キングオーク
「8・8・9・5・1……っと」
オレは第4階層のボス部屋手前の壁にあったダイヤルを合わせた。
番号が合うと同時にその壁はフッと消えた。奥には細長い通路が続いている。
オレたちが中に入ると背後でその壁が復活した。
スマホのマップを確認すると、しばらく歩いた先にボス部屋らしき広間がある。
「今回は待ち伏せしてないみたいだな。」
「そうじゃな、しかし、念のためにバリアをもう1枚重ねがけしておくのじゃ。」
同じくスマホのマップを見ていたリンダが顔を上げて言った。
「「「「バリア!」」」」「わうぃわ」
指輪の無属性の魔石が輝き、オレたちを障壁が包んだ。
「よし、行くのじゃ!」
オレたちは、ボス部屋の広間に勢いよく飛び出した。
体育館くらいの広さの部屋の奥にブタ顔のオークたちがいる。ここにくるまでにもいたザコオークが手前に5匹、その後ろに皮鎧を着たオークが2匹、一番後ろに金属鎧を着たオークが1匹だ。武器は金属鎧オークは丈夫そうな長剣、その他はシャムシャールだ。金属鎧のがボスだろうな?
「「「「「プギイィ!」」」」」
ザコオークと皮鎧オークたちが、咆哮して、一斉に突進してきた。
オレたちは、横一列に並んでブレスレットのついた左手を前に突き出す。
「「「「ブリザード!」」」」
ブレスレットの青と緑の魔石が輝き、極寒の冷気を含んだ竜巻が吹き荒れた。
ピキキキ
ザコオークたちは凍りついた。
「「アイスソード!」」
クリスさんの小太刀とデイジーちゃんの長剣の刃に冷気が纏われた。
ザシュ、ザシュ! ドタ、ドタ!
先のブリザードで凍りつかないまでも、動きの鈍っていた皮鎧オークの首をそれぞれ1撃で切り落とした。切り口は綺麗に凍り付いて血は飛び散らなかった。
「プギィイイイイイイイ!」
奥に居たボスオークが怒りの咆哮を上げた。
「「くっ?!」」
またもや、オレとリンダは硬直してしまう。メンタル的ななにかが弱いんだろうな……鍛えないといけないな。
ガカカ!
いつのまにか、ボスオークに迫っていた、クリスさんとデイジーちゃんが斬りかかったが長剣で受けられ、跳ね飛ばされていた。
あれも魔剣か? 2人と互角に切結んでいる。いや、互角じゃないな、ボスオークが若干おしている。
「マサル!」
硬直から解けたリンダが縋るようにオレを見た。
「ああ、ちょっとまずいかもな。……よし、あれを使うか。」
オレは左手をボスオークに向ける。
「2人とも、下がって!」
その声に反応して、クリスさんとデイジーちゃんがバックステップしてボスオークから離れた。
「アイスバレット!」
ブレスレットの青と緑の魔石が光り、氷の砲弾がオレの前に出現し、ボスオークに向けて射出された。
ボスオークはこれに反応し、氷の砲弾を長剣で受ける。
ガカカ! ババババババババ!
氷の砲弾は粉々に砕け、その欠片の多くがボスオークに纏わりついた。
「プギイイィィィ……」
完全に凍りつきはしなかったが、ボスオークの動きは明らかに鈍った。
「はあああああ!」
ザシュ! ドン!
デイジーちゃんがジャンプ一閃、ボスオークの首を切り落とした。
チン!
長剣を鞘に収めて一言。
「ふ、またつまらぬものを斬っちまったぜ。」
またデイジーちゃんが、どこかの五右衛門ごっこしてるよ。まぁ、カッコいいけどね。
ガバ!
「マサル! よくやったのじゃ!」
リンダが飛びついてきて、オレの顔を抱きかかえてきた。
くそう、やっぱ気持ちいい。もう、開き直って楽しんじゃえ。
オレはリンダの胸に顔をグリグリすりつけた。
「あ、マサル、気持ちいいのじゃ……」
気がつくとリンダは恍惚とした表情をして、口から涎をたらしていた。
……あれ、ちょっと調子に乗りすぎた?
「マサルさん……」
クリスさんが、その様子をじっと見ていた。
「クリスさん、これはその……」
「あたしにもグリグリしてください!」「あたいもぉ!」
クリスさんとデイジーちゃんは、皮鎧を脱ぎ捨てて、オレの顔に胸を押しあててきた。
グリグリグリグリ……
おおぉ、なんだこの天国。ああ、気もちいい。
数分後、オレたちは、装備の乱れを直し、ドロップした豚肉を回収した。
あ、あぶなかった。もうすこしで、本能だけに体を支配されるとこだった。こんなダンジョンの奥でそれはまずいよな?
ガー!
ボス部屋奥には両開きのトビラがあり、近づくと自動で開いた。
先に続く通路は緩やかにカーブしており、やがて10畳ほどの部屋に出た。
上部には、80インチのモニターがあり、その下には点滅するLEDとUSB端子があった。スマホと繋いだUSBコードを接続すると画面にリムルが映し出された。
『待っておったぞ、よく来てくれた。』
「おまたせ、リムル。で、リムルの体はどこだ?」
『ここじゃ。』
モニター下の壁が一部せりだしてきて、ガラスに覆われたカプセルのような物が出てきた。
カプセルの中には一糸まとわぬ全裸の美女がいた。




