やり直したいこと
上の子は「機関車トーマス」が大好きで
ビデオを何度も何度も擦り切れるほど見ては喜んでいた。
たくさんのキャラクターも覚えて、もちろんおもちゃもトーマス一色。
そんな子が保育園に通うことが決まり、通園バッグを買うことになった。
お店に行き、真っ先に選んだのはトーマスの描かれているブルーのバッグだった。
「これにする!」
でも、私は躊躇してしまった。
なぜなら、子は 【女の子】 だったから。
女の子なら、ピンクや赤のバッグを持つのが「普通」だと私が思っていたからだ。
「えー、こっちの赤いのにしたら?」
「こっちもかわいいよ」
あの手この手でブルーのバッグを回避させようとした。
「じゃあ、このドラえもんのでよくない?」
結局、いろんな色の入っているカラフルなバッグに決まった。
彼女は特に嫌がることもなく、それを肩にかけて通園した。
もう30年近く前のお話。
なぜあの時ブルーのバッグを買ってあげられなかったのか。
女の子ぽくないバッグが原因でいじめられるかもしれない、もしかしたら仲間外れに?
そんな考えは体裁だ。
結局は人と違うこと、これが決定的に嫌だった。
しかも、自分の子が「普通」の女の子と違うものを持っている、これが嫌だったのだ。
なんという自己中心的なひどい親だろう。
今の私なら迷わずトーマスのブルーのバッグを買ってあげただろう。
彼女に申し訳ないことをしたな、とずっと悔やんでいることの一つだ。
タイムマシンがあればやり直したいことたくさんあります。