4.赫羅
私が巫女の修行を終えて、5年程たったころ、私は巫女としてラナ、カンナ、ラティと共に実戦として赫羅という、このアルカディアで人類と敵対している"魔なる生き物"と戦った。赫羅は、赤いデップりとした脂肪のような肉体に、白目を剥いた姿をし、口からだらだらとよだれを垂らして足音を響かせながら歩く、化け物だ。私たちは、戦うのが初めてだから下級赫羅の赤色赫羅のはぐれ個体が相手だった。
結果は上々で、まったく苦にならずに赤色赫羅を倒し、大本山に帰った。
この後、まったく想像していない出来事が私を襲った。この出来事で私の運命が大きく動きだしたことは、その時は、知らなかった。
私達巫女は、帰ると外からの汚れを払うため、清めノ式をという水浴びをする。清めノ式をしたあとに大本山の屋内へ入ることができるのだ。
私達は、清めノ式を終え、修練の間で私の戦い方である、二刀流"剣舞"の型の素振りをしていた。
ーーーギギギギャァァァァァ、グルルゥゥゥ、グゥォォォォォ!!
と、大本山の敷地に何かの鳴き声が響いて、遅れて、
ーーードカァァァァァンン
と、大本山の壁が砕ける大きな音がした。
「敵襲ーー!敵襲ーー!」神官達は、慌てて修練の間に武具をとりにくる。
「何が入ってきたの?」と武具をとりにきた神官に聞いた。
その神官は、「上級赫羅の獣型と上級赫羅の人型らしいです!今、神官ラティ様と同室の巫女様2名が戦われているらしいです!」とその神官は、教えてくれた。「ありがとう。」私は、その神官に言うと戦いの騒音のする方へ刀を持ち、風になる勢いで駆け出した。瓦礫をものともせずに戦いの場所に行くと3人が血まみれで膝をついていた。
「ラティ、ラナ、カンナ……どうして、どうして逃げなかったのよ……。」私は、涙をこぼし、言う。
「だって、赫羅の狙いは……二刀流"剣舞"の巫女だったから。」ラナは、弱々しく微笑みながら言った。
私は、上級赫羅の方へ目を向けた。
「赫羅。私が二刀流"剣舞"の巫女よ。何が目的?」私は、赫羅を睨み付け言った。「おぉ~。お前が剣舞の巫女かぁ~。目的?それはねぇ~、教えなぁ~い!」人型赫羅は、ケタケタ笑い声をあげて風の刃でラティ、ラナ、カンナをきりさいた。
体から血飛沫が舞って3人は事切れた。「い、いやァァァァ!」私は、泣き叫んで、鳴き声をあけながら襲いかかってきた上級赫羅の獣型を二刀流"剣舞"で切った。
上級赫羅の獣型は、真っ二つになってその場に崩れ落ちた。
「すごいねぇ。」上級赫羅の人型は、そう言い残すと、どこかへ消えて言った。
私は、その場に座り込んで一晩中泣きじゃくった。
私は、それからラティ達が居なくなったのを見計らったように、私を聖女ミルフィーヌと任命した。私は、この時から生竜教に不信感を抱くようになった。