お空の綿菓子 〜こぶたのとんかつのふわふわおやつ〜
お日さまがニコニコと笑って、青いお空にポッカリ、ポッカリと白い雲が浮かんでいます。
とんかつは、大きなあくびをしました。
え?とんかつがあくびですって?
いいえ、違うんです。
とんかつ、というのはね、この春生まれたこぶたの名前なんです。
牧場の山田さんがつけた名前です。
ついでに言うと、山田さんの飼い猫の名前は、おさしみです。
食いしん坊ですね。
とんかつが藁の上でコロコロねころがっていると、近所のユキちゃんが歩いてくるのが見えました。
ユキちゃんは、棒にさした白くてフワフワしたものを手に持って、パクリパクリと食べながら歩いています。
「あ!ユキちゃんだ!」
とんかつはピョンと飛び起きて、ユキちゃんのところに走っていきました。
「ユキちゃん、雲を食べてるの?」
「あ、とんかつ、こんにちは!今日はね、こども会の縁日だったんだよ」
「ユキちゃん、その雲、ボクにもちょうだい」
とんかつは、ユキちゃんの持っているフワフワに鼻を近づけて、においをかぎました。
ふわぁっと甘い香りがします。
「えー?とんかつ、わたあめが欲しいの?しょうがないなぁ、ちょっとだけだよ」
ユキちゃんは、わたあめを少しちぎって、とんかつのお口に入れてあげました。
あまくて、とてもおいしいです。
とんかつは、ブヒブヒと鼻を鳴らして、もっと!とおねだりしましたが、ユキちゃんは「もうおしまい!」と、行ってしまいました。
「雲って、あんなにおいしいんだぁ。もっと雲が食べたいなぁ」
とんかつは、お空を見上げてため息をつきました。
その時。
大きな風がびゅうっと吹いて、とんかつはお空へびゅうんと巻き上げられました。
「わ!わ!ボク、鳥さんみたいにお空を飛んでる!?」
とんかつは、空高くぐんぐんと飛んで行きました。
そして、ふわり、と雲の上に乗ったのです。
雲はフカフカで、甘い香りがそこらいっぱいに広がっています。
「わぁ、雲だぁ」
とんかつは目をキラキラさせながら、夢中で雲をほおばりました。
「あまい、あま〜い」
ブヒブヒ、モグモグ。
ブヒブヒ、モグモグ。
とんかつが、あんまりたくさん食べたものですから、雲にぽっかり穴があきました。
でも、もうちょっと、もうちょっとだけ。
とんかつが首をのばして、ひとくちかじった途端。
雲がちぎれて、とんかつはお空に放り出されました。
「あ!」
とんかつは、まっさかさま。
「もうダメだ!」と目をつぶると、ドサッ!とおしりからどこかに落ちました。
「あれ?やわらかい?」
そこは、牛さんが食べる牧草の上でした。
山のように、ふんわりとした牧草がクッションになって、とんかつはどこにもケガをせずにすんだのです。
とんかつは、安心して牧草の上にコローンとねころがりました。
そして、あまくて、おいしかった雲の味を思い出しながら、すやすやとおひるねをはじめました。
おなかがいっぱいで、眠たくなっちゃったのですね。
お日さまはニコニコと笑って、青いお空にポッカリ、ポッカリと白い雲が浮かんでいました。




