プロローグ:きみの名前を知ってるだけだった
これは、ふたりのちょっとした日常のはじまり。
気づけば、いつの間にか近くにいた。
そんなささいな出来事が、少しだけ特別になるかもしれない──。
高校2年生の春、同じクラスになった二人の物語。
名前は知っていても、まだちゃんと話したことはない。
これから、ゆっくり関係が動き出す。
登場人物紹介
一ノ瀬 悠李
* 髪型:黒髪のストレート。
前髪は目にかかるかかからないかの絶妙な
長さで、耳にかけてることが多い。
* 雰囲気:クール系。無愛想で目つきが鋭いのでよく「怒ってる?」と言われがち。
* 性格:ツンデレ、毒舌、受け身。
素直になれず、ついきつい言い方をしてしまうが、根は優しい。
* その他:成績は中の上。友達は少なめ。
目立つのが苦手。
水野 玲央
* 髪型:ふわふわした明るめの茶髪。 前髪は流していて、全体的に無造作なセット。
* 雰囲気:親しみやすく、にこにこしている。まるで子犬のような人懐っこさ。
* 性格:甘えん坊、無自覚に距離が近い、
天然タラシ。クラスの中心人物。
* その他:運動神経は抜群、成績はそこそこ。誰とでも仲良くなれる天才肌。
---
プロローグ:きみの名前を知ってるだけだった
春。教室に新しい風が吹いた。
高校2年生になって初めてのクラス替えで、玲央は悠李と同じクラスになった。
それだけなら、よくあることだった。でも、玲央はずっと前から悠李の名前を知っていた。廊下ですれ違ったことも、購買で後ろに並んだこともあった。でも言葉を交わしたことはない。
「一ノ瀬くんって、ちょっと怖そうだよね」
「うん、話しかけにくいオーラある」
クラスメイトのそんな声を聞いて、玲央はちょっとだけムッとした。──だって、廊下ですれ違ったとき、悠李がふいに落としたプリントを拾って渡した時、すごく小さく「……ありがと」って言ったのを、玲央はちゃんと覚えている。
(あのとき、ちょっとだけ嬉しかった顔してたんだよなぁ)
だからこそ、同じクラスになった今。玲央は決めていた。
「俺、悠李くんと仲良くなる!」
ただそれだけの、静かな始まり。
名前は知っていたけれど、それだけ。
同じ教室にいるのに、どこか遠い存在だった。
でも、少しずつ距離が縮まっていく。
彼らの関係は、まだまだこれから。
そんな、静かな始まりの一歩。