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プロローグ

「今を持って、リリア・アステルムの聖女の任を解く。そして、シンシア・カレンデュラ嬢を新たな聖女に任命する」


 王宮にある王座の間に、そこの主であるヴァルド・ライモンド王の宣言が響き渡った。

 その場にいるのは、玉座の近くにいる王、王妃、第一王子といった王族と新しく聖女に任命されたシンシア・カレンデュラ。そして、彼らに向き合う位置に立っている、たった今実質上の教会からの追放を言い渡されたリリア・アステルム。その5人だ。

 ヴァルドからの宣言を聞き、王座のすぐそばに立っている第一王子ケイリー・ライモンドがニタニタとした笑いを浮かべながら言う。


「やはり平民なぞに聖女という高貴な立場は分不相応だったようだな。これからは由緒正しき公爵家の令嬢であるシンシアが聖女を務めるからお前はもう用済みだ」


 そう言い放たれたリリアの体は小刻みに震えている。


「リリアさん、今までありがとうございました。これからはわたくしが精一杯聖女を務めさせていただきますから安心してくださいませ」


 美しくカーテシーをしながらシンシアがそう言う。

 言葉ではお礼を述べているが、その顔には隠しきれていない程のリリアを蔑む気持ちが表れていた。

 この2人だけでなく誰もが、リリアを蔑むように見ていた。

 なお、リリアは何も言わず顔を下に向けたまま震えている。


「どうした、黙って。そんなに聖女という立場を奪われたのが悔しかったか」


 リリアの方へと歩きながらケイリーが言う。


「なんか言ったらどうだ」


 リリアの元にたどり着きケイリーが彼女の顔を覗き込む。

 突如勢いよくリリアの顔が上げられる。そして、満面の笑みを浮かべながら彼女は言ったのであった。


「よろしいのですか!?」

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