星幽たち その5
「ようこそ。お待ちしておりました。熊野 振時さま。シルヴァリアンさま。社長の矢口は78階でお待ちです」
「あんがと」
「じゃあ、行きましょ」
どうやら、さっき助けた女の子が予めアポイントメントをとっていたようだ。そして、御丁寧なことに裏口にも受付があり、AIロボットにエレベーターへ案内してもらった。
「あ、いつものように他のメンバーは後で来るそうよ」
「かしこまりました」
女の子の声に、AIロボットが頷き78階のボタンを押した。
殺風景な箱の中は、意外にもこじんまりして狭かった。
「あなた、熊野さん? っていうのね。私は白木 輪音」
「うん。そうだよ。白木ちゃんか。よろしくな」
シルヴァリアンも自己紹介をし、白木に自分が妖精だと告げた。
なんでか、案内係のAIロボットもつられて自己紹介のつもりか、手を振り振りしている……。
「よろしく。あたしはシルヴァリアン。俗に言う人間たちのいう妖精よ」
「え? あの、ちっちゃな格好で、パタパタ飛んでる羽のある生き物? 私には、普通に会社へ通勤していそうな美人OLに見えますけど?」
「まあ、ね。妖精界にも色々あるのよー」
「はあ……」
「まあ、何千年も歳を経た妖精の中でも希少な成人タイプは、人間の大人と同じくらいの身長になるの」
「ふーん。妖精界という世界があるのね、勉強になるわ」
「そう、その妖精界でアンブラルが近頃社会の水面下で騒いでいるから、念の為人間界へ行って来いって、長老に言われたの」
「念の為?」
「ええ。何かとんでもないことが起きる前兆なのかもね。でも、ここからは、妖精と熊野さんにしか言えないわ」
「うーん……謎々。シルヴァリアンさんと熊野さんの間柄とか関係って?」
「ふふ……当ててみなよ」
エレベーターが78階に着いた。
扉が開くと、そこは……そこには……。
まるで、誰しもが中世ヨーロッパの古城を思い浮かべるかのような荘厳な騎士の鎧や剣、槍や、金や銀、鉄でできた銅像などが所狭しと陳列された広大な空間だった。
その中央に、大きな机が置いてあって、その机の椅子に社長の矢口 三樹子がいた。




