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第9話 初日終了

「待てよ。ここまでの話をまとめると、つまりはエレナの異能に条件を発生させればいいんだろ? だったら何で早く条件を決めないんだよ?」


「それが……実は条件の発生や覚醒の方法についてはまだ詳しく分かっていませんの」


「なるほど、そう言うことか。結局は行き詰まってるって訳だ……」


「二人とも! 落ち込むのはまだ早いですよ! 我が異能はきっと、ここぞという時に覚醒を果たし必ずや最強にして最凶の異能へと進化を遂げてみせることでしょう!」


「そうですわ! 私はエレナを信じてますの! だからたくさん食べて早く大きくなってくださいですの!」


 そう言って素早くオリヴィアが野菜だけをエレナの皿に移す。


「あのさ……オリヴィアってエレナのこといいように利用して……」


「あら? 何を言ってますの? タクト……」


 オリヴィアが笑顔のままタクトの顔を見る。


 何だこの凄まじいまでのプレッシャーは……この歳にしてこの威圧感。まさに末恐ろしいとはこのことだ。


「私はそれでも構いませんよ? 一度はオリヴィアに救われた命です。たとえ実験台にされようともそれで強くなれるのなら私は構いません。だって、それならお互いウィンウィンな関係じゃないですか」


「違いますの! エレナは……私の家族ですわ」


「分かってますよオリヴィア。今のは冗談です」


 二人が互いの顔を見て微笑む。


「なんか俺って邪魔者なのか?」


「まあ、今頃気付きましたの?」


「タクトだって頑張ればペットくらいの扱いにはしてあげてもいいですよ?」


 エレナはオリヴィアからもらった残りの野菜を貪るように食べ尽くした。


「おい! じゃあ、今の俺は一体何扱いなんだよ!」


 全員が食べ終えたの確認するとオリヴィアがタクトに声を掛ける。


「タクト。そろそろ片付けを始めますの。食器を奥まで運んでくださる?」


 それから三人は食器をキッチンに運び、洗い始めた。タクトが皿を洗い、エレナがそれを拭き取り、オリヴィアが棚にしまう。ただ三人で並んで作業しているだけなのだが……。やはり、どこか面白い絵面になってしまうところがなんとも不思議だ。


「お前らは明日って何か予定とかあるのか?」


「そうですわね。いつも通りの買い物と、ついでにエレナの復讐相手を探すくらいですの」


「え、買い物ついでに探してたの! 見つかるのか? それ……」


「これだからド素人は困ります。情報収集は基本中の基本ですよタクト! 店のおじさんやおばさんは情報や噂の宝庫なんです! 地道な聞き込みこそ一番の近道! 分かりましたか?」


「いや、だってお前が探してるのって結構ヤバい連中なんだろ? もっとちゃんとした機関に依頼とかした方が賢明じゃね……」


「ところでタクトの明日のご予定は何ですの?」


「俺は妹を探す。それだけだ。きっとまだこの町のどこかにいるはずだから」


「では、タクトはお暇なのですね?」


「おい、人の話しを聞いてたか?」


「何ですか? 妹妹って? シスコンですか? 気持ち悪いです。死んでください」


「うるせぇ、中二病」


「あ? 何か言いましたか?」


「タクトがシスコンならエレナは……家族思いだから……ファミ……コン? ですの?」


「いや、無理やり某ゲーム機みたいに言うなよ!」


「では、明日もタクトには買い物の荷物を持ってもらいますの! 助かりますわ」


「だから! 俺は妹を探さないといけないんだよ!」


「勿論、それは分かっていますの。でも、前にも言った通りタクト一人でこの町を歩くのは危険ですわ。いつまた怪しい輩に襲われるか分かりませんの。それに行動を共にするだけなら妹さんを探すのに支障はありませんわ。それいいですわねタクト?」


「オリヴィアの言うことも聞けないなら、私はもうタクトが襲われていても助けませんよ? 寧ろ、参戦します!」


「襲う側だった奴らが言うとさすがに説得力あるな……分かったよ。じゃあ、買い物に付き合えばいいんだろ。但し俺は俺の意思で動くからな」


「ちゃんと荷物を持ってくれるなら構いませんの」


 それから暫くして皿洗いを終えた三人がそれぞれの部屋に向かった。部屋に着いたタクトがドアを閉めた途端、全身の力が抜けたようにその場に倒れ込む。


「はぁ〜疲れた〜! 異世界ってしんど〜! 引きこもりの俺には辛過ぎるぜ全く。今までの人生の中で一番長い一日だった気がする……」


 でも、イロハに会えた……。


 あれは間違いなくイロハだった。この世界にイロハはいる! でも、どうして? だってあいつは……だから会って確かめるんだろ。


 タクトは残された体力を振り絞り這うようにしてベッドに辿り着くとそのまま気を失った。



 気が付くとタクトはまた真っ黒な何もない空間に立っていた。前回と同様にタクトの前には一人の黒髪の少女がこちらに背を向けて立っている。


「またか……」


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