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Red tea  作者: 紅騎士と黒猫
楽しいお茶会
3/19

№3

 「はははっ。止めておいた方がいい、君はべビィーの蹴りには耐えられなさそうだ」

 スノーはほぼ義務的に笑った。

 「んー、蹴りなら大丈夫かも。博士で慣れてるし。あ、でも、あんまり痛い思いはしたくないかな……」

 はっきり言って、御免だ。

 「だったら止めた方がいい。あそこが潰れそうな蹴りだから」

 さらりと恐ろしいことを言う。

 ベイビードールって、本当に男なのかな。自分も同じモン持ってるくせに、容赦ないってちょっと恐い。ますます敵にしたくないな。

 「っというか、『博士』って誰のことだ?」

 スノーは当たり前な質問をした。

 「博士は博士だよ。俺と玲の義父さん。まあ色々な事情があって、今は一緒に暮らしていないけどね」

 「さっき『蹴りなら』とか言ってたけど。虐待されてたのか?」

 「そういうわけじゃないよ」

 鈴はその後すぐに「多分」と付け加えた。

 すると、後ろから「おーい!」と叫びながらパンツ一丁でやってくる、いかにも変態そうな奴がやって来た。コレスティーノだ。

 彼はまっしぐらにスノーのところに来ると、こう言った。

 「聞いてくれん?スノー。さっきそこで水浴びしとったら……」

 コレスティーノはザリガニを指した。ザリガニは、コレスティーノの下腹部にある『何か』をはさんでいる。

 「不潔な」

 ベイビードールは吐き捨てるように言った。

 「お気の毒。俺が取ってやるよ」

 スノーは面白がってザリガニを引っ張った。

 「あぁぁぁ!! いきなり痛いやんかっ、スノー!!」

 涙目でコレスティーノは訴える。

 「でもほら、取れただろ」

 スノーにその訴えは伝わらなかった。

 




 「ちょっと、そこにいるあなた」

 玲はコレスティーノにつかつかと歩み寄り、愛用の武器『スクラマサクス』を彼の眼前に突き付けた。

 「そういうのは鈴の目の毒になるから止めてくれる?」

 コレスティーノはわざとらしく肩を竦め、「わぉ。これは友達になりたいっていう挨拶やな」と言う。

 「いや多分、お前キモいから近づくなって挨拶だ」スノーが冷静に言った。

 「そんなことないで、友達になろうって言ってるんや」

 ベイビードールは溜息をついて呟いた。「お前のそのポジティブな考えは一体どこから来るんだ」

 




 「玲っ」

 鈴は慌てて玲に駆け寄った。

 「僕は平気だよ。だから君は気にしなくていいんだ。それより僕は、玲がこんな奴―――コレスティーノ―――の近くにいるってことの方が嫌だ」

 そう言って、鈴は玲を抱きしめた。

 「俺の言うこと分かってくれるよな? 玲」

 「え? あ、その……う、うん」

 すると周りが赤や青やピンクや紫など、色とりどりになっていた。それはルピナスの花だった。一瞬にして辺り一面花畑になってしまった。

 「ふむ。お前たちの愛がルピナスを咲かせたようだな。生命が繁殖を繰り返すのは一なる元素だ。それが愛だ」

 「俺とべビィ―の時は咲かないよね」

 「俺はお前のことが大嫌いだからな」

 「はいはい。今はっきりと分かりますった」

 「俺のベイビードール様への愛は強いで!!」

 コレスティーノが負けじと言う。そこは皆スルーした。玲と鈴は訳が分からず困惑している。

 「ねえ、コレスティーノ。鈴って可愛いと思わない?」

 出し抜けに玲が言った。

 「いや。俺はベイビードール様以外、可愛いとは思―――」

 「お前たち凡人の身には分かるまい、一なる元素の神聖さを。しかし、いずれ分かる時がくるであろう。無幻の力はそれを教える」

 そう言うとベイビードールは近くにある、崩壊した石像に一瞥をくれた。

 「玲、鈴。よく見ておけ。―――さあさ、思い出してごらんなさい」

 石像はゆっくりと徐々に砕け散った欠片を繋げ、壊れる前の姿に戻っていった―――。

 




 

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