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夢覚めて、晴天の霹靂

どうも、第2話になります。

今回力を入れてみたのは各キャラの心情を行動で描写するという所です。


意識して読んで感想を述べていただければ嬉しいです。

 「父上ー、父様ー、親父殿ー、どこにいるのですか?」


 僕は屋敷の中を走り回って父上を探していた。ばぁやとか女中集に走ってはいけないと注意されていたけど屋敷には誰もいない。そんなの不安でしょうがない。

 しかし、すぐに後ろから重々しい低い声が高い位置から聞こえた。


 

 「馬鹿者、その歳で何が親父殿ー、だ。お前の母上はどんな教育をしているのか?」



 よく聞きなれていた声。父上が屋敷に滞在するとき武勇伝を聞かされるその声そのものだ。そして後ろを振り返るとやはり見慣れた人影が、

 「あ、父上。いつの間に後ろへ?」

 「ハッハハ!! これでも現役の軍人だぞ。幼子おさなごに気付かれずに背後に立つことなど紙を裂くことよりも容易だ」

 

 そう大きな高笑いをして僕の体を大きな両手で抱え上げた。すると自然と視線が重なりあった。彫りが深い顔に優しくどこかおごそかな雰囲気がある両の瞳は黒く、髪もまた同じく黒い。


 「……いいかウラル。ファントム家は軍人の家系だ。ファントム家の男はなぁ、ただ強けりゃいいんだ。強けりゃ誰でも認めてくれるんだ。少しアホで傲慢でもな、誇りを持って自分の信じる道を歩めば、おのずと誰かがついてきてくれるんんだ」


 「……父上の言うことはたまに訳が分かりません。それは何かのお告げでしょうか?」

 父上は神妙そうな顔をして、僕の瞳を覗き込んだ。

 「いや、ただ覚えてくれれば、それでいいんだ。心の片隅に置いてくれても構わんぞ」



 「……ッ!! 父上、このウラル・ファントム自身の名にかけて今のお言葉忘れはしません!!」



 「……ははっ。期待してるぞ若き英雄」

 父上は満面の笑みを浮かべた。父上の両の瞳に映る僕の顔もまた笑みで満ちていたが、そこに映る僕の両目は父とは違った赤色のまるで紅玉のような色をしていた。


             †††            †††            †††



 「……、ラル。おーいウラル。起きなさい」

 あぁん? 何か姉御の声が聞こえるぞ。いやいや、俺は姉御を倒したんだ、むにゃむにゃ。

 「ウラル、寝てるふりは止めなさい。ねぇさん、ちょっと本気でお仕置きしたくなってきたよ?」

 

「起きた、今起きました!! 決して寝たふりなどしてませんぞ!!」

 

 俺は正直者なので目を見開き、上体をくの字に起こす。

 最初に視界に広がったのは青い空と白い雲。なんの変哲もない平穏な空。そして、その空へ飛び立たんとする勢いで体を起こすと次に目に映ったのは、


 姉御の唇の両端がすぅと吊り上った妖艶な笑みと、細い両手で持ち上げられた大きな岩だった。不穏な気配を感じた俺は数秒程、硬直していたが姉御の両腕がほんの少し震えると我に帰った。


 「姉御っ、どこからそんな岩を!? そしてその怪しい笑みは何だ?」


 俺は意外と俗世に疎いから姉御が使うような“魔法”とかいうもんはよく分からん。法則だとか応用だとかそんな小難しいもんはよく分からんし、知ろうとは思わんな。何故なら、俺は強いからだ。小手先で勝負なんて剣士を目指す俺からすれば、論外だ!!


 「私はあんた程の馬鹿力は無いからこうやって魔法とか気力パニッシャーみたいな小手先で勝負するしか出来ないのよ」

 

 まぁ、姉御は俺と同じくらい強いからな。そういう戦い方もあるんだとは思うがあれだ、……姑息こそくだ!! なんて言わんがな。


 「せめて寝てたんなら、村に連れてってくれれば良かったのに……」

 俺は小さな声でぼそっと言うと、姉御がどこから出したか分からない大きな岩を放りなげ、両手についていたであろう砂をはらう仕草をした。しかし、岩が地面にめり込む程の大きな音がしたので砂をはらう手の音は聞こえなかった。


 「あんな巨大な剣とあなたを両方持って? それにあの剣は特別でしょ……」

 姉御はそう言って、大剣の方を見た。


 そうだ、我が愛剣『大地を砕く剣』はファントム家の象徴の宝剣であり、少々特別なのだ。あの剣は見ただけで分かるが大剣だ。しかし、何人もの大の男が囲って持ち上げようにも持ち上げられない。魔法とかいうやつがかかってる訳じゃない。


 ただ、重すぎるのだ。故に扱える者は俺を除いて初代ファントムだけだったために、俺が引っこ抜くまでは屋敷の中庭に突き刺さっていた。最古の宝剣にして、重厚長大のつるぎ


 「まぁ、確かにそうだけど俺以外の人間で持ち上げられるのっているのか? 人外だったらいけなくもないかもしんないけどさぁ」

 「お喋りは良いから、さっさと剣を担いで村に戻るよ。もうお昼過ぎるからね」

 姉御はそう言って我が愛刀のほうをあごで指してから物恋しげに見つめていた。


 俺はすぐさま立ち上がり、地肌がめくれ上がっている場所の中央へ歩む。斜めになって刺さっている剣の長い柄を持ち引き抜き、掲げる。

 剣の長さは2メートルは超え、幅は肘から指先までの長さ程で厚く重々しい。何で出来ているのかは分からないが、剣の両腹を覆うように無数の金属の板が不規則に複雑に合わさり、龍鱗のように見えなくもない。刃は陽光にきらめき、鈍い輝きを放つ。悪龍の禍々しさを窺えるようで、純粋な剣としての猛々しさを感じることが出来る。それだけこの剣は永い年月を過ごしてきたのだと分かる。


 俺は年若く成長途中ではあるが背が高い方かもしれない。しかし、剣を背に収める程背は高くない。だから、俺は剣に念じた。ただ、小さくなれと。

 すると大剣の幾つもの龍鱗のように見える金属板がカシャカシャと作動音を鳴らせて板から板へと収納されていく。それに合わせて刃も縮小されていき携行できる程の剣の長さになった。

 流石の『大地を砕く剣グランド・スマッシャー』の銘もここまで小さくなると威厳が微塵も感じない。


 「今日の修行はここまでで良いから、村に着いたら依頼を確認しにいくよ」

 

 「げぇ、酒場に行くんだろ。あそこ煙草たばこ臭いから行きたくねぇんだけどな……」


 俺は吐き捨てるように言ってから、腰にぶらさげた飾り気もない鞘に小さくなった剣を収めるてから姉御がここを歩み去る後についていく。


 

~次回予告~

次の話で依頼を受けに行きたいと思います。

某怪物狩人のシステムが少し入ってるかもしれませんが、気にせんで下さい。


※予定は未定であり、一部変更があるかもしれないのでご了承下さい。

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