「訪問者は同居人?!」
目が覚めるといつもの見慣れた天井そして嗅ぎなれた朝の香り。ここはなんの変わりもない平凡な家。ほんとに何にもなくて飽き飽きするくらいだった。でも、たった一回のチャイムの音で私の平凡すぎる生活は一瞬で変わってしまったのだ…。
和やかな風が吹く穏やかな春の日、心地よい朝日に照らされながら目を覚ました私はダルそうに時計に目をやるとまだ10時前だった。せっかくの春休みなんだからともう一度眠りにつこうと目を閉じようとしたとき「ピーンポーン」と甲高いチャイムの音が響いた。私は誰か来たのかな?と思いながらも母が出るだろうと思い、もう一度まぶたを閉じようとすると、一階から母の声がしたことでまた瞼をあけた。
「鈴ー。悪いけどお母さん手が離せないから出てちょうだい」
「ええー」
「携帯料金、払わなくてもいいの?」
「だぁぁぁああ!すみません今すぐ行きます」
ベッドに横たわっていた私は母の言葉で一気にベッドから飛び起き、一階へと駆け下りた。くそぅあの親め私が携帯料金に弱い事わかってていいやがったな…。台所で洗い物をする母をにらみつけながらもしぶしぶと重い玄関のドアを開けた。
そこには、今までに見たことのないくらい少しかわいらしいが整った顔だちをした美少年がたっていた。私は尋ねて来る家を間違えたんじゃないかと思った。だってこんな美少年がうちを訪ねて来る訳がない。どう考えてもおかしい。そんなことをグルグルと考えていると
「由貴さんいますか?」
と、美少年が聞いてきた。由貴とは私の母親の名前だ。でも、なぜこの人がしってるんだろ…。また、そんなことを頭で考えていると台所から母が出てきた。
「あら、湊くん。もう着いたのね。大きくなったわねー」
母はその美少年を知っているようで、娘の私さえも見たことがないくらいの笑顔で話をしている。まったく、お母さんはカッコイイ人がいるとすぐこうなんだから。実の母親でありながら呆れてくる。
それにしてもこの美少年はいったい誰なのだろうか。そんなことを考えていると母が紹介をしてくれた。
「鈴。こちらは、野々村湊(ののむらみなと)君よ。」
しばらく、その美少年に見ほれていると母にあいさつして!と堰かされ
「えっ、あ、えと、岡崎鈴(おかざきりん)です。」
戸惑いながらも何とか挨拶をして安堵の息をつこうとしたところだった
「今日からここに住むことになるからね」
…は?今なんとおっしゃいましたかお母様。ここに住むとかいいませんでしたか?私はただでさえ頭がゴチャゴチャしているのに、いきなりペンキで真っ黒に塗りつぶされたかのようにもうなにがなんだかわからなくなっていた。しかし、私がこんな事をしている内に、話はどんどんと進んでいき最後には私だけ置いてけぼりをくらってしまった。
おいおい、つくづくなんて親なんだあの人は…。実の娘にろくに説明もなしですかっ?!というか、同居人が来ることも聞いてなかっ…って、ん?同居人??………危うく大事なところを流してしまいそうだった。あの、美少年が今日から私の同居人ーーー????
そんな…あんな美少年がうちにいたらろくにご飯も食べられないよ。ってゆうか、目が持たないよ。あんなキラキラ光る物体飛ばしてる人をみてたら私、失明しちゃうよ。
私は、母の後を歩いてゆく野々村湊の背中を見つめて思った。あぁ私の生活はこれからいったいどうなってしまうんだろうか…。
初投稿です。
初回から連載はハドルが高いかと思いますが、作者として全力で書き上げていきますので、よろしくお願いします。