待ち合わせと職業
バートクラに俺は降り立ち周りを見渡した。
すると、今ログインしてきたと思われる人達が現れる。
ベータ版からやっている人はすぐに動き出すと思われるがそれ以外の人達はまず感心して少し動かないだろう。
まぁ、時々動く人がいるが…。
俺はとりあえず走ってある場所に向かう。
『魔導の小屋』それが今俺が向かっている場所だ。
そこでこのゲームの魔法について教わることが出来る。
更に魔法系統の職業に就くことが出来る場所だ。
まぁ、ベータの頃はパーティーメンバーに連れられて来たくらいしか無い、あまり縁も所縁もない場所である。
役数百メートルに及ぶマラソンを終え俺は『魔導の小屋』に辿り着く。
その場所は岩場に面して立っており、少し絵になる小屋だった。
俺はノックせずにドアを開け入る。
「いらっしゃい、サービス開始第一号は君か…。
とうとう、魔法を学ぶ気になったの『ハヤブサの剣士』コシキ君。」
誰か来るのを待っていたのか、玄関の前で一人の女性が仁王立ちしていた。
確かエフィアさんだった筈。
彼女はこの『魔導の小屋』の管理人兼先生である。
確かこの人がこのゲームの魔法の基盤を作った一人だともっぱらの噂である。
しかも、とても美人でありベータの頃はただ会って話すだけの為に学びに来た人がいたとか、いないとか噂になっていた。
因みに職業別にこういった場所がありそれぞれにGMが先生をしている。
「いいえ、確かに学びには行きますけど今回は職業を取得しに来たんですよ。」
「それは本当か!
全身全霊で君に魔法を教えよう!
いや、まだったな…。
とりあえずこっちに来て。」
最初の気迫に気圧されつつも俺はエフィアさんについて行く。
そして、岩肌が見える回廊を通って大理石の部屋に出た。
「ここが転職の祭壇だ。
まだ、装飾などは施されていないからどこに行っても同じ見た目だけどね。」
エフィアさんは苦笑いしながら言うと俺に奥に行くように促す。
俺は促されるまま祭壇の奥に行くとそこには台があり、そこに一つの水晶があった。
俺は水晶に触れる。
すると水晶は光り出し俺を包む。
光が収まり俺の目の前にシステムメッセージが出された。
『職業が『魔法使い』になりました。』
凄く短いがこれだけで職業に就くことが出来たと分かる。
俺はエフィアさんの所に戻る。
「どうやら無事に職業に就けたようね。」
「まず、職に就けないことがあるのか?」
「無いよ、そこは安心して。」
「そうかい、とりあえず多分後で来るよ。」
「その時を楽しみにしているよコシキ君」
そう言って俺は『魔導の小屋』を後にした。
俺は噴水の前に立ち二人が来るのを待っていた。
俺は暇つぶしに『分配EX』の割合をどうしようか悩んでいた。
もう殆ど決まっているのだが、いろいろと思うところがあり悩んでいた。
「兄さん、来ましたよ!」
そう言って走ってくる少女が目に付いた。
あの容姿あの口調は間違いないと言うより、わからない方がアホだ。
なぜなら、俺と同じ様に現実の体に近くして作っているのだから兄である俺がわからない方が無理がある。
あれは神奈だ。
「遅かったな」
「いえ、ちょっとチュートリアルで少し遅れてしまいました。」
そういえば、チュートリアルがあったけ?
俺はベータからだから無かったけど忘れていたな。
「てことは、あいつチュートリアルで遅れているのかな?」
「そうだと思いますよ。
あれは結構面倒だったので…。」
神奈の目からハイライトが消える。
うん、あれね。
あれはトラウマになるわな。
チュートリアルではゴブリンを一体討伐するのだが、動きが達人レベルで俺達兄弟と同等以上の動きをするのだ。
あの時は途中からゴリ押しで勝ったなと思い出す。
そして、負けてもいいと知った時はキレかけた。
「そういえば、ニックネーム何にしたんだ?」
「ニックネームですか?
確かカンナと片仮名で入力しました。」
「そうか、フレンドに一応なっておくか?」
「フレンド?」
俺はフレンドになろうか聞くが、カンナはフレンドの意味が分からないらしく首を傾げていた。
そういえば、カンナのやっていたゲームはフレンドシステムとは無縁だったから知らないんだった。
「フレンドというのはゲーム内の連絡が出来るようになるなどの機能が主だがゲームよってシステムが違う。
このゲームだとフレンドの場所やログイン状況まで知る事が出来るらしい。」
「なりましょう!フレンドに!絶対になりましょう!
さぁ、早く!」
俺は考える限り最大の説明をしてみる。
するとカンナは驚くほど食い付いてきた。
俺はカンナのフレンド登録すると丁度良く遠夜と思われる人物が来る。
「古色?だよな。
遅れてすまねぇ。
ちょっとチュートリに手間取った。」
その言葉を遠夜らしき人物が放った直後、カンナの目からハイライトが失っていたが気にせぬが仏であろう。
「遠夜だよな?」
「ああ、そうだ。
ニックネームはトオヤにしてある。
とりあえず、フレになっとこう。」
「えっ?ヤダ。」
「…え?」
その時、トオヤは酷く絶望した表情をしていた。
それを見て俺は偽物という可能性は捨てた。
この表情を出来るのはトオヤしかいない。
それほど独特の絶望の仕方をトオヤはするのである。
でもまぁ、確認しなくてもよかったかも。
理由としては…類は友を呼ぶって奴だな。
見事に俺達三人はリアルの姿に似せているのだ。
「冗談だよ。
ほら、ついでにパーティー招待をやっとくぞ。」
そう言って俺はトオヤにフレ申を送ると共に二人にパーティー招待を送っておいた。
「んじゃ、丁度よかったし後腐れなく行けるのでさっさと行こう!」
「いや、何が丁度よかったんだよ?」
俺はテンション高めに言うと、トオヤからのツッコミが返ってくる。
まぁ、二人には関係無いし言っても仕方がない事なので俺は言わなかった。
『分配EX』の割り振りを決めたのだった。
俺は気分良くして歩き出すのだった。
因みに配分は、
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分配EX LV1
通常:0.01
職業:70.00
スキル:29.99
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というふうだった。
我ながら極端な配分だと思う。
今回でかなり読者の皆さんの予想を裏切ったようなそうじゃないような?
さてと、次は初の戦闘なるか?
読んでいただきありがとうございます。
面白いと思って頂けたら幸いです。