プロローグ
また、やってしまった。
【スキル クラス オンライン】今話題のVRMMOの最新作で今一番話題に取り上げられているものだ。
今までのゲームとは違い、とことんリアルを追求して更にはファンタジー要素を加えたゲームである。
実際、俺もベータテストに参加出来たのだが、本当に凄かった。
確かに少しアニメ調にキャラなどはしてあるが、動きの一つ一つのまでもがリアルと変わらないのである。
これは絶対プロの格闘家が関わっていると思えるような再現度である。
他にも蒸発などの自然現象や味覚などの再現率も高い。
鍛治などの生産系のものに限ってしまえば作る段階の工程の短縮とマニュアルもあり初心者でも大丈夫という仕様である。
勿論本来の手順を踏んでもできるようになっている。
そして、最後に自慢のサーバーである。
例え生産系の人達が大量にオリジナル武器などを作っても容量に絶対に問題にならないという自信と一つの場所に大量の人だかりが来ても落ちないという絶対的サーバーの自信を兼ね備えている。
他にも魔法の再現度なども目に見張るものがある。
魔法に再現もクソもあるか!というツッコミもあったがそれはまた別の話…。
しかし、このゲームの魔法は今までのVRMMOゲームとは違いかなり綺麗に入念に作られているらしい。
詳しくは使ってみないと分からないらしい…。
ベータテストでは今までに類を見ない程の評価が良かった程だったという。
「…だってさ。」
俺こと小倉 古色は雑誌を音読しながら(自分の思ったこと含む)友人の浜手 遠夜に話し掛ける。
遠夜は呆れを見せた顔でため息を吐く。
「お前、よく飽きないよな。
俺も興味は尽きないが、もう調べるとか飽き飽きだよ。」
「そうか?
それでも本サービスが楽しみだな〜。」
「んで、今回も予想外の展開を見せてくれるのかな?
ハヤブサの剣士様は…。」
「やめてくれ、その名で呼ばないでくれ。
それに、本サービスではプレイスタイル変える予定なんだから。」
ハヤブサの剣士とは俺のベータテスト時代の二つ名である。
ベータテストはより、このゲーム知ってもらうために定期的にプレイ状況などを全国放送していた。
勿論、ニックネームといえでも名前は隠されていた。
その中で他プレイヤーなどからついた二つ名だったりもする。
そして、ついた理由というのは俺のプレイスタイルから来ている。
魔法を一切使わず単純な剣技だけで他プレイヤーを圧倒し、ベータテスト内では四番目の実力の持ち主だと言われた。
「そうなのか?
あのプレイスタイルかなり見応えがあったのにな。
それで、復習させてくれ。」
その言葉と同時に俺は笑う。
本サービスは土曜日である明日の12時である。
今のように学校で一回相談という訳にはいかない。
そして、復習は勿論勉強ではない。
【スキル クラス オンライン】の復習である。
そして、数十分間の復習の後俺達は帰る準備を始める。
「おし、帰るか。」
「おうよ。
そういえば古色、どこで待ち合わせにする?」
勿論、明日のゲームである。
「そうだな〜、最初の噴水の前でいいか?」
そう言うと遠夜は一瞬難しい顔をした後、首を縦に振る。
「んじゃ、遠夜じゃあな。」
「また明日」
俺たち二人はそれぞれの挨拶をして別れた。
「ただいま。」
「おう、おかえり。
古色、ちょっと来なさい。」
俺が帰ると同時に父さんからの呼び出しがきた。
「父さん、どうしたんだ?」
俺は直に父さんのいる場所に向かい話を聞きに行く。
「いや、お前これからゲームを始めるそうではないか?」
「それがどうかしたのか?」
「俺はお前に全てを叩き込んだつもりだ。
そして、最後に教えることがある。
晩飯の後、道場に来なさい。
そこで本当の意味で全てを教える。」
俺は寒気がした。
父さんは基本的には優しく放任主義だが、格闘技などを俺達に教え込んできた。
剣術から体術の全てを俺達兄弟に刻み込んできたのだ。
そして、最後に父さんが教えることは目星が付く。
父さんが編み出した自己流戦闘術と死んだ爺さんが編み出した自己流戦闘術を使った父さんと組手をするのだろう。
うちは先祖代々、収集家をやっていた。
その収集というのは一つに限らずあらゆる分野において知識又は技術の収集を行なっていた。
そして、父さんと爺さんは主に戦闘の収集をしていたのだ。
それもあり、うちでは皆が皆(母さん以外)高い身体能力を有している。
「それに、父さん明日から仕事が忙しくなるからな」
父さんはついでにという感じに言った。
そして、タイミング良くご飯が出来たと呼び出しがあったのだった。
読んでいただきありがとうございます。