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機兵と学園

彼は機兵を従える

作者: 海影

彼女は機兵と踊るの続編です。

 会長と背中合わせにくっついて、生徒会の仕事を手伝う。情報処理はあたしの得意技。さくさくと進められる。

 あー。それにしてもこうしてのんびりとできるとは。至福だわー。




 あたしには生まれつきの病気がある。その名も『魔力欠乏症』。魔力っていうのは、誰もが持っているもの。一度にためこんでおける量は人によって多少違いがあるけど、あんましかわらない。

 放出する量は、個人差が大きい。大量に放出することができる人は同時に魔力を生み出す早さもあるから、魔力が多いと言われる。

 だけど。魔力を放出する量が大きくても、生み出す量が少なければ……生命維持のための魔力すら欠乏することになる。

 その結果。あたしはひじょーに疲れやすい。ほんのちょっと動いただけで魔力が欠乏するから。

 だから、体力もつけられない。最低限の体力、筋力は家族の助けで補っているけど、そのために家族から普通より多い量の魔力を分けてもらってるのは、心苦しい。

 だから、最低限の運動以外は、ほとんど動かずに過ごすようになっていた。


 なら、なぜ機兵の学園に入学したのか。これは単純。あたしが機兵のことが好きだから。


 魔力はないくせに、あたしの演算能力はかなり高い。これについては、わざわざ国の研究機関で調べたから間違いない。

 もともとは、あたしの魔力欠乏症をなんとかできないかと、うちの両親が頑張った結果なんだけどね。


 まあ、そういうわけで、実技は辛いものの、普段のべんきょーは楽しい。教科書覚えて、机にへばってせんせーの話を聞いてればいいだけだからねー。おかげで学科は万年一位。ちなみに、次点にはいつも会長がいたりした。




 そうした、普段のせーかつが一変したのは、とある放課後のことだった。


 いつも通り、ふらふらしながらの帰り道。というか、忘れ物して途中で引き返してきたとき。会長が中庭のベンチでぼーっとしていた。

 なんとなく、その様子にひかれて、あたしは会長に近づいたんだね。

 で、そのまま体力が持たず、会長の上に転んだ。そして驚いた。いや、なに、この大量の魔力は!


「な、おい!」

「あー」


 おもわず声が漏れる。いやーごくらくごくらく。そのまま魔力を分けてもらうために抱きついた。接触してると、直接魔力をわけてもらえたりもするわけで。


「おい⁉」

「あー、いやされるー」

「は?」


 そのまま十分くらい。思う存分堪能させてもらった。初めてだったからね、あたしの魔力が満タンになったのは。


「いや、堪能させてもらったよ、会長さん。それじゃな」

「は?」


 あたしはそのまま、会長から離れて教室に向かう。いや、驚きだよね。あたしに魔力を渡して、全く疲労していない。ていうか、渡した次の瞬間には、魔力が生み出さてた。もともとも魔力量も大きい。これは会長にくっつかねば!




 それから。あたしはちょくちょく会長にくっつくようになった。まあ、あたしとしては当然なんだけど、会長にとっては謎だよね。


「……おい? なんのつもりなんだ?」

「まーまー。気にしない気にしない」

「気になるわ!」


 ごもっとも。だけど、数日で諦めたのか何も言わなくなった。くっついてることを邪険にしないことと言い、さすがに会長だ。いい人だ。


 そして、あの日がきた。

 学園の生徒を殲滅しようとする他国の連中。うちの学園の卒業生の能力の高さは有名だからねー。

 引き抜きをしようとしてきた国も多いし。まあ、それで自分の意思で行くなら、うちの国もわざわざ止めたりはしないんだけどねー。いや、実におおらかな国だね。

 まあ、あんなやつらに殺されてやるつもりもないけどね。あたしは会長を探した。きっちりと役割を果たして、避難誘導をしてたよ。


「会長、来て」

「おい、何を⁉」


 あたしは会長を引きずって機兵の格納庫にむかった。会長と触ってるおかげで、体調も魔力も上々。やる気にみちてるよ!


「何をするつもりだ!」

「あれ、全部追っ払う」

「何⁉」


 あたしは会長の魔力を機兵に向かって誘導する。魔力を受けた百の機兵は、すべて会長に従った。その魔力を通して、機兵たちを制御する。あ、会長が呆然としてる。もっとも自分がやってることに気づいてないみたいだけど。

 あたしの演算能力は高い。でも、魔力は多くない。百もの機兵を従えることなんかできない。それをしているのは会長なのに気が付かない。なんかおもしろかった。


 ……すべての敵を殲滅するまで、十分ほど。会長の魔力は尽きることはなかった。すごすきだよね。


 説滅を終えると、ふうっと一つ息をついて、あたしは会長から離れる。ちょっと名残おしいなー。


「会長。あとはまかせたー」

「ちょ、おい!」


 体が快調なうちに、クラスメイトと合流すべきかな。途中、学園長とすれちがった。あー、学園長は知ってるからな。ま、いっか。



 あとで、学園長から会長には自分で話すように言われた。どうしよっかな。

 会長はちょくちょく理由を訊ねてくるけど、


「んー。なんでらろうねー」


 とはぐらかしてみる。このときの会長のちょっと不機嫌な顔が可愛いとか思ってることはないしょだ。


「いつか、話してくれるのか?」

「そーだね。会長があたしの恋人になったら?」

「……寝言は寝てから言ってくれ」

「えー?」


 本気なんだけどなー。よし、こーなったら地道に会長を落とすのみ!


 がんばるぞー!

ほんの思いつきをここまで読んでいただき、ありがとうございます。

ちなみに登場人物に名前はありません。

作者は名前を考えるのが苦手だったり……。

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