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で?

作者: マスヨーニ

で?


携帯電話の料金未納を伝える自動音声電話が、固定電話に来た。24時間以内に払わないと使えなくなると言う趣旨だ。その会社の携帯電話は使ってしない。間違いなく詐欺電話だ。面白そうだからオペレータと話してみよう。

指示に従って オペレータに繋いでみた。


「○○会社の△△の□□です」

かかってきた電話の会社名の部署と少し違う様な気がする。

「で?」

「はい?」

おい 詐欺をするんだろ しっかりしろよ。

「意味が分からないから『オペレータに繋ぐ』の番号を選択したんだけど?」

「料金が未納になっているので通知の電話です」

「で?」

「未納なんです」

「で?」

しばらく無音が続く。マニュアルを探しているのか? 想定外の会話だったか? 闇バイトか? 詐欺グループの新人か?

「確認の為 電話番号 契約者名 契約住所をお願いします」

詐欺グループはどんなシステムを使っているのだろうか。電話番号が表示されているのだろうか。

「あなたは誰と話しているのですか?」

「そのための確認です」

電話番号を言わないのは 転送された番号を表示するシステムではないようだ。

複数の自動音声電話のどれかの番号しか表示されていないのだろう。

「誰と話しているのか分からないのですか?」

また無音が続く。マニュアルを検索しているのだろうか。誰かと相談しているのだろうか。

「支店がいくつあると思っていますか?」

支店の数かいっ。そちらのPCや拠点の数なんか知らないし興味がない。どうせ聞くなら そこは顧客数か未納者数をだろ。ミスったね。

「そちらの会社の支店の数なんてどうでもいい こちらには関係ない で?」

また無音が続く。電話番号とか再度聞いてこないのか? あおってみたいが会話が続かなきゃ あおりようもない。何か言わせよう。

「どうしました?」

「いや・・・」

何だよ 進展しないのか? こちらの情報を渡さなきゃ 目的を果たせないから、どうしていいのか分からないらしい。個人情報を渡したら 「はい 確認できました どこそこへすぐに振り込んでください」と指示するのだろうか。次の詐欺の材料にするのだろうか。

なんか反応が薄いからつまらなくなってきた。

「この会話 いつまで続けます?」

「そちらが切らないから 続けています」

そこは真面目にお客様対応を装うんだ。「そちらが」とか言っているし どうせ言うなら「お客様が」だろ。

「そうなんだ で?」

「で と言われましても・・・」

つまんねえ~。なんだよこれ。詐欺を仕掛けてこないのか?

「これから食事に行くから 帰ってくるまで待っててね」

一旦 受話器をテーブルに置き、すぐに耳に当てた。受話器を置いて放置する音は聞こえたと思う。何か聞こえるかもしれない。

5秒後電話が切れた。

つまらなさ過ぎる。からかう事も出来なかった。


ちなみにこの電話のやり取りで 時間と通話時間を調べたら、相手に固定電話番号が知れたかもしれない。腹いせで、どこかに電話番号を登録されたかもしれない。

まねをしない様に。


前に お婆さんからの間違い電話の時は、面白かった。

電話に出たら無言。

「どちら様ですか?」 聞いてみた。

「電話を受けたら 名前を言うのが常識でしょ 名前を言いなさい」

昭和の世界だ 相手を確かめずに名前を言うなんてありえない。

「そうなの?」

「当たり前です」

「ほぅ」

「さっさと名前を言いなさい」

「どちらにお掛けでしょう?」

「こっちから掛けているのよ 名前を言いなさい」

「はい 掛かってきました」

「だから名前を言いなさいと 言っているのよ」

なんだこれ 相手はイラついてきたようだ。ちょっと遊んでみたくなった。

「嫌です」

「嫌がっていないで 名前を言いなさい」口調が激しくなってきた。

「そちらが名のらなきゃ こちらの名前を言わないよ」

「バカじゃないの? さっさと名前を言いなさい」

「はいっ バカです どうします?」

「名前を言いなさいと言っているのよ さっさと名前を言え」完全に逆上している。

「知らない人に名前を教えちゃいけないと 教わったよ」

「電話を受けたら まず『○○です』と言う事を、教わったでしょ」

ありゃま こちらの発言は無視なのか。振出しに戻ってしまった。

「そちらの名前は?」

「名前を言いなさい」

「知らない人には教えないよ」

「どうして名前を言わないのよ そんな頑固は迷惑なのが分からないの?」

おいおい 頑固なのはそちらだろ。現在の常識にupdateしてくれ。

「分からない」

「分からないから教えているのよ 名前を言いなさい」

こんなやり取りが5分ほど続いた。相手は「名前を言いなさい」の一点張りだ 飽きて来たので

「きっと電話番号を間違えてますよ」と教えてみた。

「分からない人ね だから確認の為に、名前を言いなさいと さっきから言ってるでしょ」

わお~ 何があった? なぜそこまでして 名のらずに名前を聞いてくる?

理由を知りたいが 名前を言わなきゃ理由を言わないだろうし 掛けた相手が違ったら、理由を言うわけがない。永遠にこの会話が続きそうだから、もう終了する事にした。

「一旦切るから 掛け直して」

電話を切った後 1分待ったけど掛かって来なかった。


暇な時は 詐欺電話や間違い電話を 楽しめる。成人過ぎの時には 親の承諾がいらないから悪徳業者はひっかけようと 勧誘電話が沢山掛かって来た。暇つぶしを沢山楽しめた。話をどんどん進めて その気になった風を装って いくつか質問して たっぷり時間をかけて振り回した後、答えの穴や矛盾を突いて そんなんじゃ信用できないから買わない。又は単純に やっぱり必要ないからいらない。そして 電話を切る。チャンチャン♪  


昨日より素敵な明日に出来ますように



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