№2
「大丈夫か? 鈴」
珍しくコレスティーノが同情している。鈴はコレスティーノを睨んだ。「これが大丈夫そうに見えるか?」
鈴の腕や足には、数枚どころでは済まないくらいの絆創膏が貼られていた。
「ったく……。あそこまで怒らなくってもいいだろ?」
「完全に彼女の尻に敷かれてるな、君」スノーは、はははっと笑った。
「笑いごとじゃねえよ。マジで殺されそうになったんだぞ」
あの後どこから持ち出したのか、玲はスクラマサクスを振り回して鈴を追いかけまわしたのだ。
「で?」
スノーが先を促す。だが、鈴は何のことか分からなかったらしく「はぁ?」と訊き返した。
「あー、ごめん訊き方がまずかったな。……で、監禁されずに済んだか?」
絶縁する、殺してやると喚いていた玲である。それくらいやりかねない。実際、何度も『監禁』という単語を用いているのだし。
「されたよ」
鈴はバツが悪そうに言った。
「だから、こうして怪我だらけになっているんだ」
「……ご愁傷様」
スノーには、それくらいしかかける言葉が見つけられなかった。
鈴は深く溜息をつき、タンスにしまっていた眼鏡を手に取る。
「あれ?」
スノーは目をぱちぱちさせた。「君、普段眼鏡かけてた?」
「普段はコンタクトをしてるんだ。だけど昨日の夜、玲に割られちゃってさ。仕方なく眼鏡をしてるんだよ」
「……チャラく見えるね」
クリスは素直な感想を述べた。
「だから嫌なんだ」
鈴は再び溜息をついた―――。
再び女性陣と合流する。
「あの、玲……?」
鈴は今にも爆発しそうな爆弾を触る感じで玲に話しかけた。
「………」
玲はそっぽを向いてしまっている。気まずい空気が漂う。
「玲、ごめんってば」
それでも玲は振り向かない。
すると、コレスティーノが鈴に耳打ちしてきた。
「彼女、お前のこと可愛いって言ってたやんか。お前が何でもするって言ったら振り向いてくれるんとちゃう?」
「うっ……」
それはとても危険なことのような気がする、と鈴は目で訴えた。
確かに玲の機嫌は直るだろう。だが、それと引き換えに失うものは大きいような……。