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神殺しの殺神  作者: 桜澤 那水咲
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神の仕事

あれから私達二人は盗み聞きをした後、気付かれないように二階に戻り、神研修の時間になるまで時を待っていた。


「それじゃあぁ〜君達二人にやってもらうことはただ一つ、魂の回収をしてほしい。」


その時間がやってくると魂の神は人差し指指を立てて、仕事内容を言い始めた。


「面倒なことに、ここら辺には沢山の魂が寄り付いてきてね、それを今から渡す特殊な袋に入れて僕に届けて欲しんだ。あいにく僕だけじゃぁ〜手が追いつかなくてね。」


手をプラプラとふると彼は呆れたように眉を寄せた。そして二人に青みがかった透明な袋を渡すと次に渡して来たのは白い手袋だった。


「これを付けて居れば魂を捕まえることが出来るから使うといいよ。」


そう言うと彼はろくに説明をせず屋敷の中に入っていった。


正直やらされていることに拍子抜けをする所もあるが、楽に越したことは無いし、気難しい仕事も困るだろう。

なんにせよ魂の神の気遣いでもあるのかも知れない。


トワイはそんな事を考えていたがディアは何となく表情が暗かった。

トワイは手袋をつけながら黙っている彼女に目を向けた。


「何かあったのか?」


そう声をかけると一瞬肩を震わせながら驚いた顔でこちらを見た。


「あっ、いや。その…あの事が本当だったんだと思ってね。」


彼女の声と手は微かに震えていた。その手をディアはもう片方の手で押さえて隠していた。


「なんか、ダメだね。私、戦いに巻き込まれたら、生きてるのかな、私わ。」


それは紛れもなく死への恐怖心からだった。


「考えても仕方の無いことだ。それにまだ決まったわけでは無いだろう。」


トワイの言葉に彼女は苦笑いをすると、顔を上げた。


「うん、そうだね。…仕事、しようか。」


「…ああ。」


彼も少し彼女に目を向けながら、仕事を始めようとしているディアの後ろ姿を見ていた。





それから十日ほど経ったことである。

神殺しの殺神ヒルダは密かに着々と魔の手を伸ばしていた。



表には公表していないようだが、あの日からこの人気のない洞窟に辿り着くまでに何人の神達を惨殺したことだろうか。



ヒルダの手は黒い手袋をしているがその中身は血で汚れているのだろう。



黒い綺麗な服を引きずりながら彼女は前に進み洞窟に入ると、もう一人のあの女が待ち構えていた。彼女はいつも通りフードを被って顔を隠してこちらに顔を向けた。



「久しぶりね。ヒルダ…ついに始めるのね。あの続きを。」


「ああ、だが事を上手く進めるには何人かの手が必要だからな。今から儀式を始める。」


ヒルダはそう言うとあの女は笑いながら承諾した。


「いいわ、まずは数減らしをしないとね。…さぁ、始めましょう。破滅への序章へ。」


その声と共に空は真っ暗となった。





そして自体は深刻になっていくばかりだった。


六等神達が集う神殿は慌ただしく緊迫していた。



「これで何件の被害が起きていると思ってるんだ。あの事件以降、三十六人以上の神々の犠牲が出ているんだぞ。」



あの事件以来、神殺しの殺神は多くの神を手にかけている。そしてその神達は知名度の低いもの達ばかり、つまり周りに知られるリスクは少ないと言うことだ。


「だとしてもこれ以上は事態を覆い隠す事は限界になって来ているね。」


あの女は何故わざわざこんな回りくどいやり方をするのか。


「事を公にすれば世界中が荒れ狂うことは間違いない。…恐らくあの女は私達にギリギリの選択をさせる気だ。その事も計算して、こちらの出方を見ているんだ。」


高位の神が殺されたとなれば、事を伏せることは出来る訳もなく、こちらに選択の余地はない。


裏を返せば神殺しの殺神もまだ自分の存在を知らされる時では無いと思っている。


しかし今更それに気づいた所でもう遅い、僅かな隙さえあればあの女は先手を打っているに違いない。


「こっちが悩めば悩むほど、悪神の狙い通りであり、事を公にするのもまた、悪神の狙い通り。つまりどちらにしろアイツにとって有利な話しって事だ。」



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