弾丸を撃て
「ロック」
右手人差し指の指輪が黄色く輝き、目の前に丸い岩が現れた。
「ウィンド」
ビュウウウ!
右手中指の指輪が緑に輝き、目の前にそれなりの風が吹く。
ボテ!
岩がほんの僅かに風で飛んで2メートルほど先に落ちた。
ここはゼータの街の冒険者ギルドの射撃訓練場だ。
隣ではクリスさんが弓の射撃訓練をしている。
クリスさんが矢を番え、弓を引き、150メートル先の的を見据える。
ビシ!
弓から放たれた矢は美しい放物線を描き、的を目指す。
ドン!
見事に矢は板の的の真ん中に突き刺さった。
「お見事!」
さすがオレのクリスさんだ。
「ありがと。」
クリスさんはオレの方に振り返り、微笑んだ。
ああ、可愛い、かっこいい、癒されるぅ。
オレがここで何をしているかと言うと、射撃訓練……のつもりだ。
リンダに火水風土の各属性の指輪をもらったので、その使い勝手を試した。
火はファイヤと言えば目の前にそれなりの火がでるだけだが、野営とかでそれなりに使える。水も同じくウォーターと言えばそれなりの水がでるだけだがこれまた野営で重宝する。
問題は土と風だ。
土はロックと言えば目の前に拳大くらいの岩が出る。風はウィンドと言えばそこそこ強い風が吹く。
だが、岩なんか野営場所にはゴロゴロしてるし、風も団扇で扇ぐより少し強い程度だ。はっきり言ってあまり役にたたない。まぁ、まだUSB接続で中身を見てないんだけどね。
そこでオレは土の指輪で出した岩を風の指輪で飛ばせば、強力な武器になるんじゃないか?
……と思って試したのだが、これがなかなかタイミングが合わない。これじゃあ、出てきた岩をそのまま投げたほうがましだ。なんとかまったく同時にできないものか
……あ、そうだ。
オレは訓練場のスミにあるテーブルに行き、そこに置いてあったノートPCの電源を入れ、土の指輪、通称ロックリングとUSB接続する。
ロックリングの中には[readme][config][rock][rockdata][rockconfig][log][autoexec]の7つのファイルがあった。
空のメモ帳ウィンドウを開き、[config]ファイルをドラッグしていれる。
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環境設定ファイル、
魔法とキーワードを[x1-x10]と[y1-y10]で設定します。
x1=rock
y1=ロック
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の表示がされたので、これを
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環境設定ファイル、
魔法とキーワードを[x1-x10]と[y1-y10]で設定します。
x1=rock
y1=バレット
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として上書き保存した。
次に風の指輪、通称ウィンドリングとノートPCをUSB接続する。
ウィンドリングの中には[readme][config][wind][windconfig][tornado][tornadoconfig][log][autoexec]の8つのファイルがあった。
空のメモ帳ウィンドウを開き、[config]ファイルをドラッグしていれる。
===============
環境設定ファイル、
魔法とキーワードを[x1-x10]と[y1-y10]で設定します。
x1=wind
y1=ウィンド
===============
の表示がされたので、これを
===============
環境設定ファイル、
魔法とキーワードを[x1-x10]と[y1-y10]で設定します。
x1=wind
y1=バレット
===============
として上書き保存した。
そして再び、右手にその両方の指輪を嵌めて訓練場の的の前に立った。キーワードを同じにしたんだ。これで同時にやれるはず。
右手を前に差し出し、的を見据えて叫んだ。
「バレット」
右手の黄色と緑の指輪が同時に輝き、目の前に拳大の岩が現れたかと思うと、勢い良く射出された。
ドン! ガガン!
岩は見事に150メートル先の的に命中し、的を少しへこませてその前に落ちた……2つ右隣の的の……
「あれ?……もう一度だ。バレット!」
ドン! ガガン!
今度は左の3つ隣の的に命中した。
……そうか、拳大のただの丸い岩じゃあ、軌道が安定しないのは当たり前だ。
オレは再びロックリングをノートPCにUSB接続し、3Dソフトを起動して、[rockdata]を読み込んだ。すると丸い球が表示された。やはりこれはモデリングデータだったんだな。
球を変形させて、銃の弾丸のような形にする。そして尻の部分に矢羽のようなものを追加する。これで軌道が安定するはずだ。そのデータを上書き保存した。
ついでにウィンドリングも再びUSB接続し、[windconfig]ファイルをメモ帳で見た。
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windの環境設定ファイル
風速をxで[1-100000]の範囲で、有効面積をyで[1-100000]の範囲で設定。
2つの数字を乗算した結果が[100000]以下にならないと設定は有効にならない。
x=100
y=10
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これは……有効面積を少なくして、風速を上げれば……威力は上がる……はずだよな?
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windの環境設定ファイル
風速をxで[1-100000]の範囲で、有効面積をyで[1-100000]の範囲で設定。
2つの数字を乗算した結果が[100000]以下にならないと設定は有効にならない。
x=100000
y=1
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と書き換えて上書き保存した。
再び2つの指輪を右手に嵌めて150メートル先の的を見据えて手をかざす。
「バレット!」
黄色と緑の指輪が同時に輝き、目の前にミサイルのような物が出現する。
ドシュ! ガガガーン!
目にも止まらぬ速さで射出されたそれは、的の中心に見事に命中し、その板の的だけじゃなく、それが据え付けられた巨大な岩も粉々に粉砕した。
やったぁ!
パチパチパチ
クリスさんが笑顔で拍手してくれた。
「やったわね、マサルさん。すごいわ。」




