10.ランクアップ
だいぶ、遅くなりました。
私は、ナーガの劣化種との戦いが終わり、私はふぅ、と息を吐いた。
『その刀、切れ味が良いだろう?』そうロディアスは、言った。
「ええ、何で出来ているの?」私は、そうロディアスに聞くと、ふふん、とロディアスは胸を張った。
『実はな、オリハルコンとアダマンタイト、ヒヒイロカネの合金で作ったのだ。』ロディアスは、私に言ってちろりと私を見た。
えっと……オリハルコンとアダマンタイト、ヒヒイロカネってゲームとかに出てくるとっても硬い金属だったような………よく湊がゲームで、取りたいって言っていた気がする。
「オリハルコンとアダマンタイト、ヒヒイロカネってとても硬い金属のことでしょう?」私がそう聞くと、ロディアスはこくりと、頷いた。
「加工が難しいと聞いたことがあるけれど……ロディアスが作ったの?」私が聞くと、ロディアスは、『そうだ、俺は何千年と生きているからな。』と自慢気に言った。
「でも、鍛冶のスキル、もってなかったよね?」私がそう言うと、ロディアスはぎこちなく笑った。ロディアスの口からチラリと白い牙が見える。
「お姉ちゃん。助けてくれてありがとう。」そう私が助けた少女が言った。
少女は、緩いウェーブのかかった空より少し薄い水色の髪を持ち、瞳はとても澄んだ海のように深い青色をしている。
「ふふ、どういたしまして。」私は、少女にそう言った。
「あなたのお名前、教えてくれるかしら?」私はそう少女に聞く。
「ニーナだよ。ニーナ・クルトア。お姉ちゃんは?」少女、ニーナは私にそう紹介してくれた。
「私はナギサ・ライルナよ。ニーナちゃんは冒険者なの?」私はそう聞くと、うるっとした瞳でこくんと頷いた。
「ニーナでいいよ。ナギサお姉ちゃんも冒険者なの?」私に聞く。
「ええ。昨日なったばかりだけど。初心者向けの
迷宮だと聞いたから来てみたんだけど、巻き込まれちゃって。」私はニーナに言うとふふ、と笑う。
「ナギサお姉ちゃん、昨日冒険者になったばかりなのにすごいね!」ニーナは私をそう言って、キラキラした目で私を見ている。
ちょっと照れくさい。
「だけど、依頼は終わってないの。魔物をこれから探さないと。残り時間で終わるかしら?」私はそう憂いを隠さず言うと、ニーナが私の服の裾をちょいちょいと引っ張った。
「どれぐらいの魔物を狩るつもりなの?」そうニーナは聞いてくる。
「えっとね、これとこれと…………」と言って私は、スライム、コボルト、オーク、ゴブリンなどの初心者でも対応できる魔物の討伐依頼を並べていく。
ニーナは、唖然としているが、何故啞然としているかわからなかった。
「…………あの魔物が襲ってきて、そっちの対応をやってたでしょ?だから、大丈夫だと思う。もし、お姉ちゃんが居なかったらここにいた新人冒険者たちはもうこの世にいなくなってたから。」ニーナは、そう言うが、私は少し困った様に眉を下げた。
「そう言ってもねぇ。」私が困っていると、『雑魚どもが戻って来るぞ。それを狩れば良いのではないか?』ロディアスが小さくなって言ったので、帰りながら依頼の魔物を狩って帰ったのだった。
ギルドに着くと、ケイスラン迷宮にナーガの劣化種が出た報告を行った。
ちゃんと、討伐したことを言うと、ギルドが笑いに包まれた。
それもそのはず。
ナーガの劣化種は、絶滅した高ランクの魔物なのだから。
証拠として、アイテムボックスに入れていたナーガの劣化種を取り出すと、ギルドが騒然とした。
私を化け物だと言う声も聞こえてくる。
ちょっとだけ、いいや、かなり解せない。
その声にロディアスは、かなり不機嫌である。
受付嬢から、ランクアップについて明日、説明するので来て欲しいと、言われてギルドを後にした。
翌日、ギルドに顔を出すと、ナーガの劣化種を討伐した私を一目見ようと、かなりの人が集まっていた。
ロディアスが集めて来た私の噂では、ナーガの劣化種を討伐した冒険者は、“大きい黒い竜を連れたいかつい女”らしい。
誰だろう、それ。
おかげで、疑われずに済んだ。
中に入ると、受付嬢が個室に案内してくれる。
個室にいたのは、なんと!
ボッキュンボンの金髪碧眼の美人エルフ。
「はじめまして、ナギサさん。私、このギルドのギルドマスターをしています、リリーラ・ファルウト・ギルライアスと言います。ちなみに、私は400年ほど生きておりまして、ナーガの劣化種を見たことがあるのですが、アレを無傷で倒すことが出来る貴方は、Aランク相当となります。ただ、貴方の使い魔である黒竜さんも支援していたようなので、Bランクになります。ただ、使い魔も実力のうちだ、と言う人もいるので、あと一つ依頼を受けて頂くと、Aランクにアップします。これで、どうでしょう?」ギルドマスター、リリーラさんに言われて、私はコクコクと頷く。
意外と、ランクが高かったらしい。
「それで大丈夫です。」私は言ったので、リリーラさんは、ニコリと微笑んだ。
思わず、頰を赤らめてしまった。
ーーーグルルルルルルゥゥゥ
ロディアスが、リリーラさんを睨み唸り声をあげた。
「貴方の使い魔もどんな化けの皮を被っているのでしょうね?」リリーラさんは、そう笑って言った。
こうして私は、Bランク冒険者になったのだった。




