表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Red tea  作者: 紅騎士と黒猫
シャンデリア戦
15/19

№3

 

 「やれやれ、本当に殺ってしまったではないか」


 ベイビードールが満面の笑みを浮かべている。


 「さてと……。鈴を蘇らせなければな」


 ベイビードールが「立て」と言った。すると、鈴の身体はむくむくと起き上がる。


 鈴は全身血だらけだった。


 ……ちょっと怖いんだけど。玲は思った。


 「ここから面白くなるぞ」


 スノーが身を乗り出して言う。コレスティーノも陽気に笑いながら鈴に見入った。


 「何を笑って見ているんだ、鈴を手当てしなくちゃ駄目だろ!」


 クリスはスノーたちをたしなめ、ばっとシャンデリアまで飛び降りると、こんなこともあろうかと用意しておいた救急箱を開き、てきぱきと治療を始めた。


 そのおかげか、鈴は何とか『まとも』に見れる状態になれた。


 鈴は治療を受けている間、黙りこんでいた。時折玲の方を向いては、すぐに俯いてしまう。玲に何か言いたいことがあるのかもしれない。邪魔をしてはいけないと思ったクリスは、すぐに観客席へと戻って行った。


 そして、シャンデリアの上では新たな戦いのゴングが鳴り響いた―――――――。


 「―――鈴?」


 鈴が何か言いたそうにしていることを玲も気付いていた。


 「俺が、間違っていたんだ……」


 「?」


 「玲、そうだよ」


 そう言うと、鈴は玲に近づき、両手で肩をぐっと掴んだ。ゾンビに肩を掴まれたような気分だった。手を払いのけたかったが、力が強くて敵わない。


 ―――あれ? 鈴って、こんなに力が強かったっけ?


 「そうだ。やっと気付いた。俺は今まで、どうして気付かなかったんだろう……」


 鈴は勝手に熱弁をふるいだした。


 「玲」

 

 「・・・ふえ?」


 いつもの鈴ではない鈴に、玲は戸惑いを隠せなかった。


 「……玲、俺と結婚してください!」


 「はっ?」


 玲は凍りついた。寒気がした。おやじギャグ並に寒気がした。


 鈴は玲が意味を理解していないと思い、少しだけイラッとしたのか、スッと目を細める。


 「だから、俺と結婚しろって言ってるんだよ。……それとも、俺とじゃダメなワケ?」


 鈴はじっと玲を見つめた。……至近距離で。


 「なっ……?! リ、鈴のくせにっ!!」


 玲は思わず赤面して、それだけ言うのが精一杯だった。


 一方で、観客席は異常な盛り上がり様。


 「やった!! 結婚式大好き!! 酒が飲み放題!!」


 スノーとコレスティーノは馬鹿みたいにはしゃいでいた。


 「ふん。我が力は偉大だ」


 ベイビードールが自信満々に―――これこそ望んでいたこと、と言いたげに―――言う。


 「なんなんだ。これ・・・」


 クリスはほっとしたが、それもつかの間。はっきり言って、訳が分からなかった。


 「ふむ。シャンデリアは愛を成就させる場所か。これはこれで面白いではないか」フローラが鼻で笑う。


 「どうだ? 鈴、玲。怒りは愛へと変わったであろう?」


 ベイビードールが言う。しかし、玲のオーラは怪しかった。


 「こんな紳士的な―――というより、積極的な鈴。鈴じゃないわ・・・」


 玲の声がいつもより低くかった。


 「こんな・・・こんな」


 玲が剣を振り上げた。そして―――――


 「可愛い鈴もいいけど、積極的な鈴もいいわ!!」


 剣を宙に放り投げ、パッと表情を明るくして言う。


 「ベイビードール、とりあえずシャンデリアから下ろしてくれる?」


 「喜んでもらえたならいいだろう」


 ベイビードールは静かにシャンデリアを下ろした。


 シャンデリアから降りると、鈴の暴走はエスカレートしていった。


 「ファーストレディだよ、玲」


 なぜか彼はファーストレディ主義に則っていた。さすがに吐き気がしてくる。


 「ねえ、ベイビードール。やっぱり鈴を元に戻してくれる? 気持ち悪すぎて・・・」


 「あと二時間もすれば元に戻るだろう」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ