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街に巣食う悪魔人

胸にラクダのマークが入ったつなぎに身を包んだ2人組がゼータの街の路地裏を歩いていた。


コンコン


1人がある飲食店の裏口をノックした。しばらくして、中から中年の女性が出てきた。


「はあい! あら、再生社の皆さん?」


「はい。空魔石の回収に来ました。ありますか?」


「ええ、ちょうど。1箱たまったところなの。ちょっと待ってね。」


女性が中に戻り、しばらくして、ひとかかえほどの木箱を持って出てきた。箱にはラクダのマークがついている。


「はいこれ、確かめてちょうだい。」


「……はい。確かに、うちの規定箱に100個の空魔石、確認しました。では、買取り金1000Gを受け取ってください。」


作業員はキャメロン再生社のカードが刺してある支払い水晶を女性に差し出す。そこに女性は店のカードをかざす。シャリーン! 小気味良い音がしてGの受け渡しが完了した。


「これまでは廃棄するのにお金を払ってたのに、逆にお金をもらえるようになるなんてね、助かるわ。また来てちょうだいね。」


「はい、勿論です。では、また規定箱を渡しておきますね。」


作業員は空の箱を女性に差し出し、女性がそれを受け取り。トビラが閉じられた。


作業員たちが、その場を立ち去ろうとした時、金属製の鎧を着た影が襲い掛かった。


「グガアアア!」


鎧の中の人は肌が浅黒く、口が耳まで裂けていた。


「な? 魔人か? ホーリーライト!」


襲い掛かられた作業員の右手に嵌められた指輪が輝いて、辺りは光りにつつまれた。


「グアアアア!」


魔人は体から煙を出して苦しみだした。


「なに? 元に戻らない?」


「ガアアア!」


魔人は煙を出しながら逃走し、その場から消えた。





「いらっしゃいませ。」


ゼータにあるキャメロン再生社の本社ビルのロビーに金属鎧を着た2人の男たちが入ってきた。


「ゼータ警備隊の者だ。領主様の命により、この工場を検査する!」


「はい?」


金髪の受付嬢、リンネがきょとんとするのを尻目に警備隊の2人は右隣の再生作業室に続くトビラを開けようとした。


ガチャガチャ


しかし、トビラにはロックがかかっていて、開かない。


「開けろ! 領主様の命だぞ!」


リンネが呆然とそれを見る中、警備隊の2人に変化が現れた。肌が浅黒くなり、口が徐々に裂けてきたのだ。


「……ま……魔人?」


「ガアアア!」


魔人へと変貌した2人はリンネに襲い掛かってきた。


「ホーリーライト!」


リンネの右手に嵌った指輪が輝き、ロビーは聖なる光に包まれた。


「「グギャアアア!」」


魔人たちは、煙を出して苦しみだし、そのまま、そこから逃げ出した。





「ゼータの再生社の本社ビルが魔人に襲われたじゃと?」


我はリンダ・キャメロン、キャメロン商会の代表にして、キャメロン再生社のオーナーじゃ。現在、ダイダロスにあるキャメロン商会の本社ビルの代表室にて、再生社の社長、ピートの話を聞いている。


「はい、それが妙なんです。リンネの話だと、1階のロビーに入って来たときに、そいつらは普通の人間だったんですが、無理矢理、再生作業室に入ろうとして、魔人に変貌したそうなんです。しかも、そいつらにホーリーライトを浴びせても、元の人間に戻らず、煙を出して苦しみながら逃げていったそうです。」


「ふむ。そいつらはゼータ警備隊と言っていたのじゃな?」


「はい。領主様の命により、工場を検査する……と」


「そういえば、街中でも、作業員が鎧を着た魔人に襲われたと、前に言っておったな?」


「はい、その時も、魔人は元の人間に戻らずに、煙を出して苦しみながら逃走したそうです。」


「……悪魔人じゃな。」


「悪魔人?」


「ああ、力を欲し、自らの意思で魔に落ちた者、または、魔人になって、数多の罪を重ね、逆に知性を取り戻した者たちは、悪魔人となって、自由に人の姿と魔人の姿に変身できるようになるのじゃ。」


「悪魔人……もしかして、ゼータ警備隊全体が……」


「どうも、ゼータは街の規模のわりに魔人の人数が多いと思っておったのじゃ。我が見つけただけでも、ピートら6人。その後ピートたちが見つけて人に戻せたのは何人じゃ?」


「31人です。」


「ダイダロスの街ではどうじゃ?」


「この2週間ほどで、2人ですね。」


「ダイダロスの方が人口が多いのに、これはやはり変じゃ。ゼータの街は魔人が多すぎる。そしてそれがそれほど問題になっておらん。」


「そうですね。こうして、ダイダロスと比較すると変だと思いますね。」


「ピート、そういえば、街の領主から、魔人問題解決の件でお礼をされたと言っておったな? どんな話をされたのじゃ?」


「はい。魔人化した人を元に戻したことと、その就職の受け皿になったことに対するお礼を言われました。そして、魔石の回収を今後、警備隊でしようかと言われましたが、これは、わが社の根幹の事業に関わることですので、丁重にお断りしました。しかし、あの時、領主様は苦虫を噛み潰したような、顔をしていました。」


「ふむ。やつら、魔石が手に入りにくくなって、焦っておるな。その体を維持するのにも魔石は必要なはずじゃからな。」


「まさか、領主様も悪魔人?」


「ああ、これは、早急に手をうたねばならんな。」


我は、懐からマサルにもらった(取り上げた? )スマホを取り出して通話アイコンをタップした。


プルルル……プルルル……ガチャ


呼び出し音が数回鳴って、相手が出た。


『はい。サヨです。』


「おう、サヨ、我じゃ、リンダじゃ。ちゃんと繋がったようじゃな?」


『こんにちは、リンダちゃん。そうね、サテライトシステムを介した通話アプリも問題なく動いているようね。それで、どうかした?』


「うむ、サテライトキャノンの準備の方はどうじゃ?」


『いつでも使えるわよ。何を撃つかにもよるけど。』


「ホーリーライトサテライトキャノンは何発撃てるかの?」


『そうね、2発ってとこかしら。』


「ゼータの街全域を照射するのに何発いるのじゃ?」


『そんなの、1発あれば十分よ。』


「では、いつでも撃てるように、準備をしておいて欲しいのじゃ。」


『わかったわ。』


……ふふふ、街を食い物にする悪魔人どもめ、見ておれ、街ごと焼きつくしてくれるのじゃ!

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