3.私の名前は
私は、巫女になる為に修行することになった。他にも私と同じぐらいの5・6歳の女の子達が巫女になるべく、集まっていた。
私は、この1年にラティからさまざまなことを教えてもらっていた。巫女になる為に必要なことや戦闘技術、この世界の神話。
私はさまざまな知識をラティから学んだ。また、ラティに会う為に私は必ず巫女にならないといけない。私は、今大神官の前で静かに礼をした。
「命竜 ヴィタールのもとに貴殿の名を、セリーナとする。」大神官はそう重々しい雰囲気の中、言った。「ありがたく頂戴いたします。これからわたくし、セリーナと名乗らせていただきます。」と言って私の番は終わった。
次々と他の女の子達が名前をもらって、今日は終わった。巫女の修行中は、他の女の子達と4・5人の班を組んで生活するらしい。
私は、ラナという銀髪の少女とレニーナという茶髪タレ目の少女、カンナという金髪の勝気な少女と一緒の班になった。
巫女の修行は、とても厳しいものだった。
そして、修行を始めて一カ月と少しすると、とある1人の少女が疲労で死んだという噂が流れた。
その子は、貴族のご令嬢で、カンナと家ぐるみでの知り合いだったらしく、勝気なカンナが泣くほど仲が良かった。私もカンナに紹介されてよく話をしたりしたのだが、カンナとは違ってとてもおとなしい子だった。
それから、次々と疲労で少女が死んでいって、ある日、レニーナが、寝ている時に死んでいた。
カンナやラナは、死んでいるのを見たとき泣いていた。修行を始めて2年が経った頃だった。
私は不思議と涙は出なかった。
そして、修行が終わって、巫女になれる日になると死なずに修行に耐えきった女の子達は、始め50人近くいたはずなのに、カンナやラナ合わせて10人もいなかった。
これを知ったとき、私は愕然とした。
人の命など、なんと儚いものなのだろうか、と。
何故、生きている人はこうもあっけなく死ぬのだろうか、と。
私に生きている意味はあるのだろうか、と。
私は、明日死ぬのではないだろうか、と。
さまざまな疑問が頭の中で渦巻いている。
私は、懐かしい真っ白な空間に入った。そこには、少し老けた、しかし美しいラティが私を待っていた。
「ただいま、ラティ。」私は、ラティに言う。
「お帰りなさい。」ラティは微笑んで言った。
「ラティ、あのね、私の名前はセリーナって言うの。」私がラティに言うと、「いい名前ですね。」と、ラティは言ってくれた。
「セリーナ様、このお部屋は、今日からカンナ様とラナ様が一緒に住むことになるらしいですよ。」ラティは私にそう言った。
「カンナとラナが?私、2人と友達なの。」私は笑顔でラティに言った。