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Red tea  作者: 紅騎士と黒猫
お泊まり会
9/19

№3


 クリスと双子は一緒にベッドの上で丸まって寝ていた。


 「クリス兄、今日は楽しかったね」と、玲がこそこそ話をするように喋ってきた。


 「ああ、そうだね」


 ……あのベイビードールって奴は気に食わない。


 「私たち、いつ元の世界に帰れるの?」


 不安そうな顔でクリスを見つめる。


 「明日には帰れるよ」


 そんな保証はどこにもないけど……。


 「でも俺、ここにずっと居てもいい気がする」と鈴が言った。


 「スノーもコレスティーノって奴もおもしろいし、ベイビードールは趣味悪いけど嫌いじゃないな」


 すると玲は「私も。ここに居ると幸せな気持ちになっていくわ」と笑う。


 クリスは黙って双子の頭を撫でた。


 その時。


 「こんにちわ~」


 「きゃあっ!!」


 不気味な男の声に玲がびっくりして叫んだ。

 

 クリスは暗闇の中、見事その男をとっ捕まえ、一発お見舞いしてやった。すると、男はうめき声を上げてその場に倒れ込む。


 「痛っ!!何するんだよ、俺たち友達じゃないのか!!」


 「その声は……コレスティーノ?」


 クリスは殴ったことを詫びもせず、怖がる双子たちを背中に隠した。


 「ここで何してんだ?」


 コレスティーノに気付いた鈴が尋ねた。


 「えっ? コレスティーノ?」


 玲もコレスティーノと判り、おずおずとクリスの後ろから顔を出す。


 「よっ、双子ちゃん。―――鼻血、出てるんだけど」


 「まったく。こんな夜中になんだい?」クリスが呆れた口調で聞く。


 「いや。でも、俺、あの時食堂にいなかったから……顔が見たいなと思って」


 ああ、そういえばいなかったな。クリスはこの時初めて気付いた。


 「じゃっ、明日海で遊ぼうな」


 「海があるの!?」


 玲と鈴が興味津々に聞いた。目が輝いている。二人は海というものを見たことがないのだ。


 「ああ、とても綺麗だよ。ダイヤモンドの砂浜だ」


 「ダイヤモンドの砂浜?」


 「そうだよ。じゃ、明日。うきわを忘れんなよ」


 コレスティーノは帰りざまにウィンクした。


 「なっ……!! うきわ無しでも泳げるよっ!!」


 鈴が抗議した。


 「本当かぁ~? 溺れても助けてやらないぞ?」

 

 コレスティーノはにやにやと笑って言う。すると、玲が胸を張って宣言した。


 「大丈夫よ。もしそうなった時は、私が助けるから」


 「玲……」


 鈴は項垂れる。普通はそれを言う立場が逆だろう、と思った。


 そんなやりとりを見て、明日も忙しくなりそうだとクリスは大きなため息をついた―――。




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