5.外の世界へ 前編
私が、聖女ミルフィーヌになって5年の歳月が流れた。私にとって5年という歳月は、長く辛いものだった。ラティやカンナ、ラナが死んでから私は、悲しみに暮れ、生竜教の聖女ミルフィーヌにした大神官たちに不信感を持った。聖女ミルフィーヌは、私やカンナたちのそば付き神官だったラティに反対されてしまうと巫女を聖女ミルフィーヌにすることは、出来ないらしい。私は、それを知ってから、命竜 ヴィタールに送る、聖女がする必要があるらしい祝詞ノ儀で私は、生竜に静かに祝詞を唱えながら、生竜に祈った。ラティやカンナ、ラナが死んでから私が、聖女になったのは、大神官の所為なのかそれとも、命竜と死竜の下した定めなのか私は、必死になって祈り命竜に聞いた。私は、誰かの所為にしたかったのかもしれない。ラティたちを殺したのは、私の力が及ばなかったからだというのに目を逸らして。
それに、今年に聖女ミルフィーヌのお披露目があると大神官に教えてもらった。それまでに私の身体を清め、聖女ミルフィーヌの完全なる清らかさを実現しなければならないのだと。
聖女ミルフィーヌのお披露目が終わると清らかさを守るために、大本山から出ることはないと、大神官も言っていた。
私は、それではすごく困るのだ。
私は、湊や大河を探さなきゃいけないのだから。
命竜様。私をここから逃がしてください。
命竜様。私に自由をください。私が、私の大切な人を探すための自由を。
私は、命竜 ヴィタールの像に祈りを捧げながら必死にお願いした。
\お前は、自由が欲しいのか?\
私の頭の中に、男性の低い声が響いた。
この声が命竜 ヴィタールなのだろうか。
\俺は、彼奴とは逆の存在だ。\
声がそう言うので、そうなのだろう。
では、逆の存在は。私はそこでハッとした。
もしや、死竜 ムエルトス………?
\そう呼ばれたこともあるが、死竜 ムエルトスは、古の時代に死んでいる。俺は、死竜 ムエルトスの血を引く者。\
そう彼は、言った。
どうして、彼は私に声をかけ、私に自由が欲しいか聞いたの?
\声をかけたのは気まぐれ。お前は、生竜教の聖女。聖女が、聖女であるのを嫌がるのならば手助けするのも俺の務め。さぁ、お前は俺に救われるのを望むか。\
彼は、そう聞いた。私は、もう決めていた。
私を外に連れて行って。数週間後、私は一人で外に出る機会がやってくるから、その時に。
私は、この世界でもらった名前を捨てて、ナギサ・ライルナとして生きていこうと思う。
忙しくて、投稿するのが遅れました。