バリア
翻訳リングのマイクロUSB端子にコードを接続し、ファイルを見ると
[readme][config][translation][barrier][barrierconfig][log][autoexec]の7つのファイルがあった。
[readme]をダブルクリックしてみるとメモ帳のウィンドウが開いた。
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汎用魔法リング
[config]で設定された魔法をキーワードで発動します。
[autoexec]に書かれた魔法を装着と同時に実行します。
ダイダロスダンジョン
アクセスキー:12346789
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やはり、これも汎用魔法リングか、
メモ帳ウィンドウを開き、[autoexec]ファイルをドラッグしてそこに入れた。
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translation
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と表示された。
これは、装着と同時に翻訳機能が動いていると言うことだよな。しかし、これをずっとしていたが残り魔力を示すLEDの灯りは1つも減らなかったんだよなぁ。これって魔力消費ないのか?
またメモ帳ウィンドウを開き、[config]ファイルをドラッグしてそこに入れた。
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環境設定ファイル、
魔法とキーワードを[x1-x10]と[y1-y10]で設定します。
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と表示された。
キーワードでの発動はなにも設定されていないらしい。
しかし、ファイルには[translation]の他に[barrier]もあるんだよな。これって恐らく障壁を表すバリアだよな。試しに設定して使ってみるか。
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環境設定ファイル、
魔法とキーワードを[x1-x10]と[y1-y10]で設定します。
x1=barrier
y1=バリア
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と[config]ファイルを上書き保存した。
翻訳リングからUSBケーブルを抜き、左手小指に嵌めた。
「バリア!」
翻訳リングから光が生まれ、その光がオレを包み込み、そして消えていった。LEDの灯りは1つ消えている。
あれ? これで終わり? バリア、これで張れてるのか?
「マサル、今なにか光らなかったか?」
リビングの向いの席でリンダが不思議そうな目をして見ていた。
「うーん……そうだ。リンダ、ちょっとこっち来て?」
「ん? なんじゃ?」
オレの方に顔を乗り出して来たリンダにオレは右手を伸ばし、デコピンをくらわした。
ビシ!
「いたい!? なにをするのじゃあ、マサル!」
ガン!
「ん? なんじゃあ? ここに見えない壁があるのじゃ。」
逆上して、オレに殴りかかって来たリンダが見えない壁に阻まれた。
お? やっぱりバリア、ちゃんと張れてたのか。
しかし、これって、こっちの攻撃は通るんだな。不思議だ。
ビシ!
調子にのって、オレはまたリンダにデコピンをくらわせた。
「おのれ、マサル! 許さんぞぉ!」
ガンガンガン!
涙目になって、リンダがオレに殴りかかってくるが、バリアに行く手を阻まれている。
うーん、ちょっと、やりすぎたかな?
「デイジー、このマサルを守っている見えない壁を破壊するのじゃあ!」
「あいよぉ」
デイジーちゃんが鞘に入ったままの長剣でオレに殴りかかってきた。ちょっ、それはマズイかも?
ガガン!
しかし、デイジーちゃんの一撃にバリアは耐えた。ふぅ、助かった……か?
「まだまだぁ、せえのぉ!」
デイジーちゃんは思い切り振りかぶって、バリアをたたいた。
ガガガン……ピシ!
あ、いまなんか、ひび割れる感じの音がした。
「もう一度じゃ、デイジー!」
「おうよぉ!」
デイジーちゃんはさっきよりも大きく振りかぶった。
ガガガーン! パリーン!
そして、バリアは砕け散った。
「デイジー、その不届き者をひっとらえぃ!」
「あいよぉ!」
「あ、ちょっと、まってぇ!」
オレはデイジーちゃんによって、拘束された。その正面にリンダが般若の表情で立つ。
「マサル、よくもおちょくってくれたなぁ?」
「あ、ちょっと、バリアの性能をみたくて……リンダ、落ち着こう……な?」
「寝言は寝て言うのじゃ!」
ポキキ!
リンダが指の骨を鳴らす。え?君、幼女じゃないの?なにその音、ちょっと、いや、かなりこわい。
「クリスさん。助けてぇ!」
オレはクリスさんに助けを求めた。
「マサルさん。今のは弁明の余地がないわ。大人しくお嬢様の制裁を受けましょ……ね?」
「ええ!?」
オレは神[クリスさん]に見放された。
「天誅!!!!!」
バキ! ドカ! グシャア!
「ぎゃああああ!」
オレは逆上したリンダにボコボコにされた。
しかし、まぁ、バリアの性能実験は成功だな。




