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汎用魔法剣

広間にいた巨大スライムを倒すと、その背後にトビラが出現した。


ドロップした大量の魔石をリンダが回収して、そのトビラに近づくと、勝手に両側にスライドして開いた。


奥に続く通路へと足を踏み入れる。通路は緩やかにカーブしていた。


やがて10畳ほどの部屋にでた。その上部には、また80インチのモニターがあり、その下には点滅するLEDとUSB端子があった。スマホと繋いだUSBコードを接続すると画面にリムルが映し出された。





『マンモススライム撃破おめでとう。


マンモススライムは物理攻撃が、ほぼ通用せんからの、なんらかの魔法攻撃を使ったと思うが、中でも氷結系の魔法はやつには有効だったはずじゃ。いったん固めてしまえば、あとは削るだけの簡単な作業じゃからの。


では、ごほうびを与えるのじゃ。受けとるがよい。』


その言葉と同時に画面の下の床に一振りの剣が現れた。長剣と呼ばれる形のものだ。柄の下端にUSB端子があり、鍔の部分に片面4つずつ、両側で合計8つの魔石が嵌っている。


『汎用魔法剣じゃ、この剣には組み合わせ次第で無限の可能性がある。是非活用してくれ。


とりあえず。火の属性剣として使うなら[ファイヤーソード]、氷の属性剣なら[アイスソード]、光の属性剣なら[ライトソード]、闇の属性剣なら[ダークソード]と剣の底にふれながら叫ぶと良い。


では、続いて、次の階層の説明をするぞ。


次の階層の相手はコブリンじゃ。


コブリンもスライム同様、通常のものは、そう強くはないが、その容姿は我らと同じ人型をしておるからの。倒すのに、ためらいを感じるものが多い。


そのためらいを断ち切るのが、訓練の趣旨じゃ。つらいと感じる者もいるだろうが、がんばって欲しい。


さて、ボス部屋だが、第一階層と同じく、右奥に分かりにくい小部屋がある。実はこの配置はずっと同じじゃ。


小部屋の壁のひとつに、コブリンがドロップする小角を10こセットすれば良い。


ではまた。クリアの部屋で会えることを祈っておるぞ。』





ガー!


画面が消えると同時に右隣の壁がスライドして開いた。


オレたちは、汎用魔法剣を拾い、そのトビラの外に出た。そこは第一階層右奥の小部屋だった。


「この剣はデイジーが使うと良いのじゃ!」


リンダが汎用魔法剣をデイジーちゃんに渡した。


「お嬢……いいのかい?」


「勿論じゃ、この中でこれを使いこなせるのは、デイジーだけじゃろうからな。な? 皆?」


「そうだな。」「そうね。がんばって使いこなしてね、デイジー。」


「皆、ありがとう。大切に使わせてもらうよ。」


デイジーちゃんは、汎用魔法剣を左腰に佩び、いままで使っていたものをリンダに渡して、魔法袋に収納してもらった。


「では、次の階層に行くのじゃ!」





下へ降りる階段は中央奥にあり、それを下ると、雰囲気が変わった。


第二階層の壁は御影石ではなく、ごつごつした茶色い岩になっていた。ただ全体がうっすら発光しているのは同じだ。


リンダとオレはスマホを取り出し、マップを確認する。


「上ほどじゃないけど、ここもそこそこ人がいるね。」


「そうじゃのう。お、こっちに赤い点が1つだけあるぞ、行ってみるのじゃ。」


真っ直ぐな通路の先に、小さな影が1つあった。1メートルくらいのそれは頭頂部に1本の小さな角があり、緑色の肌をし、腰蓑のようなものだけをつけている。手には棍棒をもっている。あれがコブリンなのだろう。やつはまだ、こちらに気付いていない。


「お嬢、ここは、あたいにやらせてくれ。こいつを試したい。」


「ああ、任せたのじゃ。デイジー。」


デイジーちゃんは前にでて、汎用魔法剣をスラリと抜いた。そして剣の底に手をあてて叫んだ。


「ファイヤーソード!」


ブオン!


剣の刃の部分が赤く光り、腹の片側には4分割した光が灯り、その先端の1つが点滅している。もしかして、あれって、今使用している魔石の魔力残量を示しているのか?


ギロリ


その光にコブリンが気付き、こちらを真っ赤に充血した目でにらんできた。ちょっとこわいよぉ。


「はあああ!」


デイジーちゃんは、剣を横に持って、突っ込んで行く。


「ギョエエエ!」


コブリンも棍棒を振りかざして突っ込んで来た。


ザシュウ!


デイジーちゃんの剣は、コブリンを棍棒ごと横になぎ払った。まるで豆腐を切るように、なんの抵抗もなく、全てを切り払った。


ブスブス……


コブリンと棍棒の切断面から煙が上がっていた。火の属性剣らしく、熱せられて焼かれているらしい。おかげで流血を見ずに済んだ。


ゴロン!


胴体から、切り離されたコブリンの頭部が転がり、オレの足元に来た。それと目が合う。


「ひいぃいい!」


その目にはまだ力があった。苦悶の表情でオレを睨みつけている。


やがて、その目がうつろになり、光の粒子となって消えていった。


オレは、隣にいたリンダにしがみ付いて、泣いていた。


リンダはそんな情けないオレの頭を優しく撫でてくれた。


「マサルは、はじめてじゃから仕方ないの。しかし、この世界で生きていくには、少しは慣れてもらわねばならんぞ?」


コブリンの頭の部分があった所のあとには小角、胴体の部分があった所のあとには魔法の指輪が落ちていた。

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