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サテライトシステム

「リムル・キャメル?知らんのう。ただ、キャメルなる家名は我の実家のものじゃ、キャメロンは我が独立した時に名乗りだしたものじゃからな。」


「そうか、リンダに似てたから、多分ご先祖さまだろうな。」


「うむ、様々な魔道具を開発したとは、素晴らしいご先祖さまじゃな。」


オレとリンダはダイダロスに向う馬車の中にいる。


「ところでマサルはさっきから何をしているのじゃ?」


「ん? 遺跡のコンピュータ端末からもらってきたプログラムをちょっと……ね。よし、インストール完了!」


ノートPCとスマホを繋いでいたUSBケーブルを抜く。


ノートPCをシャットダウンし、スマホを再起動した。


再起動したスマホにはこれまで消えていたGPS受信のマークが出た。


しかし、従来の位置情報アプリは起動しても、[位置情報の取得に失敗しました]とでて、やっぱり使えなかった。


従来アプリはあきらめて、今回、新たに追加された。人工衛星みたいなアイコンのアプリをタップして起動した。


すると、地図のような物が画面に映し出された。カーナビみたいな画面だ。


左右に広がる道があり、道の左の方には街みたいなものがあって、[ダイダロス]とある。


道の右側にはピラミッドのマークがあって、その先に港町があり、[ゼータ]とある。


ダイダロスの手前には自分の現在位置を示すピンのマークが立っていて、少しずつダイダロスに近づいているように見える。


「リンダ、ちょっと、これ見て、」


オレはリンダにスマホの画面を見せた。


「ん?これは地図か? 字は読めんがこっちの左のがダイダロスで右のがゼータじゃな? この動いているピンは我らがいる位置か?」


「うん、そう。だいたい、この位置関係であってる?」


「そうじゃな、これでだいたいあっていると思うのじゃ、もうすぐダイダロスに着くしな。」


正確なマップが手に入ったのは嬉しいな、これで旅をするのが一層楽しくなりそうだ。


ん? 表示のサブアイコンに写真みたいなのがあるな。


それをタップすると、地図が衛星写真みたいなものに切り替わった。


へぇ、なんとかアースみたいな機能もあるのか。


オレは衛星写真をどんどん拡大していった。


するとオレたちの馬車が確認できた。


ん? オレたち、ここに来たのは初めてだよな?いや、リンダたちはここを何回も往復してるから、その時のかな?


どんどん拡大していくと、馬車が動いているのが確認できた。


え? これってもしかしてリアルタイムのオレたち?


まだ拡大できる。これどれだけ拡大できるんだ?


やがて御者台で馬の手綱を握るクリスさんの背中が見え、金髪おさげが揺れているのまで確認できた。


ふいにクリスさんは、こちらを見上げた。そして微笑んで片手を手綱から離し、手を振ってきた。


え? どゆこと?


オレは馬車の前に移動し、幌を上げて御者台のクリスさんを見た。


そこにはスマホで見ている通り、クリスさんが上を見上げて手を振っている姿があった。


「クリスさん、何故、上を見て手を振ってるんですか?」


「え?マサルさんに見られている気がしたんですけど……」


なにこの子、鋭すぎ、恐らく衛星軌道からだろう視線を感じるなんて……


「……あたしったら何してるんですかね? バカみたい。えへ!」


クリスさんは、赤くなって、自分の頭をこつんとたたいた。


「そ、そだね、空の上からオレが見ている訳ないよね。ははは……」


オレは、幌を下げて、馬車の中に戻った。


あの子の感受性ってか、洞察力? とにかく鋭さは、半端ない。浮気とかしたら絶対ばれるな。まぁ、する気はないけどな。


しかし、スゴイな、これを使えば、世界中のリアルな状況が手に取るように分かるんだ。


「ほう、すごいな。どんなカラクリか分からんが、空から見た地上の様子が分かるのじゃな? どれ、貸してみい。」


「あ、ちょっとリンダ!」


リンダはヒョイとオレからスマホを取り上げると、勝手に操作しだした。


横からオレの操作を見ていただけなのに、使いこなしている。リンダってばケッコウ、スゴイ?


「どれどれ、タイタンの街の周辺は……ん? 小麦が不作のようじゃの? ダイダロスで小麦を仕入れて持っていくか? しかし妙じゃな、なんじゃこの黒いのは?」


しばらく、リンダは慣れないスマホ操作で、その様子を見ていた。そして、その目が大きく見開かれた。


「な?! 大変じゃ、マサル! これを見てみい!」


オレはリンダに渡されたスマホ画面を見てみた。なんか黒いのがいっぱい飛んでる。


「これは……もしかして、イナゴか?」


「そうじゃ、イナゴの大発生じゃ! このダイダロスの隣のタイタンの街の畑はイナゴの大群に襲われて壊滅状態じゃ! そして、これを見ると徐々にこのダイダロスにイナゴの大群が近づいておる! このままでは、ダイダロス周辺の畑も壊滅してしまうぞ!」


「大変じゃないか! どうしよう?」


「とにかく、このことを街の領主に報告するのじゃ!」


リンダは馬車の前に行って幌を上げて叫んだ。


「クリス、急用ができたのじゃ。急いでくれ!」


「わかったわ!」


クリスさんは、手綱を振って、イーグルとホークの尻を叩いた。


ピシィ!


「「ヒヒーン!!」」


イーグルとホークは嘶き、早足で進み出した。

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