アルミホイルの剣――メイドインぼく!
ぼくは勇者になりたかった。だから鍛冶師になりました。そして、つやつやのアルミホイルの剣を作ったよ。すごいでしょー。この剣は、如何なるドラゴンの尻尾を切り落とす、【ドラゴンカッター】と呼ばれる伝説の剣なんだ! ぼくはそれを作った偉大な鍛冶師となる!
「母上。お話がありまする」
「あらあら、ぼくちゃん。どうしたの?」
「旅に出るためのミートボールを五つ。用意してもらいたいのだ」
「あの子たちと遊びに行くものね」
「ドラゴン退治だ」
「はいはい。ポテトも作るわね」
実はぼく。あるギルドに属しているのだ。その名も、【漆黒のカオス】だ。コウエンというフィールドに基地を作って活動している。主な活動内容は、忘れ去られしカンカンというドラゴンを退治すること。巷では結構有名なギルドだ。時々モブたちがお菓子をくれる。貴重な回復アイテムとなるから、こちらとしては非常に嬉しい。
「ほら、持っていきなさい」
「うむ。行ってまいります」
「気を付けてね。勇者様」
母上の笑顔を見ると、今日の活動もうまく行きそうだ。【ドラゴンカッター】をズボンのポケットに入れて、仲間たちの元へ急いで向かう。道中猫と遭遇したが、お手製の剣で追っ払ってやった。そうして着いた、静かなコウエンには、大きな透明のアイテム袋をひっさげた仲間たちが待っていた。中にはすでに退治されたカンカンが少し入っている。
「おぅい、遅いぞー」
「ニック団子♪ ニック団子♪」
「こーらー! ちゃんとやるのー!」
仲間たちの声を聴いて、やる気が出た。今日もドラゴン退治頑張るぞ! そう思いながら、僕はズボンのポケットからはみ出た、【ドラゴンカッター】を振りかざして進む。タガタメの戦か。それはぼくにも分からない。でも、誰かが声をあげなくちゃ、世界は変わらないものね。
ぼくは――ぼくたちは勇者ご一行だ! 付いてくるものは居るか!