の実力はかなり強い部類だと聞いた。
「じゃあ、先ずは基礎からよ。さっき教えた霊力を使って、この的に当てて」
僕は言われた通りに、指先に霊力の弾をつくるイメージで、力を捻出する。
「できた!」
「ハイハイ。じゃあ、的に当てなさい」
子供みたいにはしゃぐ僕を、霊夢は冷たくあしらって催促する。
もしかしたら、霊夢は俺に戦い方を教えたくはないのかもしれない。
紫さんに言われたからやってるだけ、とか。
「キャッ!」
僕は少し不満げに思いながら、霊力の弾を霊夢の持つ木の板に撃ち出す。
僕の弾は高速で木の板に向かっていき……木の板は爆散した。
「え、何だこれ」
「ちょっと……あんた、私に教わる必要ないんじゃない?」
霊夢は少し苛立ちながら、僕にそう言った。
霊夢、そう言ってくれるな。僕だってビックリしてるんだ。
「ま、次ね。的を増やしていくわよ」
霊夢はそう言って、倉庫から長机を取り出し、二枚の木の板を立てる。
僕はタイムラグがなるべく少なくなるように、二つ続けて撃ち抜く。
「じゃ、次ね」
霊夢はそう言って、机の上にクルクルと縦回転の板を投げる。
僕はそれの少し下を狙って、霊力弾を放つ。
霊力弾はピッタリ板を撃ち抜く。
「よし!」
「あら、調子いいわね。じゃあ、一気にいくわよ!」
霊夢はそう言って、上に木の板をばら撒いた。
僕は霊夢に当たりそうな板だけを狙って、どんどん撃っていく。
結果、霊夢には一つも当たらず、全ての板は地面に落下した。
「もう、教える必要ないわね。スペルカードだけ教えてあげる」
霊夢はそう言って、僕に一枚の札を渡す。
「それは、スペルカードと言って、弾幕戦の必殺ワザを発動するためのカードよ」
弾幕戦については、さっき霊力に関することと共に、ある程度教えてもらった。
最近では、肉弾戦もルールに組み込まれた、と言っていたが、スペルカードはルール上、三回使える奥の手だ。
まあ、スペルカードを使用することで身体能力を上げたり、能力を変える場合は、そうとも限らないらしいが。
「じゃあ、実際に見せてあげる。人里に行きましょ」
僕は突然、記憶の中で初めてのデートに誘われた。