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先人からの贈り物

道の休憩所に隣接する丘に建っていたピラミッドが気になって、オレはクリスさんと調査していた。


表面はピカピカだ。全てお墓によく使われている御影石っぽい感じの壁面だ。


リンダは古い遺跡だって言ってたけど、なんでこんなに綺麗なんだろう?自動洗浄機能でもついてるのか?


クリスさんと手分けして入口らしきものを探した。


裏に回ると扉らしきものがあり、その前でクリスさんが待っていた。


重そうな石のトビラだ。


オレの力じゃ多分ダメだろうなと思いつつも、一応試しに押してみた。……やっぱりダメでした。


今度はクリスさんと2人で一緒に押してみる。……2人がかりでもびくともしませんでした。


ふと、トビラの横を見ると、一辺5センチくらいの小さな小窓があった。


それをスライドして上に開けると、USB端子があった。


PCバッグを開けてノートPCを取り出して、USB接続した。


ガー!


接続した途端にトビラは自動ドアの様に横にスライドして開いた。


横にスライドかよぉ、押してもびくともしない訳だ。


ノートPCの画面には[open]と[close]の2つのファイルが表示されていた。


これは、おそらく、USB端子に通電さえすれば開くようになってたんだな。携帯やスマホのUSB接続でも開くように考えられてつくられたんだろう。


「よし、クリスさん。バリアを張って中に入ろう。」


「わかったわ。バリア」


「バリア」


オレとクリスさんの左手小指の翻訳リングが白く光り、その光りがそれぞれの体を包み、消えていった。


未調整のバリアはデイジーちゃんの打撃2~3発で砕け散ったが、調整した今は100発は耐える。有効時間はだいたい1時間くらいだ。


中に入ると上部の灯りが自動でついた。LEDの灯りかな?


御影石の廊下が真っ直ぐ続いていた。


カツン、カツン


オレとクリスさんの靴音が廊下に響いた。


10メートルほど歩いて入口と同じようなトビラがまたあった。


今回はUSB端子のかわりに看板がかけてあった。


『次の早口言葉をマイクに向って3回言いなさい。[生麦生米生卵]』


日本語だな。これを造ったの日本人か?


良く見ると看板の下にマイクが出ていた。


オレはマイクの前に立った。


なんか緊張してきた。


「なまむぎなまごめなまたまご、なまむぎなまごめなまま……いた!」


舌かんだ。


ブブー! カン!


「あいた!」


ブザーの音と共にオレの頭に金タライが落ちてきた。ドリフのコントかよぉ!バリアはどうした? 今の攻撃は悪意がなかったってのか?


気をとりなおして、もう一度。


「なまむぎなまごめなまたまご、なまむぎなまごめなまたまご、なまむぎなまごめなまたまご」


よし、言えた!


ピンポン! ガー!


正解音と共にドアが横にスライドして開いた。


中に入ると、御影石の枠にはまった80インチくらいのモニターがまず目に入った。その手前にこれも御影石の机があり、その机と一体化したキーボードらしきものがあった。部屋の広さは10畳くらいか?


良く見ると机の右側に点滅してるLEDの灯りがあった。その下にUSB端子がある。


オレはそのUSB端子とノートPCをケーブルで接続した。


ブウン!


モニターの電源が入り、女性が映し出された。


亜麻色の髪をロングにした20歳くらいの女性、なんか誰かに似てるなぁ。


「この子、お嬢様に似てますね。」


そうか、リンダの髪をプラチナブロンドから亜麻色にして、成長したら、こんな感じなんだ。





『あ、あ?、もう撮れておるのかの?


……うほん。これを見ているのは日本人だと信じて話すぞ。我はリムル・キャメル、日本人の転生者じゃ。


我がこの地に転生して早20年、天才の我は、独自に日本にあったコンピュータを再現することに成功した。そして、この地の魔法をコンピュータプログラムで制御する術を開発したのじゃ。この技術を組み入れた多くの魔道具を製作した。


幸いなことに転生した家は裕福だったのでな、研究費に困ることはなかった。


我の研究で親も儲かったしの、褒められこそすれ、文句はいわれなんだ。研究に没頭する毎日はケッコウ楽しい。


しかし、我が現れた後に、日本人の転生者も転移者も現れん。我はとっても孤独じゃ。


この遺跡は将来現れた日本人の転生者、もしくは転移者のために残すことにした。これを見ている日本人、どうが有効活用してくれ。


我が開発した魔道具は全てUSB端子がついておる。我のいた頃の日本人なら、このUSBがコンピュータや携帯端末の統一規格であることは分かるな? 転生、転移の年代はそれぞれバラバラらしいが、ここにいるってことは分かるはずじゃな?


魔道具をお主が見ているこのコンピュータ端末のUSB端子に接続することで、その魔道具の動きを制御できるのじゃ。


もし、お主がノートPCなどを持っておれば、それでも直接制御することが可能じゃ、その場合はこのコンピュータ端末に入っている各種制御プログラムおよびサンプル環境データ、プログラムソース、プログラムコンパイラなどのファイルデータを全部もっていけ。


魔道具はこの机の引き出しの中に汎用魔法ブレスレットがある。遺跡あらしにあっていなければ、各施設に同じものがあるはずじゃ。まぁ、日本人の転移者じゃなければ、そう簡単にこの施設に入れるとは思えんがの。


それと我が戦闘シュミレーション実験施設として造ったダイダロスダンジョンとシャングリラダンジョンの中にも多数の魔道具が残されているはずじゃ、行ってみてくれ。


それぞれの施設にはWifi接続による無線LANがあるから、現地で接続してみてくれ、ここに入れたってことはなにがしかの携帯端末をもっておるだろうからな。


Wifiのアクセスキーは、ダイダロスダンジョンが[12346789]、シャングリラダンジョンが[n8240es]じゃ、それぞれのダンジョンでブラウザを開けば案内ページが出るはずじゃ。


では、お主の人生が実り多きものであることを祈っておるぞ。そして我の魔道具がその一助とならんことを!』





そこで映像は途切れた。ノートPCのウィンドウには、このコンピュータ端末に入っているであろうファイルフォルダが展開されていた。それを全てオレは自分のノートPCにコピーした。


机の下の方を見ると引き出しがあったので開けてみる。


そこには魔石が4方に2こずつ、計8こずつついた銀のブレスレットが5つあった。勿論、側面にはマイクロUSB端子がついている。


それを全部とり、PCバッグのポケットに入れた。USB接続していたノートPCを片付ける。


そして、モニターに向って、静かに黙祷した。


リムルさん、ありがたく、使わせていただきます。

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